登山者情報806号

【2004年05月02-03日/石転ビ沢〜大日岳/山田亘調査】

 この連休は色々考えたが大日岳にした。大日岳は2001年8月18日に登っているが、展望を見れず残念に思っていた。GPSは60秒毎で設定した。これは30時間採れる設定だが、その代わりログは粗くなっている。
5月2日
 05:56天狗平(410)、曇っている。おなじみのブナ林を行く。06:15温身平(450)、06:38砂防ダムに上がる(500)。カタクリが咲いている。新潟のものより小振りで色が濃い。06:44ブナ林で井上さんとすれ違う(500)。雪に乗る地点、雪渓の状態などを話されると「まんずまんず」と去っていった。エアリアを書いている人がコースを教えてくれる。Hospitalityのような暖かいものを感じる。 ところどころ雪が残り、デブリを越えて進むところもある。夏道の感覚とは随分違和感があるが、07:15本流が大きく曲がるところで下つぶて石とわかる(600)。その先の流れがカーブするところに上つぶて石が見える。この近辺イワウチワが咲き、登路はかなり狭かったと思う。07:25上つぶて石を見下ろしながら通過(600)。しばらく足場の悪い歩きが続いた後、雪の残る地竹原を行き07:46地竹原末端で雪に乗る(650)。(昨年6月7日のログでは地竹原の最初の方で雪に乗っている。やはり今年は特別なのだと思う。)
 その先梶川の出合までは雪渓が波打っていたり、薄そうな所があったりで、できるだけ安定していそうなところを進んだ。08:01梶川の出合(690)を過ぎると、青空が後から広がってきた。行く手のガスが薄れていき、正面に門内岳の稜線が見え、左手を見ると08:32石転びの出合(850)。上まですっきり見通せる。5〜6人の人がアリのように動いている。緩やかに歩き出す。ほん石転びの出合の前で右岸から雪塊が^転がってきた。やり過ごし「ラクッ」と叫ぶ。後のスキーヤーも「ホーッ」と叫ぶ。その後の4人パーティも気づき避けた。
 09:44ほん石転びの出合(1210)でアイゼンをつける。ここからは上部が右岸に隠れて見える。10:19標高1300m位から斜度が出てくる。10:43北股沢の出合の手前で一段と斜度が増す(1390)。10:59北股沢の出合(1460)で一時的に斜度が緩み休んでしまう。11:12振り返ると青空に朝日連峰が浮かんでいる。以東岳の後に月山、化穴山の後に鳥海がかすかに見える。11:17歩き出すと上部を登る人達が左手の尾根に逃げるのが見える(1470)。ログを見ると標高1500m位から左手の尾根に近づいていく。11:31ますます斜度が増す(1550)。雪が軟らかく抜かりながら歩く。この辺りきれいな雪で、トレースの足先に青みがかかっている。12:05更に斜度が増す(1690)。前の人が苦しそうだ。私も苦しい。でも、これが石転びの登りだったな、と思い出す。左に逃げているはずなのだがきつい。100歩数えては休みながら行く。やがて左岸の上に北股岳が見え段々近づいてくる。稜線上の人も見えてきた。12:35斜度が緩み標高1780m位から北にトラバースして12:44梅花皮小屋(1850)。雪を採りラーメンを作る。吉田さんが管理に入られていた。13:31発。
 梅花皮岳の登りは夏道が殆ど出ていた。登りの途中で振り返ると北股岳が東面に雪を着け立派に見えた。14:08梅花皮岳(2000)で振り返ると山体に隠れ北股が半分見えた。そして西にオウインの尾根がなだらかに続いていた。その背後に青地に白く浮き上がるように、藤十郎山や赤津山が曲がりながら続いていた。そして二王子が北股に半身を隠していた。前を向くとクサイグラ尾根の向こうに、ダイグラ尾根が休み場の峰の下くらいまで見えた。本山のピーク付近は黒かった。烏帽子岳までは標高差はないがまだ遠く見えた。その右側に大日岳が大きな白い山体を見せていた。少し前に進み振り返ると北股が梶川尾根と一緒になりまるで一つの山のように見えた。その先は朝日連峰が青空に白く浮かび、その先は青い海だった。
