登山者情報663号

【2002年10月05日/梶川尾根〜丸森尾根/井上邦彦調査】

昼過ぎ迄には帰宅しなければならないので、梶川峰〜丸森峰一周を選んだ。天狗平に車を止めると、湯沢橋を架け替え中のため、すぐ上流に仮設の歩道橋が架けられていた。渡りきった所は梶川尾根末端である。そそまま順調に高度を稼ぐ。楢ノ樹曲リ(仮称)には花が供えられていた。今夏熱射病で亡くなられた方の者であろう。さらに登ると登山道を横切っているブナの倒木にニガクリタケ(毒茸)とナメコ(食茸)が混ざって生えていた。ナメコは時期が過ぎ、不自然な生え方をしていた。暫く登ると、本日の梅花皮小屋番であるODDに追い着いた。これでナメコの不自然な生え方が理解できた。なお山中で茸中毒になれば重大事故に繋がる可能性があるので、毒茸と混在している場合は、熟知している方以外は手を出さない方が無難である。
湯沢峰の方に登ると、周囲の木々が色づき始めてきた。何人かの登山者を追い抜いて五郎清水でヨーグルトを食べているとODDが追い着いてきた。私のペースが落ちて来たのか、ODDが速くなったのか、そういえば最近のODDは雨男の異名を返上しつつあるようだ。NHK一行をサポートして梅花皮小屋にいるAXLは、ダイグラ尾根を登っているAQLと私達の気象情報を山行にして出発のタイミングを計っている。三本樺(仮称)からの展望は、石転ビ沢が見えないが、紅葉は素敵である。ここまで登れば急登は終わる。トットビ沢源頭の草地を登る。かなり掘れて来たので、来春には笹薮にルートを変更し、浸食を防ぐ必要があるだろう。三角点を過ぎれば梶川峰標柱に出る。更に進んでケルンで休んでいると、ODDが標柱に着いたのが目視できた。あとは野生獣の毛皮ように輝いている草紅葉の中を進む。次第に雲の中に入り、扇ノ地紙に着く頃は視界がなくなってきた。
地神山に向かうと、稜線上の潅木は落葉しているものも多いが、ミネカエデの黄葉・紅葉はまだ見ることができる。地神北峰手前で雲が時折切れ始めた。さらに草原を降って、丸森峰でズックの紐を締めなおし膝バンドを巻く。振り返ると見事な効用である。なお、ズック靴の使用は熟達者以外勧められない。慣れない方の場合は、爪先を痛め易く足裏が熱を帯びてくるだけでなく、足首の捻挫を起こし易い。紅葉のトンネルを潜り抜けて高度を下げる。砂礫地には羚羊の足跡が明瞭に残されていた。崩壊跡地は植物の進入が進んできたものの、登山道が曖昧なので、ルートをしっかり確認しながら降る必要がある。夫婦清水は水量充分である。あとは、700mピークからの岩場を確実に下り、天狗平に到着した。

通過時刻(この時刻は山岳救助隊員のものです。一般登山者はエアリアマップコースタイムを参照して下さい)
天狗平06:18→06:45楢ノ樹曲リ→07:03休憩07:10→07:20湯沢峰→07:41滝見場→08:02五郎清水08:14→08:29三本樺→08:35トットビ沢源頭草地→08:45梶川峰→08:52ケルン09:00→09:16扇ノ地紙09:21→09:37地神山→09:45地神北峰09:47→10:05丸森峰10:13→10:39石楠花峰10:42→10:51夫婦清水10:55→11:22七百m峰11:41→12:02天狗平
エアリアマップコースタイム
天狗平→2:30→湯沢峰→3:20→梶川峰→1:00→扇ノ地紙→1:00→地紙北峰→2:10→夫婦清水→2:00→天狗平
湯沢の橋は工事中 湯沢峰の平坦部
湯沢峰から滝見場方面 五郎清水にて無線交信をするODD
三本カンバ(仮称)にて トットビ沢源頭の草地
笹原の中に紅葉したナナカマド 梶川峰の標柱
一面の草紅葉 扇ノ地紙の標柱(2基)
ミネカエデ ガンコウラン
地神山の標柱 地神北峰
地神山を振り返る 地神北峰の標柱
梶川尾根を望む チングルマの紅葉
丸森峰の標柱 丸森峰から上部を仰ぐ
紅葉のトンネル ヤマウルシ
カモシカの足跡 紅葉の尾根を降る
夫婦清水(正面が登山道) 夫婦清水(水は充分)