登山者情報736号

【2003年07月25〜26日/石転ビ沢/仁科友夫調査】

7月下旬になっても梅雨明け宣言がなく、今日も朝から雨の中、自宅を出発する。日照時間が少ないため、農作物に影響が出始めており農家は心配である。山の方も、天狗平駐車場もまばらで寂しいところである。
雨を覚悟で2日間の登山を開始、同行者のNHさんは新品の雨着なので、雨を随分歓迎している様子である。
湯沢ゲートから第4砂防ダムまで準備運動がわりに平坦な車道を歩く。うまい水で休憩、軽食を摂る。給水を終え、彦ェ門の平を過ぎて足場の悪いババマクレを通過する。
地竹原を過ぎると落合の湿地帯に出て、まもなく歩くと雪渓が現れる。この雪渓に上がると左岸に黄色の旗があり、夏道の入り口を案内しています。25日は、この先の雪渓を進んで梶川沢出合の下部に出たが、今後は落合のクレバスが大きくなり危険であるため渡れなくなり、落合からは夏道を通って梶川沢に出ることになります。
梶川沢出合を渡渉し、汗をぬぐい小休止する。NHさん、汗をかいたが雨具の内側が全く濡れてないことにしきりと感動している。
つい最近まで残っていた梶川沢の雪渓は、一部分を残して融けました。これにより、梶川沢は飛び石を選びながら渡渉して、対岸の誘導旗に向けて進むことになります。なお、増水時の渡渉は大変危険です。
梶川沢出合の対岸に渡り、大岩を巻いて立ち上がると誘導旗が夏道を指しています。更に進むと赤滝の岩場にさしかかり、流水で濡れている岩場を慎重にトラバースすることになります。今季は特に雨が続いているので要注意です。
石転び沢出合に到着し、対岸へは大石の下部を目標に雪渓を横切るように渡り、夏道に上がります。小休止をして、少し疲れかけたNHさんのザックの荷物を一部私のザックに移すことにする。大石の脇のイタドリの中を100mほど進むと本格的な雪渓が現れ、ここからアイゼンを装着します。ここで今日初めて石転び沢を降りてきた登山者とすれ違う。依然として雨は容赦なく降り続く。
本石転び沢出合は、出合の中央部にこれまでになかった大量の土砂を伴ったデブリが現在発生しておりますので、今後のルート選定に注意してください。左岸の水場で休憩を取る。GZKから天候の連絡があり、午後2時頃まとまった雨が降るとのこと。先を急ぐことにする。
北股沢出合は大小様々な落石がここに集中している。今後、融雪に伴っての自然落石が心配されるので、常時上部に気を配って登ることになります。また、ここから草付きに取り付くには、一旦手前の尾根末端に取り付き、50mほど登ってから雪渓上をトラバースをして草付きに上がります。

今後、草付きに取り付くまでのコースは、夏道コースが顕著になるまで雪渓上が不安定ですので、安全なルートを選んで登るようにお願いします。
草付きの登りは踏ん張りどころである。NHさんの苦しい姿を見ると、もう二度と来ないぞ、と言わんばかりの表情がうかがわれるが、もうここまで来たからには戻るわけにはいかない。ガンバの声が飛び交う。
梅花皮小屋直下にはまだ豊富な残雪が付いていますので、夏道が現れるまで朝晩の登降時は、滑落に注意が必要です。最後の登りは、梅花皮小屋管理人の関さんから声援を受けながら無事到着した。NHさんの疲労も最高点に達していたが、初めての石転び沢登頂に疲れも忘れ、感動でいっぱいのようでした。
梅花皮小屋脇の治二清水は、水量豊富に出ておりました。きれいな水洗トイレも快適に使用させていただきました。
梶川沢出合の状況
本石転び沢出合の状況