登山者情報638号

【2002年06月29〜30日/石転ビ沢〜北股岳(投稿)/山田亘調査】

29日、晴後曇:06;57天狗平駐車場発(410)→07:16はなれ山歩道→07:17ダイクラ道分岐(450)→07:29温身平砂防ダム(490)→08;01うまい水(600)→08:07彦衛門の平(610)→08:23雪面に降りる(630)→08:43梶川の出合(700)08:53発→09:25石転びの出合(860)→10:03右岸の草付き(1040)10:29発→11:02ほん石転び沢の出合(1240)→11:50北股沢の出合(1480)→12:15中の島草付基部(1600)12:27発→12:50トラバース終了(1730)→13:08テン場跡(1750)→13:20梅花皮小屋(1820→1850)13:50頃発→14:26北股岳(2020)15:35発→16:09梅花皮小屋
30日、晴れ:03:53小屋発→北股岳→05:10小屋に戻る→05:48小屋発→06:10トラバース終了→06:45北股沢の出合→07:00ほん石転び沢の出合→07:26石転びの出合07:36発→07:50梶川の出合→08:02夏道にのる→08:20彦衛門の平→08:56砂防ダム→09:07ダイクラ道分岐→09:13はなれ山歩道→09:23けもの歩道→09:30天狗平着(カッコ内の数字は高度計の標高表示です)
29日
今週は、石転び沢、エブリ差、早池峰などを考えていたが、雪渓が発達している間に歩きたいという理由で石転び沢にした。寝坊して04:00起床、04:30頃新潟発、買い物をして06:08天狗平着、パッキングをして06;57天狗原駐車場発(410)。ゲートをすりぬけブナ林の林道を歩くと07:16はなれ山歩道の標識があり右に道がついていた。07:17ダイクラ道分岐(450)を右折する。左手に最初の砂防ダムが見える頃右手から踏み跡が合わさる。先程のはなれ山歩道だと思う。07:29温身平砂防ダム(490)で林道は終わる。階段を登ると標高は500mを表示した。水面に朝霧が立ち美しい。河岸段丘は広く左岸につけられた道は平坦で歩きやすい。07:41標高520mの表示で登路の右に紫の花を見る。今までに見たことがない花だ。07:50標高560m付近で倒木を潜る。この辺り崩壊しているところもあり巻道を歩いた記憶がある。下りは倒木を潜らず片づけられたかと思う。そろそろ河岸段丘が狭まりアップダウンが出て今迄ほど歩きやすくなくなる。小さな沢をいくつか越えるが赤ペンキで×がつけられており入り込まないようにしたい。08;01うまい水(600)通過、2人パーテイーを抜く。08:07彦衛門の平(610)通過、右手に幕営一張り分のスペースがある。08:23標高630m付近でアイゼンを履き雪面に降りる。飯豊山の地形図ではカイラギ沢が北西に蛇行する手前の、河岸段丘が広がる砂礫地の表示がある辺りだと思う。エアリアでは上つぶて石を過ぎた辺りだと思うがそれらしき石には気づかなかった(井上注:登山道からは見えません)。雪がこんなに早く使えるとは思っていなかったので喜ぶ。これをやりたかったのだ。左岸を見て少し先の夏道に上がる地点を確認してから本格的に歩き出す。この頃越後屋さんとスライドする。気さくな感じで何度目かと聞いてきた。3度目だと答えると行程を聞いた後、門内沢に入らないようにと言い残し下っていった。毛皮の尻敷に目が惹かれた。沢は南西に向かいやや傾斜を強めながら上がっていくと、なんとなく見覚えのある景色があり08:43梶川の出合(700)についた。梶川の流れと夏道のとりつきが出ていて気づいたが雪が残っており最初通り過ぎそうになった。右のアイゼンが新しい靴に合わず靴先が右にずれる。紐を締め直し08:53発、やはりずれる。左岸沿いに緩い傾斜を歩いていくと正面に門内沢と門内小屋が見えてきた。少しずつ右岸に寄っていき09:25石転びの出合(860)通過、黄色い旗を目印に左折する感じで石転び沢に入る。
基部の右岸側の草付きで人が休憩している。草付きの右岸側は穴が空いており左岸側を通過する。僕も腹が空いた。当初日帰りを考えており32Lのザックには空のプラテイパスが入っている。水を探しながら登る。緩やかな雪面で雪渓を歩く人が中ほどに見える、上には北股岳やカイラギ小屋まで見える。登路が広いので短かく見えるがなかなか着かないのを知っている。10:03右岸の草付きに上がりスラブを流れる水を採りシューマイを煮る(1040)。なんとなくここは落石がないような気がしたが本当はどうかわからない。10:29発、荒れた雪面を越え11:02ほん石転び沢の出合通過(1240)、左岸で水が取れるところがありまだ雪は厚い。確かにここら辺から傾斜が強くなってくる。