【2003年04月29日/梶川尾根〜石転ビ沢/井上邦彦調査】
梅花皮荘との分岐である大渕で車両は交通止めとなっている。小国町役場に確認したところ、調査の結果まだ雪の上に乗っている石があって落石の危険性があるため、連休後に再調査を行い、交通止め解除はその後になる予定とのことであった。
前回どおり、大渕に車を止め自転車で天狗平に向かう。途中の車道には小さな石が落ちていた。新しくなった湯沢橋の袂に自転車を置き、登山靴を担いだままズック靴で登り始める。イワウチワやイワナシの他、タムシバ・ショウジョウバカマ・イワナシも咲き始めている。標高800m付近から雪道と夏道が交互に出てくる。殆ど潜らないのを良いことに、親指を曲げる独自の足運びを使ってズックでさらに登る。1,021m湯沢峰ピークの下りで単独の登山者とすれ違う。滝見場の手前で夏道はなくなる。滝見場でプラスチックブーツに履き替え、ピッケルを抜く。五郎清水(勿論埋まっている)を過ぎると亀裂が多く、ルート選択に留意する。五本樺(仮称)の休み場は雪がなく、腰をおろして展望を楽しむ。
北東から大きな尾根が合流するトットバノ沢源頭付近は、視界の有無に関わらず下降時のルート判断が難しいので留意すること。ピッケルをストックに代え、梶川峰手前で融雪水を汲む。梶川峰の標識付近やケルン付近には雪がない。
扇ノ地紙の広場はすっかり雪で埋もれているが、稜線上の夏道は露出しており、扇ノ地紙の木柱、胎内山の石柱ともに明確である。稜線の東側には巨大な雪庇が続いている。門内小屋周辺はすっかり雪が消えており、便所以外は使用できる。また、小屋手前の鞍部には融雪水が勢い良く流れていた。門内岳から雪を下ると、北股岳まで殆どが夏道であり、僅かに新雪の名残が部分的に残っていた。北股岳山頂から御西小屋を遠望すると、小屋の二階部分が出ているようだ。
梅花皮小屋の周辺にも雪は全くない。小屋の二階出入口(冬季出入口)の風除室に雪が大量に吹き込んでおり外からは開かない状況であった。中から入って除雪を行う。おそらくは入口のドアを良く閉めずに出て行った登山者がいたのであろう。今回は幸いに一階から入れたが、一階入口が雪で埋もれていれば小屋を使用できないことになったであろう。その他は2階の換気穴のケースが1個壊されていた程度であった。また冶二清水のパイプから水が出ていた。全体として例年より雪が少なく感じられた。
石転ビ沢を下る。雪は軟らかめでグリセードは一部しかできない。北股岳慰霊碑付近からのブロック雪崩跡の他、北股沢出合上部に複数の亀裂が入り、デブリとあいまって下降時にはルート選定に留意が必要である。北股沢出合とホン石転ビ沢出合の間、左岸上部から雪崩の跡があり、雪渓上に大きな雪塊やデブリが敷き詰められていた。
石転ビノ出合では、冬季に門内沢から巨大な雪崩があったらしく、雪渓の凹凸が例年と変わっていた。石転ビノ出合、左岸の小沢は上部からの雪崩の危険性が高く、右岸の小沢は取り付きが危なく、ともに使用できる状態にはない。梶川出合上流の左岸水場は使用できるが足場注意。脇の大岩が既に露出している。梶川は出合直前まで大きなデブリが押し寄せている。地竹原末端の雪渓が狭くなる部分から左岸の夏道に入る。例年のことだが、木が倒れたり道が崩れたりしており、今後の補修が必要。彦右衛門ノ平は雪の上、まだ多少雪崩の可能性もある。下ツブテ石に降りる沢の雪渓に穴が開き始め、ルート選択に神経を使う。その後、平坦地まで夏道となり、新緑のブナ林を上の砂防ダムまで歩く。温身平の交差路から除雪された砂利道を歩いて天狗平へ向かう。
所要時間
大渕05:26→05:56湯沢06:00→06:29楢ノ木曲リ06:38→07:12旧湯沢峰→07:19湯沢峰→07:47滝見場08:08→08:46五郎清水→09:19五本樺09:31→10:01梶川峰→10:12ケルン→10:42扇ノ地紙10:58→11:21門内小屋→12:15北股岳12:21→12:34梅花皮小屋13:42→14:17石転ビノ出合→14:30梶川出合→14:39地竹沢→15:18上の砂防ダム→15:26ブナ滴15:35→15:41温身平交差路→15:58湯沢16:05→16:21大渕