登山者情報828号

【2004年06月27日/大日杉〜飯豊山/山田亘調査】

大日杉からの道は、新潟から遠く、曲折も多く山頂へのダイレクト感に欠ける気がして敬遠していた。けれど行った人が皆、良いというので行ってみた。02:00起床、02:30新潟発、川魚料理惣兵衛から右に入る。新潟から135km、運転時間は2時間4分だった。
05:17大日杉(612)、刈払いのされた樹林帯の道が尾根の北側につけられている。程よい斜度で歩きやすい。標高760m位で登路に鎖がつけられており急坂となる。登り切って05:39ざんげ坂(780)、で尾根と合わさる。ここを過ぎるとまた緩やかな道が続く。06:01〜06:10長之助清水(960)。登路から近く、冷たくておいしい水だ。歩きだすと、程なく右手に大杉が見え06:17御田(1000)。豊作祈願が行われた場所と聞いている。樹林帯の見通しの効かない緩い道をギンリョウソウ、イワカガミ、アカモノなどを見ながら歩く。06:55右手が開け、だまし地蔵が見え、以後次第に展望が開けていく。07:11〜07:13滝切合(1400)で切合への登路の上に本山が覗く。この登路は地蔵岳で本山に近づいた後、南西の切合に戻り、改めて本山を目指す。地形図をよく見ないととまどう展望だと思う。地蔵岳の手前で少し斜度が出て、ヒメサユリもこのあたりから出てくる。山頂近くで南西に地蔵岳から切合へ続く尾根と三国から本山への展望が開ける。川入の登路が手に取るようにわかり、蓮華寺が滝不動を危険視したのもわかる気がする。ハクサンチドリを足下に見て、07:51地蔵岳(1530)から、どっしりとした本山を見る。ピークの北側に小屋が白く見える。南東は雲が湧き、磐梯山は見えなかった。
緩やかに下り初め07:57地蔵清水(1470)。右手の雪渓越しに草履塚から本山への登路がよく見える。先週はこの雪渓末端から水を採った。今週も大丈夫そうだった。この先は進むほど本山から逃げていく感じで、山頂を目指す実感が湧きにくいところだ。08:14 1508mピーク付近(1508)では本山は右真横に見える。ヒメサユリはこの辺りから元気が良くなってくる。東の沢にガスが湧く。そのガスをバックにムラサキヤシオの赤が映える。08:35目洗清水は雪に埋まっているが雪渓末端から水が出ていた(1440)。その少し先右手の少し開けたところから本山がよく見えた。この辺りからヒメサユリが増えた。今年は極端に少ないらしいが、それでも「ヒメサユリ街道」の片鱗は感じられた。9:03左手に苗代のような湿地が見え、御坪と思いポイントを打っている(1560)。この少し先からダケカンバが増え始めた。行く手のガスが切れ、御沢の雪渓を観察する。遠目には安定していそうに見える。歩くうちダケカンバが増えてきてなんとも清々しい登路になった。やがて四方をダケカンバに囲まれた石畳のある四阿のような場所に出た。周りには飯豊山を借景とするパノラマが広がっていた。あまり気持ちよく神聖な雰囲気の場所なので、腰を下ろし休んだ。ここが御坪と直感した。御坪は、哲学的というか彼我一体となった独特の景観で、ダケカンバだけ撮っても、良さがわからない。また御坪から本山を撮った写真を見ても良さがわからないだろう。足を運んで腰を下ろし、初めて「これか」とわかるのだと思う。09:18〜09:27御坪(1570)。すぐ先に鉄剣の置かれた祠があり、ヒメサユリが咲いていた。
 ヒメサユリの咲く中を歩き出す。地蔵岳を過ぎてから逆戻りするような登路だったが、草履塚と本山が少しずつこちらを向き始め、やる気が湧く。09:36種蒔山分岐(1570)から、緩やかに南西に下り、右手の雪渓に降りる。細いが雪は安定している。緩やかな雪渓を左岸のシラネアオイを見ながら歩く。最後の雪は固く斜度もあった。草付きの上に足場を一つ作り、あとはなんとかキックステップで登った。アオノツガザクラを見ながら、10:27切合小屋手前で稜線へ出る(1740)。オレンジ布を2本置いて歩き出し、10:32切合(1740)。草履塚への登りは雪渓を使った。雪渓が途切れるところで水が採れた。ピーク付近で夏道に入り、ハクサンコザクラとシラネアオイを見て11:13〜11:20草履塚(1908)。大日はガスに隠れ始めていた。ミヤマダイモンジソウとヒナウスユキソウを見ながら夏道を下り11:33姥御前(1820)から本山がきれいに見えた。11:38御秘所(1840)が始まり、11:44通過した(1860)。しばらく平坦に歩き11:57御前坂(1920)が始まる。2000m前後で一時斜度が緩み、再び登り始める。見上げると青空に一王子の石組が見える。振り返ると空が一面曇っており、天気が崩れ始めたのを感じる。青空の中、石組みに近づき12:23一王子(2070)。斜度の緩んだ中歩き、12:32本山(2102)。神社の石組から三角点を覗くと、北股を初めとする主稜線はガスに呑み込まれ一足遅かった感じだった。時間的に一線を越える気もして三角点はやめた。
鐘を鳴らし12:46本山(2102)、ヒナウスユキソウの咲く中、写真はがまんと言い聞かせながら下る。12:53一王子(2070)、13:07御前坂(1920)、しかしヒナウスユキソウとオヤマノエンドウにたまらずカメラを出す。13:23姥御前(1820)、地道に登り返し13:40草履塚(1908)。雪渓に助けられ13:58切合(1740)。この手前で少し雨が当たった。御沢を下る人が見える。自分もオレンジ布を回収し御沢に降りる。登りは直登したが、下りはトラバースしてから斜めに降りた。下りの雪渓は早く移動でき、ありがたい。14:16夏道へ戻る(1560)。沢で水を採り、居合わせた5人パーテイと話す。14:29種蒔山分岐(1570)、14:35御坪(1570)。振り返ると本山も上の方はガスに覆われていた。15:02目洗清水(1440)位までヒメサユリを見ながら緩い道を歩く。1508mピークへの登り返しでスピードが落ちる。15:28 1508mピーク付近(1508)、15:44地蔵清水(1470)、15:50〜16:07地蔵岳(1530)で水代わりのリンゴを食べる。後は標高差900mを下るだけだ。この登路の素晴らしいところは、下りで登り返しが殆どなく、疲れていても自然に下りれるところだと思う。とはいえやはり疲れている。16:23滝切合(1400)までは斜度も緩く、しっかり歩けたが、その先17:01御田(1000)までは高度計を励みに下った。17:05〜17:14長之助清水(960)で日帰りの人から来週山開きと聞く。
17:34ざんげ坂(780)の鎖は今日一日の登山者の汗でぬるぬるしていた。見通しの効かない登路を落武者のように、よろよろと下って行くと、沢音が聞こえ、小屋の赤い屋根が見え17:55大日杉(612)。白川荘で風呂に入り新潟に戻った。ちなみに、この間食べたのは、おにぎり6個とキャラメル2粒リンゴ1個だった。絶妙な斜度の登路と御沢の雪渓に助けられた山行だった。

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