登山者情報670号

【2002年10月12〜14日/大鳥〜以東岳〜狐穴小屋/山田亘調査】
コースタイム
10月12日晴
07:04泡滝ダム駐車場520m(520)→07:59冷水沢650m(650)→8:29七ツ滝沢720m(720)→9:58〜11:08大鳥小屋960m(960)→11:38東沢960m(960)→14:42〜14:54以東小屋1720m(1720)→15:03〜15:10水場(1630)→15:40〜16:10以東岳1771.4m(1770)→16:20以東小屋 
10月13日晴
05:20以東小屋1720m(1720)→05:25〜06:09以東岳1771.4m(1750→1770)→07:45中先峰1523m(1530)→08:24〜08:51狐穴小屋1500m(1510→1490)→09:42中先峰1523m(1510→1530)→11:26〜12:10以東岳1720m(1720)→14:20東沢960m(980)→15:02テン場(970)
10月14日曇一時雨
05:58テン場→06:35七ツ滝分岐(820)→06:58七ツ滝沢720m(700)→07:18冷水沢650m(640)→08:02泡滝ダム(520)→08:07駐車場(510)

記録
 この週末は大鳥池にした。去年の8月に行ったときは天候に恵まれなかったが、山域の素晴らしさは垣間見えた。今年中に再訪して本来の姿が見れればと思った。登山口まで早く着けるように村上の実家へ移動し寝た。
10月12日晴
 04:17村上の実家発、石原の信号を過ぎたあたりで北へ大きな星が流れた。鶴岡経由で6:30泡滝ダム駐車場に着き7:04発(520)。あまり記録を取らず歩く。最近記録を取りすぎて景色を楽しむのを忘れているような気がしたからだ。また熱心に記録を取ると神経を使い治りかけの風邪に悪いのではないかとも思った。ザックには空のプラテイパスが入っている。大鳥池までは水に不自由せず適当に水を採りながら歩く。道は地形図と違い冷水沢まで東大鳥川の右岸につけられている。なだらかで歩きやすい。西俣沢と分かれてすぐの岩稜を過ぎたあたりだと思うが左岸に入り込んだ沢の流れと左岸に張り出したブナ林の傾斜が美しい。写真を撮りたかったが、できれば今日は狐穴小屋まで行きたいので我慢して進む。行く手の沢の上に大きな山が見える。甚六山?というメモがある。なだらかな道を歩き7:59冷水沢吊り橋を過ぎる(650)。ここから先も同じような道が続く。08:19小さい沢を渡り8:29七ツ滝沢吊り橋を過ぎる(720)。白い岩を流れが洗い、水音がドウドウと聞こえる。大きな沢に思えた。このあたりから道幅もなんとなく狭まり、山に入ったと感じるようになる。登路沿いに緑の苔のついた小さな流れがあり写真に撮る。デジカメはレンズのコーティングが劣化し思うような色が出ない。道が折り返して、8:41つづら折れ始まる、と思ったら2〜3回で終わり8:53沢から20mくらい上を沢沿いに歩く道になった。この道形はしばらく続いた。9:02水の流れる沢筋を5m位登ったところからつづら折りが始まり、すぐに9:05七ツ滝への分岐を過ぎた。ここから湖岸への標高差160m位の登りは斜度の殆どない葛籠折れをもどかしいほど繰り返す。去年嫌になったので、できるだけ葛籠折れの真ん中をブチ抜く直登道を登る。9:26ずっと急登を選び何度目かの葛籠折れに合わさったところで更に急登を選び20m位登ると不鮮明になった。元のへつり道に戻ると南東に5分位歩いた。ここで道形が変わっていた。先程の急登は三角池方面へ向いていたと思う。葛籠折れが再開して、5分位2〜30m直登して9:35へつり道に出た。少しずつ沢音が小さくなっていった。9:40急登が終わり湖岸沿いに歩いていく道形に変わった。やがて9:45木漏れ陽に鳥の声がして湖岸にあがったのがわかった。歩いていくうちに池が見える所が2箇所ありどきどきする。ブナ林の中を歩いていくと右手に木々をくぐる道があり、09:58大鳥小屋に着いた(960)。湖面は秋の陽を浴びて青く光っていた。北岸から以東岳へ続く尾根と以東小屋がよく見えた。
