会員の山行 032号

 【2004年03月15日/雁戸山/吉田岳調査】

 北蔵王に位置する雁戸山は、500m程離れた南雁戸山と綺麗な双耳峰を形成し、山形市内からも東の方角にその急峻な頂きを眺めることができる。笹谷峠からの登山コースを往復してくるのが一般的だが,途中から痩せ尾根になるためスキーには適さない。笹雁新道というコースもあるが、平成になって造成された宮城県川崎町のセントメリースキー場から山頂を狙ってみることにした。
 スキー場のオープンは9時。かつ最上部のリフトが動き出したのは10時だったため,多少待たされることになった。10時15分、標高942mのリフト終点地をスタート。しかし、さっそく混んだ細いブナ林に出迎えられた。このようなブナ林は日本海側ではあまり見られず、しかも1000m近い標高という条件を考えての私のイメージとは違っていた。960mからの斜面はやや樹間が広がり、少し希望が出てくる。しかし途中からスネークシールが効かなくなり、スキーをザックに刺してかんじき歩行に切り替えた。雪面はしまっており、その下に硬めのバーンができている。そのためかんじき歩行も苦にはならず、キックステップが必要とされる場所も所々に出てきた。右手に神室岳・大東岳、左手に仙台平野が広がるが、今日は上空が曇っているためはっきりと見ることはできない。11時25分、1320mの小ピークを越えたところで休憩をとった。
 木々は背丈ほどになりその空いている所や、雪庇の付け根などにルートを選ぶ。最初に南雁戸山が姿を現した。急峻な岩膚の格好の良い山である。笹雁新道と合流する1410mの前衛峰まで来て、やっと目指す雁戸山が目の前に現れた。これもなかなか迫力がある。ここでスキーを置いていっても良いのだが、山頂から滑ってみたいという欲望を満たすべく、担いだままコルに下りて行った。最後の急登は痩せ尾根を想像していたが、そうではなく斜面という感じである。持ってきたピッケルは必要なかったが、アイスバーンになればアイゼンが必要かもしれない。山頂直下は雪庇になっているため左の肩へ登り、12時35分雁戸山山頂に到着した。残念ながらガスが立ち込み、視界は効かない。風もあったため、写真を撮ってから下山の準備にかかった。
 12時50分、スキー滑降開始。アイスバーンになりかかっている雪面を慎重に下る。程なくコルまで下り、スキーを脱いでまた登り返す。前衛峰からまたスキー再開。雪庇や潅木そしてでこぼこの雪面にも、めげずに滑り降りる。1220mの小ピークの手前でまたスキーを担いだ。雪質は引っかかるような感じから思い湿雪へと変わっていった。1100m〜950mまでのブナ林斜面はコース一番(唯一)のゲレンデである。最後に混んだブナ林を抜けて、14時10分、スキー場に出た。
 このコースはスキーにはあまり向いていないが、かんじき登山としてはとても面白いコースだと思います。展望は良いし、雁戸山の雄姿が素晴らしい。リフトを使って940mまでいけてしまうのも魅力。

1320m小ピークの様子 前衛峰方向
1320m地点より南雁戸山 雁戸山
雁戸山山頂にて 前衛峰よりカケスガ峰、笹谷峠方向
笹雁新道上部 スキー場が見えてきた