 歩き出すと、雪が出てきた。軟らかい雪で、トレースを辿ってももぐることがあった。何でそんなことをしたのかわからないがスパッツを置いてきたので段々足が濡れてきて弱った。日射しも強く短い時間で、日焼けした。14:41〜14:58烏帽子岳で休む(2017.8)。本山が大分近く見える。けれど御西までは思ったより遠く、心許ない感じだった。この先、軟雪に足を取られ標高差の割に時間が掛かった。水がないので雪をビニール袋に入れ、溶けかけたところでチューチュー吸いながら歩いた。アイゼンを履くようなところはなかった。17:01天狗の庭(1840)を過ぎて登りにかかると一段と遅くなった。濡れた足先が冷えてきて、不快だった。とうとう天狗岳の登りで17::30〜17:37休んでしまった(1920)。その後はもう疲れているので、気楽に歩いた。陽も大分西に傾き東港の方の海が赤くなりかけていた。18:08桃色に染まる大日岳がBaccaratのペンダントトップのように美しい。小屋の前で話している人達が見え、18:24御西小屋(1980)。冬季出入り口から小屋に入る。中は10人位。古いけど剛性が高そうな造りだ。紅ザケとシラスで雑煮を作った。明日の予定を考え、レーズンを食べながらコーヒーを飲み20:30頃寝た。
5月3日
 他のパーテイの支度する音に02:40起床。外に出ると大日は下の方までガスがかかっていた。北股を越えて苦手な梶川尾根を下りることに決めた。ベーコンと玉葱とにんじんとおかべやのダシで雑煮を作ったらうまかった。コーヒーを飲んで外に出た。04:53ポイントを打ち北に歩き出そうとすると、大日のガスが取れかけていた。ラッキーと思いザックを小屋に入れ、ピッケルとアイゼンを持ち05:02御西小屋を出た(1980)。左手に牛首山を見ながら降りていく。1870m鞍部からわずかなアップダウンで05:42、1930m鞍部。登り始めると05:49山頂がガスで隠れた。振り返ると逆光の中、草履塚が見えた。06:07ハイマツの中を少し歩くと急な雪面があらわれた。このころには山頂のガスは取れていた。雪は軟らかくアイゼンを置いて登り始めた。06:17登り終わると奥にもう少し登りがあった。静かに近づいていき06:24平らになった所で振り返った。
そこからは「越後の山旅」の口絵そのままの展望が広がっていた。パノラマ合成では梅花皮岳の稜線が梶川尾根にかかっているが後は大体正確だと思う。ここからの展望の素晴らしさは平面的なパノラマでは表現できない。ただ、この全てが飯豊なのだと主張するような、ちっぽけな100名山論議を吹き飛ばすような、リアルな展望だった。新潟側からの登路が湧き上がるように美しく見えた。自分も何か大きな仕事をしてから死にたいと思いながら見ていた。06:26〜06:41大日岳にいた(2128)。07:18、1870m鞍部付近でクマの足跡を見た。08:00前〜08:15御西小屋でパッキングし直し外に出た(1980)。朝の風は優しく、飯豊川の渓谷が目を慰めた。09:00天狗の庭(1840)、烏帽子岳の登りで10:07〜10:28休む(1850)。ここで楽しみにしていたリンゴを食べた。11:13〜11:23烏帽子岳(2017.8)で、蒜場山を越えてきたパーティと話した。梅花皮岳への登りで雨がぱらついた。11:48梅花皮岳(2000)、12:11〜13:05梅花皮小屋で雑煮を食べ出た(1850)。下りはトラバースせずまっすぐ降りた。雪は軟らかく、標高1700m位でつんのめって雪面にピッケルを刺した。13:25北股沢の出合(1460)、13:36ほん石転びの出合(1210)でアイゼンを外す。この先13:56石転びの出合(850)位まで弱い雨が降った。14:12梶川の出合(690)。14:21夏道に戻る(650)。地竹原が終わると下つぶて石位まで足場の悪い歩きが続いた。15:21砂防ダム(500)で色の濃いカタクリを見た。15:33温身平(450)で陽に透けるブナ林を見た。けれどもう一枚も撮れなかった。写真は上の素晴らしい展望で210枚使っていた。15:54天狗平(410)。素晴らしい展望だったが、日焼けで顔が痛くなった。    

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