登山者情報621号

【2002年05月05〜06日/大日杉〜大日岳/井上邦彦調査】

大日杉小屋手前の駐車場に車を止め、高度計を610mにセットし、07:30歩き出す。橋の袂で蒲生さんと会う。大朝日岳以来の再会である。大日沢の橋を渡り、すぐに右に折れて広場から杉林に入る。エンゴサク・エンレイソウ・スミレサイシンが足元に咲いている。ザンゲ坂の急斜面には雪が残っていた。若干躊躇したが、トレースがあったのでそのままズック靴にストックで登る。07:48菱形の標識で尾根上に出る。ムシカリ・タムシバ・イワウチワ・イワナシが迎えてくれる。08:05長之助清水で水を汲んでいるパーティを追い越すと、雪が出てきた。いったん夏道となり尾根を左から合わせて平坦になると雪の上となる。08:11御田の標柱から夏道となる。08:20〜33、1,090mで食事とする。ブヨ(虫)がまとわりつく。剣ヶ峰が遠望できた。ショウジョウバカマ・カタクリが咲いている。時折、雪の上を歩くが、特に問題はない。マンサクが咲き、左に巻く所がブナの新緑の限界となる。08:47〜56、1,230m雪の部分が多くなってきたので、ズック靴からプラスチックブーツに履き替える。09:13ダマシ地蔵を巻いて、滝切合を通過する。先行する登山者のあたりから何かが飛んできた。暫し空中を舞い、私の下に落ちた。格好からすると尻皮に似ているので確認のため下ると、ダケカンバの樹皮であった。
09:34〜45地蔵岳山頂で食事とする。分岐の標柱は僅かに頭を露出しているだけだが、三角点のある高台の広場は全て出ていた。ODDと無線が繋がる。祝瓶山一ノ戸の下を登高中とのことである。地蔵岳から下ると部分的に登山道が露出しており、2箇所ほど融雪水が流れていた。鞍部から夏道と雪道を交互に登る。カタクリが登山道脇を埋め、エチゴキジムシロ・オオバキスミレも咲いている。10:02ピークを越えると風が出てきた。10:16目洗清水を通過する、標柱は埋もれている。10:33〜44食事を取る。10:57御坪はすっかり露出している。小ピークを越えて、11:03御沢分レの標柱から右に下る。御沢の雪渓を詰め、11:22ピッケルを抜き、キックステップで急登を登る。ピッケルを持たない登山者が2名、何処から降りたら良いかと尋ねてきた。基本的にはピッケルなしでは、この時期は下れないことを注意し、私のトレースを忠実に辿ることを勧める。
11:34〜12:09切合小屋でラーメンを煮ていると蒲生さんが追いついてきた。彼は御沢を登らず、尾根を忠実に登ったとのことである。小屋に居る方々は強風のためここでストップするとのことである。なお、剣ヶ峰には雪が着いていなかったとのことであった。切合小屋は正面入口から利用でき、トイレも1穴が使用できる。切合小屋を出発し、すぐに右手の雪の上にあがる。そのまま、12:36草履塚山頂を右から巻いて、北峰との鞍部から夏道に出ると、風が強くなった。12:52風の強弱でバランスを崩しやすいので、両手を使い慎重に御秘所を通過する。御前坂にさしかかると一段と風が強まり、2本のストックを肩に当てて強風をやり過ごしながら登る。風による体力の消耗は馬鹿にならない。12:23一ノ王子を通過する、一瞬ガスが消えて本山小屋が見えた。身体を斜めにして、13:31〜14:08本山小屋に到着する。本山小屋の内部は、冬季出入口からの吹き込みで濡れが激しく、1階にいると2階からしずくが垂れてくる。この先、玄山道分岐から御西小屋までの間で潜水艦航法の可能性が高いと判断、地図を広げ、地図なしでも歩けるようにコンパスをセットする。
