登山者情報691号

【2003年3月16日/倉手山(953m)/吉田岳調査】

 今回はあまり雪山に慣れていない3名を、手頃な高さの倉手山につれて行くことになった。7時30分、町のコンビニに集まり、そして梅花皮荘へ向かった。10名ほどの登山グループが車を脇に止めた。聞けば同じ倉手山へ行くとのこと。内心「ラッキー」と思った。トレースを付けてもらえるからである。
 8時10分、出発。3名はかんじき、私はスノーシューを持った。傾斜がきつい事、雪が締まっている事、先行者がいる事を考えれば、かんじきの方が良いのだろう。しかし試しの意味で私はスノーシューを選んだ。吊り橋を渡り、雪崩の危険地帯である崖下の林道をクリアした所でかんじきを付けた。ここがもしもっと危険な状態の時は、登山を中止した方が良い。8時50分、登山口に着いた。ここから心臓破りの急登がしばらく続く。ストックを短めにして、ゆっくりと歩き始めた。我々の足回りは長靴。正確には男性2人はスパイク長靴である。登山靴である必要はなさそうだ。しかしストックよりはピッケルの方が実用的だったと反省。四つ足あるいは柴を掴みながら登っていると、ふとマンサクの花が見つけられた。あまり綺麗ではなかったが、初マンサクである。平らな所で休憩をとった。
 3人とも、体力面は大丈夫のようである。暑くなってきたため上着を脱ぎ、強い日差し対策に帽子やサングラスを着けた。杁差岳は少し雲がかかっていた。予報ではだんだん曇り空になるとのこと。その前に山頂に立ちたいものである。700m付近では、飯豊が北限という常緑のヤマグルマがなかなか美しかった。高度が上がるにつれ、地神山・扇の地紙等が見えてきた。大境山・枯松山も真っ白い姿で聳え立っている。休憩ごとに食べたり飲んだり(アルコールではありません)しながら、景色を楽しんだ。先行の10名パーティーからどんどんと差をつけられる。追い抜いちゃう心配は全くの無用だったようだ。790m小ピークを越え、痩せ尾根に入る。顔を覗かせていないクレバスが所々にあり、T氏は何度もはまっていたが、何故かうれしそうであった。かんじきが初めてというK子氏は、引っ掛けたり外れたりする事もなく上手に歩いていた。
 11時50分,最後の急登を登ると、突然視界が広がった。飯豊連峰の稜線が一気に目の前に現れ、360°の展望になったのである。これが正にこの山の魅力である。K美氏は曇る前にと、目的だった写真撮影に取りかかった。私は会場設営。スコップで円形のテーブルとその周りに座る所、そして風除けも造った。それから食事の準備である。メニューはキムチ鍋に餃子、とろろリゾット、チリ味うどん、チーズにライ麦パン、そしてフルーツ。ビールとワインもすぐ空になった。そして最後はコーヒーで締める。
 14時、満足した我々は下山を開始した。滑れる所はお尻あるいはマットを使い、滑り降りた。酔ったT氏は危険人物と化していた。林が出て来てからも、尻セード−はしつこく行われた。ブッシュ帯に突っ込み8cm程のフ゛ナの木がグサッと揺れたが、何故か3人とも無傷なんて事もあった。隊長はヒヤリである。何はともあれ、15時20分、林道に出た。そして16時、無事梅花皮荘に到着した。ちなみにその後は泡の湯温泉につかり、越後屋で手打ちうどんを戴いた後、巨大かまくらでの音楽鑑賞会に参加。雪を堪能した一日であった。

雪山にヤマグルマの翠 しまった!はまった!!
頂上付近、急登での2人 頂上間近、決まっている?3人
山頂昼食会 頂上からの展望<鉾立峰と杁差岳>
<枯松山と大境山> <飯豊山>