登山者情報860号

【2004年10月06-07日/大日杉-地蔵岳-飯豊山-五段山-大日杉/井上邦彦調査】

仕事を終え、大日杉に向かう。駐車場に車はない。記載所がないので大日杉小屋で登山者カードを記載する。
12:58歩き始める。小屋前の広場から大日杉沢を遡るように杉林に入ると、右手にコンクリートで固められた伐根跡を見て、左に登る。杉林を抜けるとブナ林になり、溝状の急な登山道となる。足場に鎖が下がっているので邪魔である。13:18登りきって尾根上に出た所の枯れ木に◇ザンゲ坂が付けられている。登山道右脇の細いゴヨウマツにブリキの標識が付けられている。文字は消えかかっているが、山長(やまちょう)ノ松である。山長とは大日杉小屋の初代管理人山田長之助氏の略称である。その先で大日杉沢流域の展望が開ける。
13:37長之助清水通過、木々はやや色づき始めている。13:44-47御田通過、直線の新道が綺麗に整備されている。ムシカリ・ミヤマナラ・マルバマンサク・カエデ類・ナナカマドなど登るにつれて色彩が豊かになる。騙し地蔵を左から巻くと、かつての国体T1ゴールの広場があり、すぐ14:31滝切合の標柱となる。滝方面は見るからに廃道となっている。ここからガスの中に入る。
14:50-57広場から三角点のある地蔵岳山頂に登り汗を拭う。午後からの登山は気温の高い夏山では考えたくもない、今の季節ならでは山行である。無線でODDと交信をする。地蔵岳から下ると、右手の草原に向かう踏み跡を2回分ける。初夏残雪のある時には融雪水が取れる地蔵清水だが、現在は草紅葉に覆われている。ブナ林を過ぎ鞍部から登り、15:15ピークに立ち地蔵岳を振り返ると、ガスが切れ始めた。
15:28-33目洗い清水の標柱は登山道脇の藪に倒れ掛かっていた。そのためか翌日登って来た方は清水を探せなかったと言っていた。標柱から左手下の草地にある踏み跡を下ると湿地になる右手の登る踏み跡を若干辿るとエンビ管の先から水が出ていた。
登山道に戻り、わずかに進むと、もう1本標柱があり、右手に入る広場がある。ここでガスの切れ間から紅葉の飯豊山を眺める。
15:55峰のピークからダケカンバが多くなり、鋭い季節風で刈り揃えられた潅木類が見事な庭園を作っている。16:00御坪の祠を通過する。ガスはなくなってきたが陽が斜めとなり撮影しにくい。御坪とは庭を意味する。この一帯に相応しい名称である。
小峰を越え、16:06御沢分れを通過し、そのまま尾根上を進む。ダケカンバ林の登りに取り掛かると空腹を覚え、16:11-18食事とする。林の中を登りきると再び庭園状の尾根歩きとなるが、左の急崖にまとわり着く木々の色彩に見とれる。登山道は尾根から外れ、右に下り、16:34黄色のイワイチョウ群落に覆われた水量の豊かな沢を渡る。
切合小屋の水場が確認できないので、16:41-44小屋の水源の沢で水筒を満タンにする。このような時は折り畳み式の水筒が便利である。どこかでホースの先端から水が流れているか探しながら小屋に向かったが、結局どこにも水はなかった。
16:47会津切合で川入方面からの銃走路に出る。ここで大日岳を眺めるが、山頂はあいにくと雲に隠れていた。登山者の足跡を見つけたので先客がいるかと期待する。砂礫地の小山を過ぎると切合小屋である。16:50切合小屋に到着する。小屋に水場へのルート図が打ち付けられていた。この水場は確か幕営地の下にあるが良くないという記憶がある。
小屋に入ると誰もいない。冬期出入口近くに陣取る。冬期出入口には鍵が付けられていない。これで中から鍵を閉められる心配がなく、安心できる。出入口から無線でGZKと交信する。明日の天候は期待できそうである。携帯電話も通じた。
翌7日、食欲がないので味噌汁だけを飲み、ヘッドライトを点けて04:18切合小屋を出発する。04:42-45草履塚山頂で、カッパを脱ぐ。04:45姥権現付近で、蔵王連峰と吾妻連峰の間が赤くなる。以前メールで照会のあった御秘所の鎖は、一部のみ設置されていた。
御前坂を登り一ノ王子の水場分岐に仮設置されている工事用プレハブから、作業員の方々も顔を出して日の出を待っていた。挨拶してまもなく、05:37とうとう日の出を迎えた。
05:41本山小屋のトイレと冬期出入口を脇目に見て、05:54-04飯豊山々頂で休憩とする。06:17-07:17本山小屋に戻り朝食とする。新しく手直しされた本山小屋は、従来の冬期出入口を完全にトタンで閉鎖し、風除室は物置のようになっていた。また外の入口左に梯子を設け、冬期出入口を新設。内部に風除室を設け、木製のスノコの下は水捌けが工夫されていた。トイレは従来のトイレの場所に立派な3穴が作られ、2穴は水洗式(水持参)、1穴は従来型となっていた。
ほろ酔い気分で下山を開始すると、工事の方々が登ってきた。8日予定の竣工検査が天候の関係で今日に早まったとのことである。
08:14-18草履塚を通過し、途中の水場で水筒を満たす。ここで今山行始めての登山者である女性2名とすれ違う。昨夜の三国小屋には数パーティが泊まったとのことである。08:41-09:08切合小屋でパッキングを行い、天候が良いので五段山経由で下ることとする。
09:14会津切合、09:27種蒔山の標柱、09:42七森の標柱を過ぎる。登山者数パーティとすれ違う。10:08-12:17三国小屋脇でストーブを点け料理?を始める。ここで再び残っているアルコールを取り出す。天候が良く、極楽である。居合わせた登山者の方々には少々迷惑だったかも知れない(反省)。
岩塔状の護摩壇から下ると、岩に白ペンキで「水」と書かれている。12:22-28ここから水場に下ると水は珍しく勢い良く吹き出ていた。水のマークは下り時には見逃しやすい。
最低鞍部から登り返して、12:57分岐の標識を通過する。窪地の広場に1人の登山者が食事をしていた。13:14地蔵山を通過し、13:27◇御前山へ下る。13:48ピークには「牛ヶ岩山」と「五枚山」の菱形標識が並んでいた。
14:10-23ブナ林の鞍部を過ぎ、14:31五段山の分岐から左に折れる。14:44-54尾根の途中で食事を取る。前回の倒木はそのまま放置されていた。15:12こぶ山を通過し、16:05大日杉小屋に到着する。川岸の駐車場には、登る時になかった登山カード記載所が立てられていた。

今回のルート全図
目洗い清水 剣ヶ峰の水場

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