登山者情報979号

【2006年01月21日/経塚山/井上邦彦調査】

 小国小学校の親子行事として経塚山に登るので、山岳会の訓練を兼ねてトレースをつけて置くようLFDから指令があった。ところが、前日になってLFDより参加を希望する親子が誰もいなかったので、親子行事は中止にし、山岳会の訓練だけを行う旨の連絡があった。
 近年、小国山岳会では新年会の前に軽い山行を楽しむのが恒例になっているが、今回も新年会で、より美味しいお酒を頂くための山行が計画された。
 今回のコースは登山者情報第886号(2005年02月19日)と同じコースを取っているので参照して欲しい。なお第914号には春(6月8日)の様子が掲載されている。
 経塚山は小国駅から正面に見える富士山を斜めにしたような形の山である。人間の鼻に似ていると書いてある文献もあるし、故吉永小国山岳会初代会長は女性が寝そべっている姿に見えると話していた記憶がある。
 ともあれ標高410.9m、小国盆地を見下ろす絶好の展望台である。無雪期であれば朴ノ木峠に向かう車道の途中標高190mが登山口であり、小国町民の手頃な散策コースになっている。車道は除雪されていないので、標高130m横川沿いにある温泉健康館ゆ〜ゆの駐車場に車を置いた。
 09:20頃、自宅で準備をしているとLFDから「スーパーで山葵と刺身を買って来い」と電話があった。買い物を済ませて集合場所に行くと、既にメンバーが揃っていた。担当のAXLを始めLFD・ODD・三島・HZU、それにゲストとしてLFDのXさん、遠藤さん、馬場さんが参加した。
 例によって八木沢橋の袂から取り付く、此処には遊歩道があるのだが、遊歩道は急斜面を斜上しおり危険なので、尾根を忠実に登る。すぐにテンの新しい足跡が我々を歓迎してくれた。
 20cm程度の新設の下はやや固めのザラメ雪になっているので、爪のない私の丸カンジキでは登りにくい。長靴の爪先を蹴りこみ、爪先だけで登る。
 ひと登りすると平坦になり大きな忠魂碑がある。過去の戦争で亡くなられた小国郷出身者の名前が列記されている。国家の命令で強制的に戦場に駆り出され尊い生命を落とされた方々、この碑を見る度に本人は元より残されたご家族の悲しみにやるせなくなる。
 広場を過ぎると新しい鳥居があり、上杉神社となる。私達は幼い頃からこの山を県社山と呼んで親しんできた。明治時代に国家が自ら経営する神社を官社、それ以外を諸社とし、諸社には各々に県社・郷社・村社という社格(神社の格付け)を付けたと言う。終戦により制度はなくなったが、名称だけはまだ残っている。
 県社山からさらに登り振り返るとゲストの方々は見えない。暫く休息後のODDが先頭を取って登る。赤松林を過ぎた所が車道であるが、よく注意していないと気付かずに通り過ぎる。
 車道から雑木林になり、右手の尾根に上がる。雪庇のある左手は潜るので、右手を順調に登る。眼下では排雪作業の重機やダンプがひっきりなしに動いている。
 ODDはどんどんと高度を上げる。空一杯に青空が広がる。あいにくと朝日連峰の主稜は雲に隠れている。平坦になったところでODDと先頭を変わる。PWDから無線が入り、後を追い駆けてこれから登ってくると連絡があった。分岐付近は兎達の遊び場になっていた。分岐を左から巻くと杉のある経塚山々頂に着いた。
 飯豊連峰の展望を楽しんでいるとLFDが到着したので、眼下に町を見下ろす所に宴会場の設定を開始した。
 程なくAXLが着いたので、宴会場の仕上げはLFDに任せてAXLと雪洞を掘ることにした。今回の山行の目的のひとつに、先日購入したスノーソーの試用がある。安全で急傾斜の雪庇を若干切り崩して掘り進むと、案の定硬い層に突き当たった。
 心配したよりの苦労なくスノーソーは雪に刺さるが、切る時に圧力を掛ける必要がある。さらに向こう側は切れていないのだから切って取り出すことはできない。切れ目が狭いので雪塊を動かすことができない。 そこで硬い層に縦横に切れ目を入れ、スコップで雪塊を剥ぎ取る方法が最も効率的であった。三島君も加わり3人で雪洞を掘る。
 声がするので雪庇の上を見上げると、AXLが厚い銀マットを橇にして雪庇を降りようとしている。ゲスト達の引き止める声が聞こえる。
 雪庇は上部が垂直で一旦オーバーハングし、その下は急斜面が続き幾ばくかの緩斜地となり、その先は見えない。
 止める声を後ろにAXLはカンジキを持って勢い良く落下、彼の計算どおりに緩斜地で停まった。
 にこにこしながら登ってくるAXLを待って、全員が宴会場に集合し記念写真を撮影し、乾杯!雪のテーブルには各種の刺身や果物が鮮やかに並べられ、ベニヤ板に置かれたストーブではチゲ鍋が煮えている。PWDがヌキウチとトビタケの漬物を出す。経塚山々頂の宴は楽しく続いた。
 先発隊のPWD達を見送り、残ったHZU・LFD・AXL・三島君・遠藤さんの5人でアバランチビーコンの練習をしながら下山することにした。
 HZUが1個のビーコンを持って先行し、皆に分からないように隠す。スタートの合図で3人が一斉にビーコンを受信に切り替えて捜索を開始する。次は一番最初に見つけた者が隠す役になる。これを何度も繰り返した。全員が見つけることができた時点で訓練は終了、ゆ〜ゆの駐車場に無事下山し、解散とした。

雑木林を登る ODDと遠藤さん
殆どODDが先頭を務めました 経塚山々頂から飯豊連峰方面を望む
492m峰歩背景には
猿鼻山と掛摺山、飯豊山
飯豊連峰
飯豊山
烏帽子岳と梅花皮岳、右は北股岳
栂峰、左は吾妻連峰
百石山
雪庇で遊ぶAXL いっきに落下する
遊びをせんとや生まれけり 雪洞を掘る三島
会場の準備ができました
乾杯! これからアバランチビーコン訓練
HZUが隠したビーコンを探す 遠藤さんは初体験
うろうろするメンバー 1人だけ反対方向ですが大丈夫?
AXLも真剣です とんでもない所に隠されていました
今度こそ あれ?どうしたのかな?
こちらの方向に間違いない筈だ 右往左往ですか
よし、近いぞ えーと
この当たりだ さすがはAXL
遠藤さんも大健闘 やったあ〜
無事車道に到着しました

この山行記録は「ラッセルマンのプログ」にも掲載されています。