登山者情報701号

【2003年05月01-03日/石転び沢〜飯豊山〜梶川尾根/木内茂雄調査】

メンバ−  JM7ODD、JO7AQL、友人:近藤、大塚、林(計5人)
タイム    (5/1)飯豊山荘5:30〜6:05温身平砂防ダム〜6:50ウマイ水清水〜7:25梶川出合〜8:00石転び出合8:20〜9:20本石転び出合〜10:20北股沢出合〜11:37梅花皮小屋  (5/2)梅花皮小屋6:40〜7:03梅花皮岳〜7:22烏帽子岳〜9:52御西小屋10:10〜11:20飯豊山(三角点)11:30〜飯豊神社12:02〜12:16飯豊山〜13:20御西小屋13:28〜14:26御手洗の池14:35〜15:30烏帽子岳15:40〜15:57梅花皮岳〜16:12梅花皮小屋  (5/3)梅花皮小屋6:24〜6:51北股岳6:57〜7:40門内小屋7:55〜8:12胎内山〜8:15扇ノ地紙8:25〜8:55梶川峰〜12:30飯豊山荘

記  録
  (5/1)
去る4月29日に井上氏が梶川尾根から北股岳経由石転び沢に行き、ホ−ムペ−ジに記録を載せているので、印象に深い事を記す。
私の最近の登山は、高山植物の花の写真撮りを主体としているので、雪の山はあまり気がすすまなっかたが30数年来の山の友(今は博多、東京、千葉)の頼みなので案内することとなった。
天気は快晴、気温も高く長袖シャツで歩いて丁度良い。新緑のブナ林と残雪を眺めながら温身平砂防ダムまで砂利道を歩く。雪解け水がドウドと落ちる音を聞きながらダムの階段を昇る。それから登山道を歩くが何処かでイワウチワとカタクリの可憐なピンクの花とショウジョウバカマの花を見つける。やがて雪の上を歩くようになり、ババマクレの上部で沢の雪渓に降りて梅花皮小屋まで土踏まずであった。快晴なので道に迷うこともなく唯、小屋を目指して歩くのみ。
石転び出合でアイゼンを付ける。(傾斜が緩いので本石転び出合手前まで付けなくても可)ブロック雪崩の跡が有るので見上げて見ると左岸は日照時間が長いので大分落ちた形跡が有る。そして、右岸はまだ大分雪が着いていて亀裂も見えるので今日の午後か数日の内に落ちてくるだろう。幸い、我々は午前の通過だったので雪崩に遭う事もなかった。夏であれば黒滝の上部辺りだろうか(梅花皮小屋まで1時間程度の所)極度に雪の傾斜がキツクなり、踏み外せば一直線で真下に落ちて行ってしまうので緊張する。尚、昨日の下界での風雨は石転び沢から上は数pの雪であった様で新雪を見かけた。晴れているので小屋まで迷うことは無いが、無雪期と比べ雰囲気が少し違う感じで梅花皮小屋に到着した。
連休中だというのに、登山客は一人しか来なかった。その夜は、遠来の友に山形名物の“芋煮“を味わってもらい、また変わった酒も飲んでもらい楽しい一夜をすごすことが出来た。
(5/2)
今日も快晴で気温も高く長袖シャツで歩く。ODDは小屋に残り我々4人で本山を目指す。梅花皮小屋周辺に残雪は無く、稜線上も雪が無いのでアイゼンなしで歩き始める。梅花皮岳から烏帽子岳まで順調に進む、快晴なので四方景色を見渡すことができる。朝日連峰も遠く雲の上に稜線を見せてくれる。残念ながら月山、鳥海は春霞に曇り見えない。
烏帽子岳の下りは直ぐに雪を歩く様なり、傾斜が有りナイフリッジのような箇所になったので安全を考えアイゼンを付ける。しかし、雪が柔らかく結果的には付けなくてもよかった。下部の方で夏道が出ていたがアイゼンを付けたままなので雪の上を歩く。相変わらず天気が良いので道に迷うことも無い。しかし、ガスなどで見通しが悪いとクサイグラ尾根に迷込む様な気がする。
夏道は雪の下なので御手洗の池は見えず、そのまま天狗の庭まで進む、一部夏道が有ったが雪の上を歩く、霧等で見通し悪ければ夏道を通ったろう。見通しが良く、御西小屋が見えるので雪の上を好きな様に歩く。御西小屋周辺は霧であれば道を探すのに苦労するはずだが何の苦労も無く小屋に着く。小屋の一階部分は雪に埋まっていて、二階の冬用入口から中に入れる。別棟のトイレは屋根だけが出ていた。