 管理人さんに500円払いテントを張らせてもらう。時間がかかり11:08テン場を出た。制水門を越え絵のような湖岸をへつる。ここまで写真を我慢してきたがたまらず何枚か撮る。道は幅広で平らだが枝沢の入るところでアップダウンが2箇所あった。東沢が近づくと段々道が狭くなり湖面に向いて斜度が出て歩きづらくなる。白い河原に降り11:38東沢を渡る(960)。平坦なヤブの中で先程の管理人さんに抜かれる。そういえば今日は以東小屋に上がると言っていた。11:48登り始める(970)。上手に道がつけられており、斜面を歩いたり沢筋を利用したりするうち尾根の脇を歩いている感じになり12:07鞍部に出た(1120)。地形図では1080mで尾根に合わさるが、私には1110mピークの南側鞍部に出たように思えた。この場所は斜度が緩み赤土の滑らない登路であり後は岩稜であった。1202mピークの登りにかかるとすぐに急登になった。今日はできれば狐穴小屋まで行きたかったので急ごうとしたが、足がふにゃふにゃして応えてくれない。風邪の影響が出ており、様子を見ながらゆっくり登ることにした。振り向くと木の間越しに大鳥池が見える。12:25斜度が緩む。前方の山は1400mピークにしては大きく見える、というメモがある。1400m地点はピークというより平坦地だ。正面から見たため、その上の1500m付近の緩傾斜部と一緒に見え、大きいと思ったのだろう。12:33尾根を外れ脇を歩き、すぐに尾根に戻り平坦な歩きになる(1200)。12:45緩登から急登になる(1270)。1200mから1400mまでは全般に樹林帯の見通しの効かない急登という印象だ。12:55斜度が一瞬緩み青空が見える。更に登ると樹林帯が切れ左手にオツボ峰方面が見えるところがあった。紅葉がきれいだった。13:07頃から大鳥池が見え始める(1360)。やがて大鳥池が熊の皮のように見えるところがあり、ほどなく13:27上方の展望が開け斜度が緩んだ。大鳥池が熊の皮のように見えるのは大きな尾根が三本、北と東西から入っているからだ。今登っている尾根は、北から入るもので熊の股を形作っている。ここから近くの山と何か違う、きれいな山が見えコンパスを合わせると化穴山だった(1430)。13:45先程の展望地からほどなく登路は砂岩のえぐれ道になる。脇に新しい道ができていた。13:45標識があり左手に崩壊地が見える。大鳥池の上半分が見える(1470)。13:55山頂で稜線に立つ人の姿が見えはじめる(1530)。14:15地形図通り急登が始まり(1590)、14:34斜度が緩み、笹原の中山頂がそして小屋が見えた(1680)。道形は北西にカーブしていき14:42〜14:54以東小屋に着、激混みに備え、さっそく受付をする(1720)。
風邪の治りかけで遅くまで濡れた衣類で行動したくなく、狐穴小屋をあきらめ以東岳の展望に頭を切り替えた。今日は一畳に二人のスペースだ。私は一階の奥の壁際5番に割り当てられた。融通の利きやすい場所で助かる。15:03〜15:10水場でプラティパスに4L入れた(1630)。水場までは往復20分位、小屋からは遠いがとてもよい水が出ていた。すぐ飯を食べれるようにしておき15:30小屋を出た。山頂直前ガスが出て水を汲みに行ったことを悔やんだ。15:40〜16:10以東岳にいた(1770)。最初はガスの中だったけれど10分ほどしてガスが晴れ写真を多く撮った。今回の山行では232枚以上撮ったが、その殆どがこの山頂からの展望だ。デジカメのレンズのコーティングが劣化し、実景には及ばない。山頂からの展望は興奮させるものであった。南に朝日連峰が水晶宮のように重なり、その一番奥に大朝日がオベリスクのように鎮座していた。このとき朝日連峰の盟主は以東岳のような気がした。感嘆しながら静かに見ていたが小屋の状況が気になるので降りた。山頂から自宅に電話が通じた。かみさんも風邪をひいたらしく、私が展望に上機嫌でいるのが気に入らないようだった。16:20頃小屋に入る。名古屋の学生と白河の山田さんと東北の山の話や川内山塊の話で盛り上がった。満室の小屋で、いい隣人に恵まれた。りんごに納豆とラーメンで夕食を済ませた。小屋は30人定員のところ34人位入ったそうでぎゅうぎゅうだったが風邪ひきの身には暖かく助かった。日没後、外に出ると飯豊の遙か上に三日月がかかっていた。02:00頃外に出るとオリオン座がきれいだった。けれど地平線近くは星が見えなく、朝はまずまずの展望だなというのがわかった。 
