会員の山行001号

【吾妻連峰山スキー/2001年02月18日/飯沢徹調査】

コース: 天元台スキー場−北望台−中大巓−明月荘→大沢くだり断念 引き返し梵天岩・天狗岩−西吾妻小屋(探せず)−若女平−白布
メンバー:高貝 喜久雄、吉田 岳、海老 潤子、飯澤 徹

山スキー 西吾妻山 大沢くだりコースの計画に私も入れていただいた。計画を聞いてから、マップを何度となく眺め、食材の準備、そして、スキーのワクシングを入念にしながら当日を心待ちにした。しかし、インターネットで、天候についての情報を入手するが、ぱっとせず、当日の朝を迎えた。5:30 外に出てみるとなんと雨。これから、起こった我が身を象徴するものであった。吉田君との待ち合わせ場所に、早めに到着。フロントガラスを濡らす雨越しに、彼を待つ。定刻を過ぎても現れず、今日の計画は中止かと落胆していると、元気に彼が現れた。連日の仕事と友達の誘いがあり、寝坊してしまったとのこと。(しかし、後で私のほうが吉田君たちを待たせることとなる。)一路米沢駅へ、高貝さん達との集合場所に急ぐ。米沢に近づくと、雨はあがり、前方の山からは、青空と日差しが差し込む。登れるかなという気持ちになってきた。米沢駅につくと計画していたメンバーが一人参加できないことがわかった。ある一名は、急にブリザードに!!!一路大沢に移動。車を大沢の部落にデポ。途中、何度となく新幹線を止めたと同じような倒木の後をみる。天元台に近づくにしたがって、空は曇ってきた。手前の道路の温度表示がなんと、プラスの3度。上は、ガスっているのかと予想された。
第3日曜日ということで、駐車場は込み合っていた。ロープウェイより、500m程の駐車場に停めることとなった。9:20のロープウェイに乗車。デモの佐藤正人さんが同乗していた。持っている板は、オガサカのカービング。身長より短いのは、当たり前になっている。ゲレンデでも、スキーヤーのすべりはカービングスキーの乗り方。スキーも変わったものだと実感する。リフトを乗り繋ぐにしたがって、風は増し第3リフトでは、安全運転のため2回止まるほどになってきた。やっぱり、無理かなという気持ちになる。
北望台に到着。10:20、登山カードを提出し、中大巓めざしの堀場占めることになった。人形石に行けるかその場で判断することとなった。高貝さん、吉田君とも経験豊富でこのコースを熟知している。マップや標識を頼りに使用とする人は、山に入れるような気象状況ではなかった。中大巓に近くなると、視界は10m弱、風速20m位になってきた。目標物がなくなってしまうということで、大沢くだりを断念。引き返し、若女平に下ろうということになった。少し下って、梵天岩への登り返し、益々風は強まりホワイトアウト状態に近くなってきた。熟練の2人のコースファインディングに感心しながら、梵天岩、天狗岩を通過。吾妻神社脇から、クラストした斜面をくだり、西吾妻小屋をめざした。視界は益々悪くなる。さすがの2人もこの辺に小屋があるはずというが、4人で探しても見つからない。互いの存在を確認できる範囲しか広がれないくらいの状態になってきた。トレース後はまもなく消えてしまう。ストックの跡だけがやっと確認できる状態。
小屋を探すことをあきらめ、若女平をめざし、谷に入っていくことになった。やっとシールをはずし、滑走しようとする。しかし、谷に入ると膝までのディープパウダー。気温のため重く、華麗なターンをすることができない。直滑降しては止まり、また歩いては直滑降が続いた。比較的、私の板はカービングスキーなので、3名よりは、浮力があり前に進めたが。どれだけ行ったろうかようやく小休止。時刻は、12時を回っていた。いつになったら、滑走することができるかと思っていると斜面は緩やかになり、右手にルートをとった。市街地は、何年かぶりの大雪になっているが、このあたりの積雪は少ないと2人がいっていた。積雪が少なくブッシュが目立つ、コースを探すのがやっとである。
若女平手前で、スノーシューのトレース後を発見。これを頼りにいくとようやく標識がでできた。かなりの時間歩行がつづいたが、ようやく滑走できるようになってきた。すると間もなく難所のやせ尾根にさしかかった。止まっている二人を避けて、右手に止まると雪庇。高貝さんの「危ない。」の声で、プルークとストックで急制動すると、ストックから先の斜面が、3m位ドンと谷に落ちていった。肝を冷やした。気持ちを落ち着け、最後方で出発。後ろからみると、雪庇が落ちないか冷や冷やである。そしたら、高貝さんが声をあげて転倒。危ないと思った自分は、雪庇を避けて左手の林の中のコースを選択した。すると、今までのパウダースノーはなくなり、風のため幾つもの段差がついている斜面になっていた。木を避けてターンをすると、ブッシュにはじかれて、次の木に向かって一直線。ましてや、段差でスキーは宙に浮いてしまった。何とか木を避けようと再び左にターンをすると右のスキーが次の段差の中にささってしまった。「あっ」と思った瞬間その反動で、左腰から木に激突してしまった。
暫し、動けなかった。体が熱くなり、すべての筋肉が緊張している。左手をみると、ストックの取っ手から手首にまわしているシートがきれいに取れている。説明書に安全のために急激な力がかかると外れると書いてあったことを思い出し、感心する。ゾンデ棒にもなるクラスファイバーのシャフトは、竹を車で踏み潰したようになっている。板は、折れていない。足も大丈夫のようであるが、左脇腹と骨盤に鈍痛があり力が入らない。しばらく動く気がしないが、気象条件や自分の置かれている状況を考えるに、身体が冷えないうちに何とか下山するしかない。荷物を分けて持っていただいて、下山開始。
やせ尾根は、かなりの時間をかけて、力の入らない足を引きずって通過。その先は、シールをつけて下ることに。皆には、待っていただきながら下った。この辺からみぞれになる。吉田君の板は、ぼっこがついて滑るのに苦労していた。最後の杉の造林地は、また、板をはずして下ることになった。白布登山口着15:00。雨になっていた。運転を吉田君に代わっていただき、大沢へ車を取りに、そして、帰路に着いた。

