登山者情報793号

【2004年03月14日/枯松山/井上邦彦調査】

先々週は枯松山まで後一歩の所から下山した。今回は同じコースを辿って何とか枯松山まで登るべく計画した。先々週に山すきーの金具を破損し修理中なので、前日に店から別なスキーを借りた。普段使っているスキーと比べ10cm長く、ストレートな旧型な板である。前夜兼用靴に金具を合わせる。一回も滑ることなくぶっつけ本番で使用することには一抹の不安を感じた。
起床してお握りをレンジで暖めテルモスに紅茶を詰める。05:47大淵橋手前に車を止め、旧長者原キャンプ場から杉林に入る。細い尾根上を登っていくが、スキーが長い分、キックターンが面倒である。06:14-18スパッツを着ける。リスとウサギの足跡が散乱している。前回登ってきた小尾根を合わせたところから、杉林と452m峰の間を平行に滑り、452m峰先の鞍部に上がる。452m峰西面は大規模に雪崩ている。尾根を忠実に詰めようとすると、雪が割れていたので一箇所スキーを脱いで越える。適当な高度まで尾根を登り、上オバタケ沢支流の源頭を平行移動して06:31主尾根の鞍部に出る。
後はブナ林の中を順調に高度を上げる。前回よりもスムーズに感じる。730m06:50左から大きな尾根を合わせる。さらに左から小沢が入る。薄っすらと積もった新雪に獣の足跡が続いている。表面だけの新雪はシールを付けていても滑る。シールは幅が狭いので、斜登時には殆んど効かない。スキーの感覚がいまひとつつかめない。790m06:58-07:04平坦広大な尾根上で食事を取る。07:00のサイレンが聞こえる。
程なく右手に松のある789m峰が見えてくる。07:18ピーク脇を通過し、枯松山と対面する。新雪が吹き飛ばされた所の雪は黄色を帯びている。黄砂であろう。820m峰07:32ここから一帯の平坦な地形をウサギダナイと呼んでいる。927m峰を見上げると、前回と異なり亀裂が走っている。780m07:39鞍部を通過し、07:42-54食事を摂る。ここでクライミングテープとカラビナを準備する。890m08:10亀裂の下、スキーを脱ぎカラビナとテープでスキーを体に繋ぐ。スキーを曳いてキックステップで亀裂を越える。そのまま雪庇を壊し、920m08:25県境尾根上に出る。
スキーを履いて雪庇に注意しながら進む。一部藪の中を通る。スキーの長さを利用して亀裂を越えるが、亀裂のラインと一致し踏み抜くが、瞬間身体を倒して難を逃れる。08:46-49スキーをデポしキックステップで登り、08:59-09:05に969m峰山頂に到着、食事とする。
この先は初めてのルートである。東面はすっぱりと切れ込んで雪も着いていない。必然的にルートを西斜面に取るが、かなりの急傾斜である。高度を下げて通過しようとしたが、急斜面の堅い雪面と岩場に出て、ピッケルなしで通過は無理と判断、登り直す。09:28藪漕ぎに邪魔なストックをデポする。強引にシャクナゲなどの藪に掴まってトラバースする。足場が不安定なので両手に力が入る。925m09:42最低鞍部に何とか到着する。この付近はまるでは歯が欠けたような景観なので「ハッカケ」という地名だと藤田栄一氏に聞いた。
ここで地図とコンパスの紛失に気づく、すぐに取り出せるようにザックのポシェットに入れていたのだが、紐が出ており藪に引っかかったらしい。カモシカの足跡を辿ると、所々獣道のようになっている。程なくブナ林となるが、林床の笹が露出している。1,000mから雪面となる。空腹で身体が思うように動かなくなったので、09:57-10:06食事とする。
雪が次第に堅くなってきたので、芦倉ワカンを履いてアイゼン替りとする。ピッケルなしなので、潅木の先が露出しているルートを取る。1,090m左から大尾根を合わせると傾斜が落ちる。葡萄山、大境山が見える。
10:34-55枯松山々頂1,119m。三角点は若干外れた所に露出していた。大展望を楽しみながら食事を取る。山頂付近は爪がないと歩けない。
955m11:14-18まで下ってワカンを脱ぐ。925m11:21鞍部を通過する。ここから再びシャクナゲの藪へつりが始まる。11:35ストックを回収する。11:39藪に引っかかっていた地図と磁石を見つけて回収する。
11:55-12:35、969m山頂に戻る。NOOと交信しながらデザート付特製ラーメンを楽しむ。雪がざけてくる。12:41-43スキーを回収。13:00-12、927m峰でシールを外しワックスを塗り、スキーを曳いてキックステップで下降する。亀裂を過ぎて、13:25靴を締めて滑降を開始する。スキーの感覚が取れるまではキックターンを繰り返す。スキーを曳いて13:45ウサギダナイに登る。次第にスキーに慣れてきた。13:49ピーク脇を通過する。あとは快適な滑降を楽しむつもりであったが、雪が重くなり転倒を繰り返す。疲れ切って14:00-05休憩。鞍部からトラバース気味に降り、14:13尾根に上がる。14:19尾根から外れて杉林の上部を下るとマルバマンサクが咲いていた。今年初めての出会いである。そのあとは杉林を下って旧キャンプ場に出る。14:35車道に降り立ち、14:38車に戻る。

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