登山者情報902号 (投稿)

【2005年04月24日/西俣尾根〜頼母木山/山田亘調査】

記録
 当初、守門の予定だったが、化穴山を意識して頼母木山にした。前夜寝付かれず、夜中に梅花皮荘前に来た。少し寝て06:25梅花皮荘から歩き出す(300)。曇り空で2〜3粒雨滴が当たる。中条の人と話しながら歩く。民宿奥川入を過ぎると雪原にロープが垂れている。杉林に入る所で雨具を脱ぐ。
 杉林を抜けると右手に逆戻りするような尾根が見え、にやりと笑う。先週尾根を間違えたので、今日は尾根の取付をGPSに落としてきた。ちょうど先ほどの人が尾根に乗る所で、実景上でGPSの軌跡をリプレイしているようだった。自分も斜上して06:50尾根に乗ると下からスキーを担いだ人が来るのが見えた(350)。程なく行く手にヤブが見え、07:00大岩を左から回り込むように越える(400)。右手に急峻な尾根が見え、530m鞍部から分岐する尾根とわかる。今登っている尾根は、姫子松が生え、梶川尾根に似ているが、手がかりが少なく、標高450m位から非常に急になる。
 07:18〜07:22鞍部脇の小ピークでロールサンドを食べる(530)。レタスとトマトがおいしい。その間に先ほどのスキーの人がピーク南面をトラバースしていく。鞍部から斜度が少し落ちた感じで、雪の割合も少しずつ増えてくる。670mから700mまで雪を登ると、斜度が緩み夏道に戻る。少し南に歩き07:57雪に乗り(700)程なく08:02ピーク(727)。この辺りが十文字池だろうか。歩き出すと尾根の間から、本山、ダイグラ尾根、クサイグラ尾根、梶川尾根などが顔を出す。08:14〜08:21平坦部で休む(770)。梶川峰の方から雲が流れて来るが、時折射す暖かい光に体が元気を取り戻す。自分の場合、睡眠不足の時は体を暖めると歩ける。この区間、雪の登路と、南の本山の写真を撮っている。気持ちいい登路だったのだろうが、印象に残っていない。画像では、西俣の峰手前はかなり急登だが、それも憶えていない。この後の登路が更に素晴らしかったせいだろう。
 ともかくも08:58〜09:06西俣の峰(1023.2)でこの先の登路を観察する。越後側から雲が流れ、杁差と本山は隠れがちだが、三匹穴方面はよく見える。当初は寝不足なのでここまでと思ったが、疲れてないし、緩やかな雪庇と白いピークが招くようだ。コンパスを枯松の峰にセットし、家に電話して歩き出す。杁差を越えていくつもの雲が来る。1089ピークへの登りで自分の体もガスに入る。09:28 ガスの中、1089ピーク前で雪庇が割れており、注意して歩く。
 09:29ピーク(1089)、から少しずつガスが取れていく。時折右手のガスから杁差や鉾立峰が迫力ある姿を覗かせる。枯松の峰に近づくと雪庇に波打つようなギャップが出てくる。それらを越えているときだと思うが、枯松の峰直前でポケットからメガネを落としたのに気づく。以後ぼんやりした視界で進む。10:05枯松の峰(1184)で1570ピークにコンパスをセットすると、思ったより西の奥を指した。枯松の峰からの下りでは、雪庇が後退している箇所があり、薄いヤブを歩いた。鞍部から登り返し、10:42平坦部(1230)でマークして歩き出すが、大分腹が減ったし、ここから三匹穴まで疲れそうだし、と腰を下ろし、ます寿司を食べる。10:58平坦部(1240)を出て南側の樹林帯に入り、樹林帯の東側外縁沿いに登る。外縁が大きく東側に張り出す前で、樹林帯に入る。そこで振り返ると、西俣の峰からの登路がよくわかる。枯松の峰の下りが随分大きく見える。樹林帯を西側に抜け、短い壁のような登りを終わると慰霊碑の下に出た。 目の前に三匹穴の広大な雪原が広がる。ところどころクラストした雪面をトレースを貰って登る。登るうちに杁差が右手から少しずつ姿を現す。静かな登路だ。ピーク付近で南側をトラバースする所で小さな雪崩がサラサラと落ちる。斜度が緩み笹藪が少し覗き11:54〜12:03ピーク(1570)。水を飲みカロリーメイトを食べる。笹の向こうに騙しピークが見える。歩き出すと本山と梶川峰が直線上に重なっている。いつのまにか青空が広がっている。白い雪面を離れ空に登って行けそうな登路に「しあわせだ」と呟く。12:25騙しピーク(1670)から3つのピークが見える。地神山、地神北峰、頼母木山だ。頼母木山に何人かの人影がある。支度を整え、ゆっくり歩き出す。空の輪郭を切り取ったような登路を、風もなく穏やかな日差しの中、歩くの今をすごい贅沢だと思う。向こうから一人降りてくる。朝の中条の人だ。日差しが気持ちいい。「最高だね」とか言って、すれ違う。12:38〜12:59頼母木山(1730)。ここからは、杁差が青空に白く浮かぶ島のように見える。本山から地神と、飯豊の内懐に抱かれているような展望が広がる。西に二王子が白く大きく見え、思わず歓声をあげる。山頂に居たのは3人で、皆、「いい日だな」とか「この時期にこんな日は珍しい」とか言いながら展望を楽しんでいる。自分も、数ある山の中でここに来て良かったと思う。誰もいなくなり、声も聞こえなくなった頃杁差に向かって「おうい」と2、3度呼びかけ、ピッケルを握り、跳ねるように下る。13:16雪原にポイントを打ち(1480)、少し下り、慰霊碑に寄る。1440m付近でログが東側に出ている所だ。13:26慰霊碑下でポイントを打ち(1440)、急な下り少しで樹林帯に入る。樹林帯の外縁に沿いながら降りていくと、雪庇が白いcorridorのように見える。
 14:06枯松の峰(1184)からメガネを探し始める見つからない。ガスが取れ大迫力の杁差や本山を見ながら下る。14:22ギャップ(1150)を降り、振り向きながら歩く。登路が白い王宮へと続く美しい回廊のように見える。何故か里山のような気分で14:59ピーク(1089)を過ぎてもゆっくりだ。画像を190枚位撮りメモリがパンパンなのだが、いい景色がどんどん出てきて、ちょっと歩いては座り込み削除するからだ。行く手には朝日が誘うように青空に浮かぶ。15:25〜15:30西俣の峰(1023.2)でパノラマを撮り、駆け下る。15:44〜15:48夏道の始まり(700)。斜度が出て雪を降り670mで夏道に上がると目が見えにくい。腰を落とし人に見せられない姿で下る。16:13鞍部小ピーク(530)を過ぎると尾根が一段と急になる。16:37大岩(400)を苦労して下り16:53尾根末端(330)に出て杉林を抜けると今朝のロープに鯉のぼりが下がっていた。「春だなぁ」とつぶやき17:12梅花皮荘(300)。恵まれた登路に寿命が延びた山行だった。 

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