今回は、自分の力量不足で、メンバーにご迷惑をおかけしました。しかし、厳しい気象条件の中でのルートファインディングとトラブル時の対応を、身をもって学ぶことができました。怪我の方は、骨には異常なしということで、全治3週間と診断されました。もう一回準備をしなおして、リベンジしたいと思います。
なお、今回のことからの情報として、里は大雪だが、山はそうとは限らないということ。また、戻った後に、インターネットでこのコースの記録を検索してみると、みなさん苦労しているようです。ゴンドラとリフトを利用できるルートですが、滑走を楽しむには厳しいコースではないでしょうか。参考に蒲生さんのホームページから、テレマークスキーでの記録から下記を抜粋してみました。
『西吾妻小屋から、2時間程でなんとか下山することが出来た。昨年は3時間半かかったから、ずいぶんと短縮されたものだ。しかし、上部の樹氷帯ではルート取りに苦労し、滑りでは凸凹が分からず苦労し、若女平では歩きが長くて大変、最後は細い尾根を滑ったりとなかなか苦労させられるルートだと思った。山スキールート図集では初心者向けのように書いてあるが、私にはまだ難しいコースだと感じた。なお、標高差1100mもありながら、途中で歩きが多くまともに滑った気がしないのは残念だ。雪が深いこの時期は歩きがあることを覚悟する必要があるだろう。参考に。若女平コースのツアー標識はあまりありません。地図と高度計、コンパスを多用して現在地を把握するしかないでしょう。なお、稜線は赤旗が多いですが、あまり頼りすぎないほうが良いでしょう。いろいろなパーティーが旗をつけてるので方向を間違える恐れがあります。樹氷は見るにはいいのですが、歩く、滑るには非常に障害となります。霧の時は頻繁にコンパスで方向を確認しましょう。その際は樹氷がいい目印になります。』

北望台からスタート 中大巓で引き返し
梵天岩をめざしルートファインディング 梵天岩手前の登り
白布登山口着 雨 飯豊町 白川 長瀞橋からの飯豊連峰