視界のない中、本山小屋を出発、飯豊山々頂にあったダイグラ尾根分岐の標柱がなくなっており、誤ってダイグラ尾根に入り込まないか不安になるが、まもなく標柱を確認して左に折れ、平坦地を進んで駒形山々頂の標柱を通過する。玄山道分岐手前から雪の上になる。標柱は埋もれている。主稜の左側を斜上するが、視界がないので頂稜の藪沿いに進む。複数のトレースが続いているが、うっかりするとトレースそのものが迷っている可能性もあるので注意が必要だ。程なく夏道が出てきた。頂稜と高度差がないことから、草月平付近だろうと見当をつけると、右手にケルンがあり確信を持つ。草月平を過ぎると藪もなくなり。白一面の世界となる。本山小屋でセットしたコンパスを胸ポケットから出し、方向を確かめながら最高点を過ぎて下りとなる。トレースはコンパスの示す方向と一致している。
15:13突然目の前に御西小屋が現れた。小屋の2階部分だけが雪の上に出ている。トイレ棟は笠を伏せたように屋根だけが出ている。2階の冬季出入口から小屋の中に入る。誰も居ない。1階の方が明るいので、銀マットで広々と陣取る。やがて雨が降ってきて、4名ほどずぶ濡れの登山者が入ってきた。聞けば峡彩ランタンの皆さんで、胎内から大樽山を経て鉾立峰に出て、明日は弥平四郎へ下る予定との事であった。
翌日、薄明るくなったので、紅茶を沸かしてテルモスに入れ、04:40サブザックを背負い大日岳に向かう。雪面は堅く凍り付いている。小屋のすぐ下に、防風のためにブロックを高く積んだテントが1張りあった。1箇所、視界がないためルートに迷いを感じる所があった。やがてガスが切れ始め、大日岳が神々しい姿を見せ始めた。鞍部一帯は夏道が露出している。登りにかかると雪の急斜面になる。05:31ストックをデポしてピッケルを抜きアイゼンを履く。トレースはあるが、ガリガリに凍っており、アイゼンが小気味良い。牛首尾根最上部にテントが1張り見え、数人が出発の準備をしていた。05:50〜06:00大日岳山頂の標柱に到着する。快晴となり素晴らしい展望が広がる。紅茶を飲んで下山を開始する。06:24アイゼンを外し、06:55〜07:40御西小屋で朝食とする。
御西小屋から頂稜のとおりに飯豊山を目指す。08:14駒形山を通過し、08:29〜34飯豊山々頂、08:45〜09:00本山小屋で休憩を取る。09:28〜32姥権現でスパッツとカッパ脱ぐ。夏道どおりに登り、09:47草履塚山頂から左の雪上に移る。09:59〜10:04切合小屋で休憩、蒲生さんは切合小屋に泊まり、今朝、飯豊山まで往復し下山したと聞く。御沢をグリセードで下り、10:16御沢分レ、10:20御坪を通過、10:34〜11:04ラーメンを煮る。陽射しは心地良く眠くなる。11:30ピークを越え、11:49〜52登山道で融雪水を汲む。11:56〜12:07地蔵岳山頂で膝バンドを巻く。12:40御田、12:42長之助清水、12:52ザンゲ坂上を通過、ザンゲ坂の残雪もプラスチックブーツなので難なく下り、13:05大日杉小屋に到着する。五段山への吊橋を確認に行くと、大きな袋を背負った山菜採りが渡ってきた。戻って、13:10駐車場に到着し、今回の山行を終えた。

今回は、新しい携帯電話を購入したので、各ポイントで通話実験をした。機種はNTT-DoCoMo-N503isである。実験ポイントは、地蔵岳山頂・切合小屋前・本山小屋前・飯豊山々頂・御西小屋前・大日岳山頂であり、大日岳山頂以外全てのポイントで通話できた。なお大日岳山頂からの通話は、相手の携帯電話に着信有の表示が残っていたので、可能であろうと推測される。

写真はここをクリックして下さい