そして、まずは本山を目指す。磐梯山を右遠くに見ながら見えている本山に向かう。快晴なのでどう歩いても道に迷うことはないが、この辺りも地形に特徴がないので霧などで見通し悪いと目標を間違い易い。必ず、地図、磁石は持参である。駒形山の上りから夏道になったのでアイゼンを脱ぐ、そしてそばの笹にアイゼンを干して本山へと向かう。
頂上では、今山行希望の首謀者のH氏の記念写真をまず撮る。(彼は百名山を目標にしているため)
此処は一等三角点なので本当は飯豊神社の有る方が飯豊本山なのだと言ってしまったので神社まで付き合わさせられる羽目となってしまった。神社の隣に有る本山小屋の周囲に雪は殆ど無く、一階の通常の入口より中に入られる。
一服後、今来た道を引き返す。駒形山の下部に置いたアイゼンをザックに仕舞った。(そのまま梅花皮小屋まで歩いた。)御西小屋から大日岳までピストンして来る計画であったが時間と体力の関係で断念する。来る時、H氏は昇りたいと言っていたが何だかんだのの理由をつけて結局4人全員天狗ノ庭方面へと足を向ける。
天狗ノ庭で一部夏道が出ていたのでそれを歩いたが、雪の上の方が歩き易い。途中、短い急傾斜もグリセ−ド−でなく足二本でスキ−のようにして下ることも出来た。烏帽子岳の下部から少し上り、夏道を歩く、此処は朝来た時と違い、上部の雪に亀裂が生じていたので安全を考えこのル−トをとった。後は、何の問題もなく(顔はかなり日焼けしたが)梅花皮小屋に着いた。
(5/3)
今日も快晴、朝から気温高く長袖シャツで寒くない。まずは北股岳を昇る、下部途中より雪になりかなりの急傾斜をアイゼン無しで慎重に昇る。頂上からは夏道で、門内小屋、扇ノ地紙まで殆ど雪無しであったが、梶川尾根に降りる方向にはタップリ有り、木柱の標識が無いと下降点を見落としてしまう。
ケルン、梶川峰、五本樺(仮称、以前までは八本くらい岳樺が有った)までは問題なく下ったが、此処からは急傾斜で滑ると危険性が有るのでアイゼンをつけて慎重に降りる。途中、右手遠く石転び沢を見ると二日前より雪崩が進んだのが良く見えた。この暑さでもっと多く発生するだろう。途中、雪に刻まれたトレ−スが無ければル−ト判断に何度か迷う。滝見場過ぎ辺りまではアイゼンが必要で有ったが、日に日に上部に雪が解けて行き条件が良くなっていくだろうが当分油断は出来ない。
更に下っていき雪が無くなるとカタクリ、イワウチワの花が目立ち始めたが私の愛用するカメラが思うように動かなくなりだした。飯豊山荘近くのタムシバ、シャクナゲを何とか撮ったのが最後でついに動かなくなってしまった。(まず途中の故障でなくて幸いであった)
最後に反省として、久しぶりの5月の雪山だったので寒さ対策で毛糸の帽子にして行ったのがアダとなり、三日間の快晴でもの凄く日焼けしてしまった。帰ってきて数日後、顔の皮は剥けるは、メガネ猿、赤鼻のトナカイよろしく大勢の知人に大笑いされた。
                                            完  (JO7AQL 記)   

温身平にて(左から大塚・林・近藤) 石転ビ沢雪渓
近藤・大塚・林・木内 北股沢出合近くにて 木内
奇妙な雪塊 石転ビ沢上部
石転ビ沢最後の登り 小屋の屋根 梅花皮小屋から梅花皮岳
梅花皮小屋から北股岳 梅花皮岳登りにて北股岳
梅花皮岳山頂から大日岳 烏帽子岳より飯豊山を望む
天狗ノ庭から烏帽子岳 御西小屋トイレ屋根と烏帽子・北股
御西小屋より大日岳を望む 大日岳と御西小屋
本山(飯豊山)を目指す 北股岳山頂より梅花皮・烏帽子・飯豊
北股岳山頂 扇ノ地紙から飯豊山
梶川尾根から梅花皮岳と北股岳 梶川尾根から飯豊山
延々と下る梶川尾根 ショウジョウバカマ
イワウチワ アヅマシャクナゲ
タムシバ