歩いていくと、直前で更に急になった感覚があり11:50北股沢の出合(1480)通過、いったん傾斜緩むがすぐに前にも増して急になる。石転び沢も3度目なのでここからが勘所とわかる。いよいよ中の島が近ずいて来る。黄色い旗を目印に左岸に身を隠しでっぱりまで進んで一息入れる。落石のコースと直角に近くなるように斜め左にできるだけ急いで進んだ。12:15中の島草付基部(1600)に上がりアイゼンを外した。しばらくして最初は左岸から後には右岸からも連続的に10個位の落石があった。確かに基部の下で軌跡が集まる。あと2〜3分遅れたら基部直前でやられていたと思う。12:27発、とても赤いイワカガミを見る。視界良好でトラバース地点もよく見える。今までで一番短く楽そうだ。ガスっているときに来るとどこまでトラバースするかわからず不安なのだ。12:50トラバース終了(1730)、ガレた水の出る道を登り13:08テン場跡(1750)に出た。薄いガスの中小屋が見える。ピッケルを刺しアイゼンをつけず道形に足をのせ登っていくと13:20梅花皮小屋についた。
ここで高度計の表示を1820mから1850mに補正した。管理棟の前で小屋番の人と山岳会の方から落石のことを聞かれた。やはり異常な落石だったようで心配されていた。自分は大丈夫で後続にも異常は見られなかったと報告する。GPSのスイッチを切るのを見て興味深そうに質問してきた。私はこの機種は山岳向きでないと思うと答えた。今日はここが考えどころだ。自分は当初04:00か05:00に出て@石転び沢日帰り往復を考えていた。それが07:00前に出た時点でA石転び沢登り一泊して梶川尾根下りに変更した。上がってみると、この13:20という時間は微妙で、なんとか自分でも下れるだろうかなどと考えていた。山岳会の方が「私はこれから降りますよ」といい、ついていってもよさそうな雰囲気だったが、小屋番の方に泊まることを勧められ、ガスの湧く谷を見て泊まることに決めた。但し、石転び沢はどうしても下りたいので、B石転び沢を1泊で往復することにした。
時間が出来たので荷物を軽くして13:50頃小屋を出て北股岳へと歩き始めた。大日岳が見えるあたりで振り返ると思わず「おお」と声をあげた。大日岳の手前にウスユキソウのお花畑だ。泊まりにして良かったと思った。花を撮り景色を見ながら山岳会の方が雪渓を下るのを観察した。北股岳は登れば登るほど展望が良くなる。山頂に近づくに連れ本山が見えダイクラ尾根が出てきた。14:26北股岳(2020)着。家に電話が通じ家族と話した。湯の平方面の道に入ってみる。来週オウインの尾根を考えていたが情報通りヤブ化しておりあきらめた。展望はまあまぁで二王子が大きく見えるのは天気が悪いせいだろう。15:35発、16:09梅花皮小屋を過ぎ水を汲み戻った。小屋は丁度良い混み具合だったが2階に置いた荷物が後から着いたパーテイーにもみくちゃにされていた。1階に下り1500円の協力費を払い、200円で銀マットを借り、800円でビールを買い、夏用の狭いシュラフを出しくつろぐ。夕食は函館カレーにパックライス、ゴボウサラダとビールにベーコンを合わせ食後にチョコでコーヒーを飲んだ。五泉から来た2人パーティーと山の話をしながら21:00頃寝た。
30日
晴れている感じに03:53小屋発、御来光が出そうだ。ヘッドランプとカメラだけ持ち1人で北股岳に向かう。展望は素晴らしく着くまでに何度も撮る。着く前に電池が切れ予備電池を小屋においたことを後悔する。山頂は360°の大展望だ。鳥居の向こうは本山だ。社の前で柏手を打ち誰もいない山頂で「越後の山旅」で読んだ祝詞を唱える。好展望に原始的な喜びがこみ上げてきて山の上で叫んだ。本山より「東北」という感じがして好みの山頂だ。なんというか仏教伝来以前のスピリチュアルな匂いがするのだ。岩手山の雰囲気に似ている。朝日連峰の向こうに月山、鳥海まではっきり見える。鳥海の下が薄くなり始めたので降りはじめ05:10小屋に戻る。とても濃密な時間が過ごせやはり泊まってよかったと思う。パスタを食べ05:48小屋発。
あとはコースタイム通りだ。初めて下りたが怖がらずに考えながら下ることが大事だと思った。緊張したのは草付き基部から北股沢出合までだ。斜度に気を取られていると、すぐ左を小さな落石が通過していった。上を歩くパーティーの方を見ると次は「ラクッ」と声をかけてくれた。07:26石転び沢の出合付近でガスり草付きの穴がわかりにくかった。今日は家族と過ごしたくて09:30天狗平に着いた。飯豊山荘で熱い風呂に入り稲家で広東麺を食べ新潟に向かった。 石転び沢は3回目だが素晴らしさと共に危険性がわかりかけてきた。30日の朝は山頂で連峰の一部になれたような静かな時を過ごせ幸せでした。
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