登山者情報891号

 【2005年03月21日/西俣ノ峰-兎ダナイ/井上邦彦調査】

4人で周回コースを考えたが、AXLの痛めた足などを考慮し、AXL・EHJ・IBYの3人は西俣ノ峰往復とした。彼らは兼用靴、私は登山靴・アイゼン・ピッケルを準備した。出発の準備をしている時に勤務先から電話が入り、危うく山行中止になりそうだったが、なんとか解決。EHJの自宅を経由して横根スキー場で皆と合流。
民宿奥川入に着くと隆蔵氏が顔を見せた。1階がすっぽりと埋まっている凄い雪量である。2人と装備を降ろし、IBYに私の車を梅花皮荘の駐車場まで送ってもらう。
06:51スキーを履いて、民宿奥川入を出発。夏道尾根手前から斜めに登り、尾根に上がる。スキー靴の坪足で登った跡がある。07:10-17スキーから輪カンジキに履き替える。
痩せた急な尾根に嫌らしく雪がついている。そこに坪足の跡があるのだが、雪が硬く輪カンジキが浮いてしまい歩きい。背負ったスキーが木の枝に掛からない様に注意して、割れた雪の弱点を探して登る。何時も苦労する壁は露出していたが、左から巻いて藪をつかんで越える。この先の茸雪に緊張する。新しい輪カンジキは靴と一体化していないので、キックステップ向きではある。先行者のトレースが邪魔になって仕方ない。
夏道どおりに斜面を横切って、07:53主尾根に出る。吹きさらしの部分もありそのまま輪カンジキで登る。先行者は途中からスキーに切り替えた様子。しかし下山のトレースがないのが気になる。途中から沢に下ったのかもしてない。
雪面を快適に登り、650m08:13-33休憩とし食事を摂る。十文字池手前の急斜面にはスノーボール状の雪が一面に散乱していた。720m 08:45-55急登終えると松に「十文字池」と書かれた看板が付けられていた。ここでシールを貼ったスキーを履く
十文字池からは西俣ノ峰を仰ぎながら、広い雪庇の上を登る。青空の下、展望と気分は最高。IBYが先頭、AXLがラストを勤める。急登になると雪面はクラストしており、カービングスキーの欠点である効かないエッジに注意しながらぐんぐんと高度を稼ぐ。
09:43左から尾根を合わせる。付近の枝には赤布が付けられている。下降の時には迷いやすいポイントである。頼母木山から飯豊山までが白銀に光っている。最近崩れた雪庇の迫力が凄まじい。
09:52西俣ノ峰山頂に到着、記念撮影後は雪庇を利用して雪洞を掘る。10:33雪洞が完成、早速ツエルトのフライシートを利用して風を遮断し、ラーメンを煮る。
西俣沢を一周する私は、枯松峰を目指す皆と別れ、11:13一人で山頂を出発する。始めはスキーで下ったが、急斜面なので、すぐにスキーを脱ぎ、キックステップで下る。
11:34上ノ境を通過する。木立の間から杁差岳を見ながら登る。権内尾根・デト平尾根・イリ平尾根に目が行く。11:48小ピークから振り返ると、見慣れない姿の西俣ノ峰は迫力がある。登山者の物らしい足跡が延々と続いている。結局、カモシカのものだろうと判断する。
12:00下ノ境を通過する。12:17-24 EHJから無線が入り「現在枯松峰、ここから戻る」とのこと。彼らもこの好天を満喫している様子だ。亀裂のラインが分からないので、あらかじめ足を置く場所をストックで刺して確認しながら進む。
ピークを過ぎ、12:40一昨日の下降ポイントに到着する。稜線のトレースはないが、尾根上には足跡が残されていた。
下降点の潅木脇に雪庇のない部分があり、ここから尾根に下る。枯松峰と大境山の間を移動している彼らを肉眼で確認できた。
兎ダナイからの登り返しを考慮してシールを貼ったままスキーを履く。左斜面に入り込み弱層テストを行う。ストックで叩いた程度ではびくともしないが、手で円を掘ってみると、アラレ層から容易に崩れた。慎重に斜滑降とキックターンを繰り返す。滑降中にEHJから無線があり、西俣ノ峰に到着したとのことである。立ち止まったついでに弱層テストを行うと、弱層が見当たらない。小さな尾根を挟んで全く異なるようだ。
12:58兎ダナイ(鞍部)に到着する。ここからは登りとなる。13:06-19兎ダナイのピークでシールを外し、食事を摂る。十文字池の下部斜面を滑っているメンバーが見えた。
シールを外して颯爽と下る・・・と言いたい所だが、凹凸の斜面でいきなり転倒、頭部を直撃したらしく、目まいがしたがすぐに立ち直った。
927m脇からはブナ林の滑降となる。暖かさでザラメ雪となった斜面でのターンは思うようにならない。立ち上がりと沈み込みのオーバーアクションでなんとかターンを繰り返して下る。
鞍部から一昨日のトレースのやや下部をトラバースして尾根上に出る。ここからカラッ沢源頭部を下る。斜滑降で下ると、その後から表層雪崩が次々と発生する。462m峰と杉林の間を通り抜け、尾根を越えて頭上の崩壊部を眺めながら杉林に突っ込むと、驚いた兎が2匹走り出てきた。
旧キャンプ場から、14:02車道に降り無線でEHJ達が尾根を下り終えたことを聞く。14:06梅花皮荘駐車場で車を回収、14:15民宿奥川入にて皆を迎えた。

今回のコース

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