登山者情報869号

【2004年10月23日/明沢〜三体山/井上邦彦調査】

第863号で偶然見つけた塩の道の道跡は、明治初期に長井盆地の商人が、それまでの交通路である最上川ではなく、小国盆地の北部を経由して直接日本海と結ぶ路線として開発したルートである。長井盆地では今でも東側の低山群を東山、葉山に代表される西側の高山群を西山と呼んでいる。このため長井市誌には「西山新道」と記載されている。
三体山には第716号で、長井側から新しく開かれた登山道から登っている。今回は意識的に小国町明沢から目指してみた。
車道の崩壊地から終点までは泥濘になっており、さらに沢を詰めるので、長靴を履いて歩き出した。沢自体はそれほど難しくないので順調に高度を稼ぐ。ところが、長靴に僅かな穴が開いていることが判明、靴下が徐々に濡れてきた。沢はできるだけ水量の多い本流を選び、最後の部分で左に入った。適当な所で尾根に上がると、藪漕ぎとなった。
なんとか塩の道の道跡を見つける。道跡は広く明瞭であるが、潅木が横たわっていたり、笹が密生している所もあって、結構手間取る。
何処までも水平に続く道跡を進んでいるうちに、一箇所で前方が見えた。どうも地形図と山並みの雰囲気に違和感を覚えた。GPSで現在地を確認すると、やはり三体山を通り過ぎていることが分かった。GPSを手に持って道跡を戻る。涸れた沢を横切る所で再度GPSを確認する。地形図にポイントを落とすと、山頂近くまで続いていたので、この涸れ沢を詰めてみることにした。
涸れ沢がなくなった時点で潅木に登りデフを付ける。山頂に向けてコンパスの方位を固定、3〜4mの藪を漕ぐが蔓類がないのできつくはない。最高点に着いたが何もない藪である。記憶では長井から登ってくる登山道と合流する筈である。潅木に登って周囲を観察するが目印になりそうなものは何もない。標高が若干低い平坦地に向かって進んでみると、ひょういと見覚えのある「臥竜の松」に出た。やや長井寄りには三角点がある。
ここでラーメンを煮る。前回長井から登った時よりも荒れているようで、展望地への道はない。西山新道に下る道は、私が登ってきたのと反対の南西にあるようだ。
休憩後再び藪を漕いで来たルートを戻る。潅木に登ると、遠く大朝日岳が見えた。デジカメを片手に掲げ適当に何枚か撮影する。コンパスが示す方向に下ると、デフを見つけ涸れ沢を下って元に戻った。
道跡を南に戻ると、途中に青いデフを見かけた。道跡の左上に「三体山」の標識を見つける。ここから刈り払い道が真直ぐに山頂を目指している。北から来ないとこの標識は見つけにくい。また道跡の右下に裏返しになって谷を向いている標識も見つけた。観察すると、南は道を故意に塞いだようにも見える。ともあれこれが臥竜の松から道跡に下るコースなのだろう。

今回のルート

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