登山者情報770号

【2003年11月24日/中沢峰―平岩山―大玉山/井上邦彦調査】

05:30自宅発。野川ダム建設現場を過ぎると道路は極端に狭くなる。路面が一部凍っており、ブレーキを踏むとABSが作動した。木地山ダムを渡ると祝瓶山が赤く燃えて聳えていた。
祝瓶山荘の駐車場に車を止める。登山者カードの置いてある電話ボックス(電話機はない)を開けるとカードは撤収されており、吊橋の踏み板を撤去した旨の張り紙があった。気温は+1℃。
07:03道標に従い数軒の小屋が立ち並ぶ中、杉林へ入り尾根に取り付く。07:14杉林を抜けると、ヒメコマツとナラの雑木林となる。振り返ると落葉した木立越しに祝瓶山が聳え立っている。雪の上にはスパイク長靴1名の足跡がある。次第に雪が多くなり、イタチ・リス・ウサギの足跡も加わる。07:13小ピークを越える。07:50急坂を終え、瘠せた平坦な尾根となる。大朝日岳が木立の間から見える。07:55(1031m峰)右から尾根を合わせる。08:07右から大きな尾根を合わせる。付近はブナ疎林であり、標識が雪に埋もれていた。
僅かに下ると中沢峰が見えた。右斜面の雪が着いた潅木が美しい。08:16小峰を通過する。08:20-29食事、足が冷たくなってきたのでウエットスーツ生地の靴下を履く。先行者のトレースが左下に下っている。よく見ると踏み跡があるようだ。08:31すぐ先に石碑があった。三体山の奥に飯豊連峰が白く浮かんでいる。いよいよ中沢峰の登りになる、09:00ぽっかりと伐採地のような所に出た。笹原の中はつぼ足となり速度が落ち、中沢峰が遠く感じる。祝瓶山に追い立てられて09:22尾根上に出る。ここで地図のとおりに右に曲がる。ガスが出て視界がなくなる。登山道は様々な獣達の足跡が多い。足跡の脇に何かを引きずっているような跡は、ジャンプ時に足が設置するのだろうか。僅かに登ると細い尾根となり09:30-32石碑があった。ここが中沢峰の山頂であろう。
登山道は左に曲がってすぐ、09:33左へ急に下る道があった。視界はないが、まっすぐ進む道は葉山方面に向かう道だろう。左の踏み跡を一直線に下る。道は荒れてくる。09:48-52最低鞍部で食事。振り返ると、ここもバリカンで刈ったような植生である。途中からジグザグに登る。20cm程度のつぼ足ラッセルである。10:19より平坦になる。ノリウツギの花に雪が付着し美しい。10:24小峰を通過すると、目の前に山が現れる。20cmから膝下のラッセルとなり、歩幅が次第に広がる。左に巻く、10:30ガス切れ始める。飯豊連峰が天空に浮いている。10:34小峰を通過すると、すぐ前に山が現れる。どれが前御影山か分からないが、遠くから見た姿からすれば、御影森山には必ず急斜面があるはずと思って登っていると、ガスが切れ眼前に尖った峰が聳え、右側はガスが湧いている。10:45-57ようやく前御影森山に着いた。絶好の展望台だ。食事をし、ODDと無線交信を行い、デジカメの電池を交換する。
ひと登りで11:33-35御影森山に到着した。朝日鉱泉からの登山道を右から合せ、立派な標柱が立っている。三角点にカメラを置いて記念撮影。大朝日岳の展望が素晴らしい。平岩山へは幾つかの峰が連なっている。山頂から下りかけた所でGZKと無線が繋がる。11:55小峰を通過、12:10-16大きな峰で食事を取る。12:20鞍部に「大沢峰、水場100m」と書かれた標柱が立っていた。右手の水場斜面には獣達の足跡が散乱していた。12:25水準点のある小峰を通過する。次の鞍部には歪化した樹木と背の高い潅木が生えている。いよいよ平岩山への登りになる。12:52登山道以外は雪が殆どなくなる。道を外れたハイマツの方が歩きやすい。13:06登りきると平坦な高山帯の稜線歩きとなる。13:16平岩山頂には「野川源流」と書かれた杭が立てられていた。僅かに下り、13:18平岩山の標柱に着く。毎年6月に開催している朝日連峰山開きの終点地である。ここから大朝日岳の間は風が強く冬も雪が着かない。若干下って、13:22-50ラーメンを食べ缶ビールを飲む。13:52旧キャンプ場分岐峰を通過する。祝瓶山との間を壮大な滝雲が越えていく。14:03「平岩の清水」標柱を通過する。この標柱も愛する会で設置したものである。14:31北大玉山々頂。太陽はまだ高いが雲が姿を隠している。雲の下層が切れて赤味を帯びている。手前には薄っすらと白い化粧を施したごつい姿の大玉山、置くにはすらりとした祝瓶山、遠くには純白の飯豊連峰を配置し、墨絵に淡く紅をさした一幅の絵画である。永年山を歩いていて、このような光景は始めての経験である。
14:40北大玉分岐の標柱を過ぎて下りにかかると雪が少なくなる。鞍部を過ぎると再び雪が多くなる。雪に隠れて足場がよく見えない。下はスラブになっているので慎重にトラバースする。15:03最後の鞍部を過ぎて急斜面となる。登山道が掘れているので、何処が抜かるか、何処が滑るか分からない、間違うと膝までのラッセルになる。相変わらず獣達のトレースが続いている。傾斜が緩くなり潅木抜ける左手の視界が開け、山頂への道となる。15:27山頂の脇を過ぎる。山頂には標識などはない。木地山ダムを見下ろす。気温は+1℃。ODDに帰宅が遅くなる旨の伝言を頼む。15:48急に歩きやすくなったと思ったら、熊の足跡の上を歩いていた。熊の足跡は小国側の潅木の中に続いていた。15:52水準点のある小峰を過ぎる。15:57急な下りが始まる所は素晴しいビュウポイントになっている。野川からガスが上がってきた。歪化したブナ林になると、雪も気にならなくなった。16:09-13鞍部にある「水場」の標柱を過ぎ、16:20赤鼻の分岐となる。
薄暗くなってきたので、祝瓶山を撮影しようとするとストロボが自然発光する。左の尾根に下ると雪はなくなる。16:26鎖が設けられていた。16:36左の沢が近くなり、尾根が瘠せて傾斜が緩くなるが、すぐに良いブナ林に入った。16:39-42ブナ林の中でウイダインを飲む。16:49小沢を飛び石伝いに渡渉するが、道は幾分下流にあり、斜め下流に渡渉することになる。ここでヘッドライトを頭に着ける。程なくライトなしでは歩けなくなる。16:58ナカツル尾根分岐の標識を通過する。真っ暗だとカメラが作動しないので、標識にライトをあて、撮影する。沢を渡り、雪崩による倒木跡を過ぎる。17:15杉林に入ると、野川源流への踏み跡と合流し、河岸段丘の車道跡を進む。
17:21吊橋は登山者カード記載ボックスに書かれていたとおり、板が撤去されていた。梯子状に鉄の横板が残されていたが、体重をかけると動くものが数本あった。一本橋の要領で渡り終える。あとは流水などで車の通れない車道跡を辿り、17:31祝瓶山荘の駐車場に到着した。

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