登山者情報662号

【2002年09月29日/大石〜大熊小屋/井上邦彦調査】

大石ダムの駐車場には新しく立派なトイレができていた。ここに車を置き、自転車でダムの上を渡る。トンネルの明かりを点けて、そのまま滝倉橋まで行き、登山者カードに記載する。橋を渡ってから自転車をデポし、歩き始める。黒手沢は赤い鉄橋であり、渡り終えてすぐ上流に向かう道を右に分ける。下山時に迷い込まないよう留意が必要である。「水掛沢」には菱形の標識が置かれていた。途中で茸採りの3名を追い越し、イズクチ沢のうんざりするヘツリを過ぎて尾根の上で休憩を取る。正面の大きな尾根は人形ノ峰を経て前杁差岳に至る道のない尾根だ。ブナ林に入ると右手下に天幕が1張り見えた。杉林を抜けると「ウジ沢」菱形の標識がある。再びブナ林に入るが、登山道に横たわる大木が年々朽ちていく様を見ると、自然も生きており世代交代を繰り返していくのだなと暫し感慨にふける。スノ沢に下り沢沿いに若干下ると対岸に道が登っている。十貫平の広大なブナ林を楽しむ。河岸段丘の林はブナとトチが圧倒的で、ナラは数えるほどしかない。タキプ沢は沢沿いに登ると登山道が見つかる。急斜面に強引に作られた狭い足場を慎重に進むと曲がりくねって本流に落ち込むゼカイ沢である。さらに斜面をヘツルように進んでいくと、丸太を2本並べた吊橋で本流を渡ると程なく大熊小屋に到着した。
大熊小屋には3人分の寝具などが置かれていた。恐らく釣り人のもであろう。ここでスギワカイを入れたラーメンを煮てビールを飲む。休憩後、大熊沢の吊橋を渡って大熊尾根を途中まで登る。程よい疲れと酔いで、魂と肉体が遊離している感覚、両手も身体も客観的に感じる。誰もいない飯豊の山懐に抱かれて、横になる。

通過時刻(この時刻は山岳救助隊員のものです。一般登山者はエアリアマップコースタイムを参照して下さい)
大石ダム06:51→06:20滝倉橋右岸→07:10イズクチ沢右岸尾根上→08:48大熊小屋→10:17大熊尾根→大熊小屋10:50→14:56大石ダム

エアリアマップコースタイム
大石ダム→6:30→大熊小屋→6:20→大石ダム
大石ダム駐車場のトイレ トンネルに入り左壁に明かりのスイッチ
滝倉橋 滝倉橋袂の登山者カード記載箱
黒手沢の鉄橋 ブナ林
大熊小屋直前で本流に架かる吊橋
大熊小屋 大熊小屋の水場
大熊沢の橋 大熊尾根の途中から下流を眺める
オニシオガマ ゼカイ沢のダイモンジソウ
キバナアキギリ とある茸の守り神