登山者情報718号

【2003年06月19日/捜索/井上邦彦】

04:47合羽を着て菅笠を被り、自転車に乗って天狗平を出発する。05:02上の砂防ダムで自転車から降り、合羽上のみ脱ぐ。05:22うまい水通過。地竹沢で雪を踏む、薄くなっている所があり、足を取られる。05:32近大慰霊碑通過。05:34雪渓に上がる。雪渓を進んでいると、ちょうど事故現場を覆うように虹が架かった。私を呼んでいるような不思議な気分になった。
梶川出合直下、やや窪んだ雪渓の中から水音が聞こえてくる。まもなく穴が開くだろう、ルート選定に留意する必要がある(20日の捜索では穴が確認された)。
05:41梶川出合通過、この先の雪渓崩壊地で左岸から捜索を始める。対岸近くの水の中に赤いものがあるようだ。下流に降って雪渓を渡り、硬い雪渓をカッティングして足場を作り本流に下る。水上に露出している石伝いに、対岸で目星をつけた所に近づき、ピッケルで水中を探ると、赤いシャツが引っかかってきた。片手で引いてみるが取れそうにない。深そうであり流れがあり泡で水中は何も見えない。単独なので危険なことはできない、今日も小国警察署が捜索を行うことになっている。もしかしたらザックや遭難者がつながっているかもしれない、目印として残しておくこととする。そのまま右岸を遡る。
現場は雪渓の崩壊が進んでいた。河床にクライムダウンして覗き込んでみるが、手がかりはなし。現場下流の雪渓は沈下が進んでいたので、数日で崩壊すると思われた。06:09下り始める。
左岸沿いに雪渓を下ると、嫌らしい雰囲気が漂っていたので、小沢から夏道に突き上げる。河床に下る部分にそのままトラバースする踏み跡があったが、夏道どおり下り雪渓に乗るが、この部分はかなりデリケートである。厚さを確認してクライムダウンし河床に下りる。その後は、岩の上に登ったり、すり抜けたり、雪渓に下をライトで照らしたが手がかりなし。06:22梶川出合発。06:38-41うまい水で食事、06:55上の砂防ダムから自転車に乗り、07:04天狗平着。飯豊山荘で小国警察署に伝言をお願いし、小国署向かう。

地竹沢から地竹原
雪渓に上がり下流を眺める 事故現場上空に虹が架かった
梶川出合直下の窪んだ部分から沢の音が聞こえてきた
梶川出合上の雪渓崩壊地
画面中央に赤い物を見つけた 右岸に移動する
雪渓は崩壊の最中である
梶川出合上の雪渓崩壊地を左岸登山道から見下ろす
あちこちに穴が開き始めた
中央の岩が遭難現場
正面は門内沢
事故現場全景
クライミングダウンをして河床から現場を覗く
事故現場の上流から眺める
現場の穴の下流が窪み始めて
崩壊が近いことが分かる