10月13日晴
 04:20頃起床。魚沼のコシヒカリに、加嶋屋の鮭茶漬け、海老屋の椎茸昆布佃煮をあわせると、たいそう旨い雑炊が出来上がった。コーヒーを淹れチョコレートを食べると香りで頭が冴えてきた。適当にパッキングして05:20小屋を出て、05:25山頂に着き日の出を待つ。蔵王の東に出そうだ。少しずつ明るくなり飯豊 磐梯 吾妻 朝日 蔵王 二口? 栗駒?長井葉山 月山 鳥海といったお歴々がはっきりしてきた。地平線近くに雲があるためか少し昇って05:45頃日の出となる。一生懸命撮ったがコーティングの痛んだレンズでは実物のシャープな造形が捉えられない。ただスケールのでかさはわかると思う。雲海は東側が絹のようで西側はミルキーな感じだ。化穴山の背後に山の影が映る。最初は以東岳かと思ったが三角形をしており大朝日か、化け穴山かと思ったがどこかわからなかった。
06:09山頂発(1750→1770)、三方境から見たげんこつのような以東岳が見たくて狐穴まで往復することにする。07:24 1460m鞍部(1460)、07:29 1440m鞍部(1440)、07:45中先峰(1530)と続く。この登路は中先峰の北側までダウンして平坦地歩きを繰り返し、中先峰から狐穴小屋まではアップダウンという感じだ。 08:01 1440m鞍部を過ぎ(1450)、08:24〜08:51狐穴小屋前に居た。げんこつのような以東岳が見たくて三方境まで行くつもりだったが、やはり雪がないと迫力がなく、引き返すことにした。水はよく出ており、ラーメンを作り、追いついてきた山田さんと話す(1510→1490)。相当な健脚で今日は大井沢に降りるという。またどこかで会いそうな気がした。アップダウンを繰り返し09:42中先峰(1510→1530)、10:51大朝日が1550m位から顔を覗かせはじめる(1630)。この辺りで女性の2人パーティの写真を撮らせてもらう。11:02尾根が方向転換するところから以東小屋が見えはじめる(1660)。この上の登りはきつかった。11:19斜度緩み小屋がまた出て来る(1730)。
11:26〜12:10以東小屋前(1720)で蒲生さん他2件の掲示板に書き込みする。風邪はなおりつつあるようだが長い歩きになると運動不足の影響が出るようだ。 やはり大鳥池で幕営しようと下り始める。12:45左に標柱右手に崩壊地 なだらかだが登路がえぐれ荒れた下りの途中、前方に斜度緩んだところが見える(1480)。13:18右の展望開ける。オツボ三角峰方面展望よい。紅葉もまあまあ(1330)。13:32ずっと急登を下ってきて斜度緩むと笹と灌木がある(1240)。13:38尾根の左を巻いている感じ。斜度緩く黄葉のトンネルのようだ(1220)。13:43斜度出始める。紅葉の中、湖面が近づいてくる(1200)13:57尾根を外れる(1130)。とても上手に道がつけられている。14:10斜度緩む(990)。沢が近いことを知る。14:20東沢を渡る(980)。午後の日射しの中眠いような景色だ。鈍く光る湖面を撮りながら歩いていき15:02テン場についた(970)。
テン場ではてくてくの会の皆さんが宴会中で私も混ぜてもらいとりとめのない話をした。風邪が心配なのでテントに戻り19:00頃寝た。新しいシュラフカバーは良く効いた。
10月14日曇一時雨
05:58テン場発。小雨が降っており1202mピークから上はガスの中だ(960)。ガスの中憂鬱な灰色の湖面も魅力的だ。湖岸から外れる地点でもう一度湖面に戻ろうかと思ったがやめた。そこから先は急いだ。葛籠折れをショートカットして、06:35七ツ滝分岐(820)、06:58七ツ滝沢吊り橋(700)、河岸段丘が広がってきて07:18冷水沢吊り橋650m(640)と過ぎた。2パーテイパスした。この先の歩きは長かった。泡滝ダム近くの岩稜の紅葉が美しい。08:02泡滝ダム(520)を過ぎ08:07駐車場着(510)。朝日屋さんでシャワーを借り村上の実家に寄り、午後2時半に新潟に戻り子供と遊んで過ごした。大変素晴らしい展望で、今年一年のご褒美をもらったような山行であった。

詳細は http://isweb28.infoseek.co.jp/sports/wataruya/