登山者情報803号

【2004年04月22日/大日杉〜地蔵岳〜無名尾根〜一王子〜飯豊山/井上邦彦調査】

28日に開通したばかりの九才峠を越えて、大日杉小屋まで車で入る。小屋のトイレを利用させていただくが、あいかわらず暗い。05:04小屋から歩き始めるとすぐ雪の上になる。杉林を抜けてザンゲ坂の急斜面になる。ピッケルが欲しい所だが面倒なのでストックのみでキックステップで登る。慣れない人はアイゼンが必要だろう。05:24「ざんげ坂」菱形の看板が付けられたブナは半分朽ちていた。ここより尾根の夏道となる。雪道となってほどなく、05:44左のブナに菱形の「長之助清水」標識が付けられていた。ここからは全て雪道である。05:50御田杉の根元は露出しており標柱も確認できた。結構硬い雪で順調に高度を稼ぐ。06:10-19食事を摂りスパッツを履く。遠望する剣ケ峰は白い。騙し地蔵を左から巻くと飯豊山が見え、その直後に雪煙が舞う地蔵岳が見えた。昨夜の降雪だろうか白粉を叩いたようだ。06:46滝切合を通過する。07:08-15地蔵岳山頂、三角点は新雪に埋もれていた。GPSの容量を確認すると24%であった。風で手が冷たい、軍手・カッパを着て自宅に電話をする。
当初は御沢から草履塚に突き上げる尾根を登る予定であった。しかし正面の飯豊山に直接突き上げる尾根の状態が良かったので、急遽ODDに電話をしてコース変更することとした。07:26地蔵岳から下りきった鞍部から右の斜面に入る。07:35-39斜面のトラバース続きなので足が疲れてきた、アイゼンを履く。雪崩で沢が確実に塞がっている場所を検討付け、対岸の尾根を目指して下ると急斜面になる。大又沢に穴が開いているのが見えた。ルートを慎重に選び、デブリを利用して沢を渡る。07:55-8:00沢底で食事を摂る。高度計は1,230mを示している。GPSをセーブする。
沢に入ると右手の尾根からの雪崩が怖く感じられたので、そうそうに左の尾根に取り付く。雪面の亀裂の上に新雪があって腰まで潜り、突破に苦労する。1,380m08:23-28尾根上で食事を摂る。08:59風が出てきたので再び軍手とカッパを着用する。1,610m09:06-11無線機のバッテリーを替える。草履塚が見えた。風が強い。GPSのセーブをする。1,790m09:35右から大きな尾根が合流する。風がますます強くなる。一ノ王子等が見える。尾根の右手が切れている。09:42-46ハイマツに隠れて風を避け食事を摂る。氷粒を含む風のため顔が痛い。カッパの頭を被るのに苦労する。風でストックが定まらずバランスを崩す。ピッケルを抜いて万一に備える。若干右に斜上して水場道に出る。
10:31一ノ王子分岐標柱に到着、大日岳が見えた。雪のない稜線を進み、10:41本山小屋に着く。ドアが壊れているトイレは雪がびっしり詰まっている。小屋は神社側の窓がひとつ開いている。このまま三角点を目指す。風強く手が冷たい。ポケットに手を入れて風に煽られふらふらと進む。10:55-11:04飯豊山々頂。展望は申し分なく、北股岳方面から大日岳まで白く輝いていた。
11:16-12:18本山小屋に戻る。冬季出入口を確認するが予想通り凍りついて開かない。夏出入口は雪に埋まっている。アイゼンを脱いで夏出入口脇の窓から小屋の中に潜り込む。内部を確認すると、2階の開いた窓から雪が吹き込んでいた。雑炊を肴にビールで乾杯する。ロングスパッツの破損を知る。風で煽られて歩いている時にアイゼンを引っ掛けたらしい。
カッパ上下を着込み、オーバー手袋の完全装備で外に出ると、風がなく拍子抜けする。アイゼンなしで下る。登って来た二人の足跡がある。小屋に立ち寄らず三角点に向かったらしい。12:37御前坂下の標柱の文字は風雪で消えていた。振り仰ぐと私が登った尾根を下っている2人がいた。姥権現手前から左手の雪斜面に出てそのまま草履塚に登り、13:13草履塚で山頂に出て、また雪斜面を下る。表面に浮き上がった氷の薄板が賑やかな音を立てて落ちていく。鞍部から右の夏道を辿り、13:29-34切合小屋を確認する。冬季出入口に使っている窓が見るも無残に壊されていた。雪は入っていないので最近の仕業だろう。凍った窓を強引にこじ開けたようで、サッシの上端がゆがんみ硝子が割れていた。トイレは使えそうである。
背負っていたピッケルを持って、御沢に降りる。新雪でグリセードにはならない、かといって尻セードはカッパがもったいない。下りきってピッケルをザックに付ける時、何気なくGPSを確認すると電源が切れていた。慌ててチェックするとバッテリーが無くなっている。出発時に半分あるから大丈夫と思ったのが拙かった。私物缶の中に4本の予備電池があるが、2本なのでビーコンから流用した。見上げると、カール状の地形は雪庇が張り出し美しく輝いていた。何処からか人間の声がした。登山者2人が切合小屋に直接突き上げる尾根に取り付いていた。私と逆コースを歩いている2人は種蒔山方面を経由して登ったようだ。
14:09御坪は祠の部分だけが露出していた。直登尾根(私が登った尾根)を下っている2人のトレースを面白く眺めながら進む。14:39-45食事をしていると、前のピークを登っている2人が見えた。下っている足跡はないので、直登尾根を下ってきた2人だろう。15:08鞍部を通過する。彼らのトレースを使わせていただく。15:24-44地蔵岳山頂で休憩していた2人に会う。良く日焼けした顔は、頻繁に山に登っていることを示している。白石から来たとのことで、私より1時間遅れで出発し、私と逆周りをしたことになる。
彼らと別れ雪斜面をどんどん下る。1,080mから夏道も出てきたが、故意に雪上を下る。970m16:12御田通過する。長之助清水を過ぎてから夏道となる、部分的に雪もある。16:23-29食事を摂る。イワナシとイワウチワが咲いていた。16:34ザンゲ坂の標識を通過。ピッケルを抜いてグリセードで快適に下り、16:43駐車場に戻った。

下山中にバッテリー切れのためGPS作動しませんでした

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