登山者情報973号

【2005年12月11日/町境:赤芝峡529m峰/井上邦彦調査】

 さほど風の音もない、除雪車の音もしない。ゆっくりと起床し、ザックに装備を適当に放り込み、車庫のシャッターを開けると、それなりに積もっていた。今回は半日山行なので、赤芝峡右岸(北側)の県境を歩いてみる予定である。
 国道113号線を金丸まで行き、橋を渡って前瀬に入る。車道は除雪されていた。前瀬には2軒の民家があり、除雪車が作業中であった。若干待って、川べりに車を止める。
 06:41林道を歩き出す。暫く行くと放置された小屋があり、さらに先に携帯電話電波塔?があり、06:49車道に鎖が張られ鍵が掛けられていた。植林地には何本かの車道分岐があったが、迷うことなく進むことができた。幼樹の造林地から尾根を曲がると、成木の杉林になり07:10イワヤノ沢を通過する。その僅か先にも沢を横切る。
 07:27周囲を杉林に囲まれた車道終点となる。ここからは道のない杉林の中を歩いていくと、深い沢があった。木の枝に?まり足場のない崖を慎重に下る。07:36イゴノ沢に降り立つと、荒川を挟んで国道が見えた。
 ここからは尾根をひたすらに登るだけである。地形図からかなりの急登を覚悟してきたが、最初は順調であった。しかし高度が上がるにつれて雪が深くなり、その雪も新雪なので足が直接地面に着く。長靴の爪先で枝を捜し、両手で雪面に出ている枝を掴んで登る。殆ど爪先だけで登る。凍てついた枝は弾力がないのか、簡単に折れてしまい、その都度バランスを保つのに苦労する。
 08:02左下に前瀬の造林地が見える。現在地をGPSで確認するが、眼鏡を持参していないので見難い。特に今まで使っていたGPSの画像が薄くなっているように思える。その点、新しいGPSは見やすいが、県境の線が薄くてよく分からない。
 左手の木々は風により雪を振り払われているが、右手の木々はもっこりと雪に覆われている。腰までのラッセル、軍手をした両手で雪を掻き込み、膝で押し込み、木々を掴んで一歩を踏み出す。
 08:30柴のみ、一面に密生した潅木が向かってくるようだ。腰を越して何処までも沈んで行く。ここでようやく輪カンジキを履く。08:50-55本日始めての食事、GPSの電池を入れ替える。
 09:13-18、529m峰山頂で記念写真を撮る。このままでは午前中に帰ることができなくなる。地形図をにらみ、手頃な尾根がないので真っ直ぐ沢に下ることとした。かなりの急斜面だが、柴が露出しているので大規模な雪崩はないと判断したが、私の動きに合わせて雪崩が先行して行く。
 輪カンジキがすぐ外れるので、つぼ足にする。カッパのズボンが捲れ上がり長靴に雪が入ってくる。面倒なので尻を下ろし、足を上げて急斜面を滑り降りる。
 09:41ようやく沢に水が出てくる。水のある場所は歩きやすいが、吹き溜まりではジタバタするばかりである。滝が出てきたので、左の尾根に上がるが、腕力が落ちて細い枝では身体を支えきれない。10:06何とかして右の尾根に上がり、尾根を下る。尾根がなくなる寸前で左の沢に下る。
 暫く沢身を進み、適当な所から右手の尾根に登る。尾根の下りは順調である。10:28右手下が杉林になってきたので、杉林に入り山勘で車道を目指す。
 10:37ひょっこりと車道に出る。私のトレースだが、疲れているので歩幅が広すぎる。カモシカの足跡がトレースを何度も横切っている。10:49イワヤノ沢を通過する。風のあった所はトレースが消えていた。11:05鎖のゲートを通過し、11:12無事車に到着した。

今回のコース
町境主稜を仰ぐ イゴノ沢に降り立つ
イゴノ沢から国道を見る 県境の尾根に取り付く
始めは比較的順調に登る 凍て付いた林
潅木帯になる 高木はない
苦しいラッセルが続く 529m峰にて
晴れ間に前瀬を見下ろす
沢を下る 雪が覆いかぶさっている沢を下る
水の流れている沢 沢を諦め尾根に取り付く
崖の登り降りを何度か繰り返す 鎖のゲート