登山者情報689号

 【2,003年2月28日/豪士山(1022m,高畠町)/吉田岳調査】

 高畠町の東には、奥羽山脈南部に位置する1000m〜1200mの山々、南から栗子山・駒ケ岳・豪士山・竜ヶ岳・・・が見渡せる。昨年2月に行ってきた駒ヶ岳(第607号参照)では気持ち良く滑降を楽しめたので,今回は豪士山を狙ってみる事にした。ここはかつて高畠町と福島市を結ぶ茂庭街道と呼ばれた旧裏街道だったという、由緒ある(?)所。快晴のもと期待して家を出たのだったが,高畠から見た山々の稜線は白色ではなく茶色だった。明らかに昨年と様子が違う。不安を覚えながらも登山口へと向かった。
 上和田地区を抜け、林道に差し掛かった所で除雪止まりとなっていた。車を止め,準備を始める。8時30分出発。元宮川沿いの林道を進む。両脇の斜面は雪が少なく,スキーが出来る感じではない。元宮キャンプ場を抜け,登山口の看板を過ぎ,砂川の林道終点まで来た。駒ケ岳はここから南の斜面に取り付いたが,今回は北西に伸びる尾根に取り付く。雪の状態・傾斜・薮・雪崩などの条件を考えてルートを探していくが,かなり条件は悪い。何とか750m付近までスキーで登った。しかしその先には,さらにひどい薮が待ち構えていた。残念ながら、これ以上スキーでは無理と判断。このまま引き返す事も考えたが,あまりにも好天気に風景が綺麗だったので、壺足で山頂を目指すことにした。スキーを途中で諦めるというのは、今までほとんどなかったように思われる。しかしこのは、雪がもっとあったとしても山スキー用のコースはないように思えた。
 800m付近で、夏道と合流。快晴のわりには、風があるせいか気温が上がらない。尾根に出てからは、カッパの上着と帽子をかぶった。空の青と稜線の白、そして木々の光る霧氷が美しく、何度もカメラを取り出した。980mの小ピークを越えて、初めて豪士山が現れた。平らな豪士峠の奥の肩にあるちょっとしたピークに、標識らしきものが見える。それが山頂のようだ。雪に抜からないよう、わざと風の当たるクラフトした斜面を歩き、12時05分、1022mの山頂に到着した。
 飯豊・朝日は曇っていたが、吾妻・蔵王は美しく見えた。そして近隣の山々を地図で確認する。駒ヶ岳でも感じたのだが、やはりここは気持ちのいい所だ。それは景色のせいというよりは、きっと「こんな所誰も来ないだろう」という独占力のせいかもしれない。しかし風と日差しが共にきつく、10分程で下山を開始した。峠を越え、リッジになっている痩せ尾根を渡り、林の中へ。12時40分、750mのスキーデポ地に着き、昼飯にした。スキーを装着し、ここから遅かりしながら今日始めての滑降開始。狭い雪庇の上と、薮の合間を縫って慎重に下る。ザラメになりかけた堅めの雪だったが、スキーは意外と言うことを聞いてくれた。沢のスノーブリッジになっている所を渡り、13時30分林道着。後はスケーティング。ぼーっとしていたら、自分の車が見えてきた。14時、無事下山完了。

800m地点のナラ林 850m地点より稜線
900m地点より稜線 980m小ピークを望む
豪士峠から山頂 豪士山頂
置賜盆地を望む 竜ヶ岳方面をバックに
(初めてのセルフケア撮影)
元宮キャンプ場の看板より