会員の山行 083号

【2006年08月12-15日/北ア:雲ノ平〜水晶岳〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜黒部五郎岳〜薬師岳/木内茂雄調査】

タイム
 (8/12)6:35折立駐車場(登山口)7:08〜8:02松の根8:07〜8:27水芭蕉群生〜8:39三角点〜8:50緩やか登り開始〜9:10ベンチ9:23〜10:45太郎平小屋11:40〜13:30薬師沢小屋
(8/13)薬師沢小屋5:25〜7:22アラスカ庭園7:44〜8:07奥日本庭園〜アルプス庭園への分岐〜8:30雲ノ平山荘〜8:49雲ノ平三俣分岐〜9:40祖父岳分岐〜10:05祖父岳10:35〜11:07岩苔乗越〜13:10水晶小屋13:17〜13:10水晶岳13:17〜13:43水晶小屋13:48〜14:11北ワリモ分岐〜14:30ワリモ岳〜15:10鷲羽岳15:23〜16:10三俣蓮華小屋
(8/14)三俣蓮華小屋5:23〜6:03三俣峠〜6:15三俣蓮華岳6:23〜6:48テント場からの巻き道合流〜7:40黒部五郎小舎8:13〜カールコース〜10:15稜線〜10:21肩〜10:32黒部五郎10:37〜10:44肩11:20〜13:25赤木岳13:35〜14:05北ノ俣岳〜14:11神岡新道への分岐〜14:28太郎山入り口〜15:24太郎平小屋
(8/15)太郎平小屋5:56〜6:50薬師平〜7:33薬師岳山荘7:43〜8:18避難小屋(祠跡)〜8:35薬師岳9:06〜9:31薬師岳山荘〜10:16テント場〜10:37太郎平小屋11:25〜11:57五光岩〜12:40三角点12:48〜13:32折立登山口
記 録
(8/12)
約40年前に通った山塊だが当時は花には目もくれず、ただひたすらピークからピークへと歩いていたので全く記憶が無く、今回は特に雲ノ平の花畑に期待して来た。
有峰林道のゲート開門一番で入ったが、折立の駐車場は既にほぼ満車で道路脇に停める。
身支度をして太郎坂と書かれた木柱を見て行くと直ぐ左に愛知大学遭難慰霊の一三重ノ塔と説明碑が有る。手始めに撮り、登り開始する。
樹林帯を進むが、ブナが最初少し有り、直ぐにトドマツ主体となり、その他ムシカリ、ノリウツギ、他の雑木に、花の無い、ニガナ、ゴゼンタチバナ、アカモノ、ホツツジ、ツルアリドウシ、イワカガミ、ネバリノギラン、マイヅルソウ、ユキザサ等の葉を確認する。一時間半ほど登ると水芭蕉の群生を見るが花は終わっている。三角点で大体、森林限界となり、見晴らしが良くなるが、上部に霧が発生していて、恐らく見えるだろう薬師岳はこの方向だろうと推測する。
10分も進むと比較的平坦な道が延々と続いている。五光岩の少し手前のベンチで休憩しながら、此処まで見た花をメモすると、キンコウカ、イワショウブ、イワイチョウ、アキノキリンソウ、ヤマハハコ、ニッコウキスゲ、オオバギボウシ、ミヤマリンドウ、シロタテヤマリンドウ、コバイケイソウ(花はまだ)、チングルマ(花は終わり)等。何処かで水晶岳が見えた。
平坦な登りは相変わらず延々と続き、小屋が見えてから一時間も要したろうか。小屋近くなるとチングルマが目立ち始める。太郎平小屋から薬師沢小屋までは下りなので、ここでユックリとビールを飲みながら快晴の薬師岳を見上げる。そしてその右には水晶岳、鷲羽岳三俣蓮華岳等を眺めていると急に曇り出したと思っている間もなく夕立が来た。ベンチで傘をさしたままビールとカップラーメンを食べる。
雨が止んだ頃、雨具を付けて薬師沢小屋へ木道を歩きだす。そして、チングルマのお花畑が続く景色を振り返り、太郎平小屋を入れて撮る。この辺りのチングルマは見事だ、そして、薬師沢までの間に見た花は、ニッコウキスゲ、ハクサンイチゲ、イワカガミ、タカネヤハズハハコ、ショウジョウバカマ、ミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマ、ミツバオウレン、アオノツガザクラ、タカネウスユキソウ、メタカラコウ、レイジンソウ、キヌガサソウ、アザミ、ハクサンフウロ、クルマユリ、ハクサンボウフウ、モミジカラマツ、ヤマブキショウマ、と花の無いコバイケイソウ、アヤメ等、高山植物図鑑のページをめくるようだ。その他、メモ忘れ、見逃しがあると思う。この花を見て歩いている間にまた、夕立と雷がゴロゴロ来ていたが、ドンドン下っているし、私より高い草木が有るので安心して下る。花を撮りながら大股で歩いていて、濡れている木道に足を取られ二回滑って膝をついた、運悪ければ遭難救助騒ぎだ。
薬師沢小屋に着く前には嘘の様に雨が上がり晴れてしまった。小屋に着いてまだ時間は有るが雨に濡れているので本日の終わりとする。薬師沢でノンビリと日差しにシャツを当てて乾かす。小屋は小さく一畳に二人寝る騒ぎであった。寝苦しくて何回か外に出て星を見た。
(8/13)
朝早くから起きて朝食を待ち、早めにスタートする。対岸に渡り、直ぐに急登が始まる。1時間登った所で太郎平小屋を見ながら休憩する。途中、ダイモンジソウ、ミゾホウズキ、キヌガサソウ、ゴゼンタチバナ、ヤグルマソウ、イワナシ、カニコウモリを見てきた。休憩後、20分位登ると傾斜が緩やかになり、間もなく待望の雲ノ平のアラスカ庭園に入った。既に木道は始まっていて、いつの間にか水晶岳が正面に見えるし、右には黒部五郎岳を見ながら木道を歩く。両脇はチングルマだらけと言う感じで他にヨツバシオガマ、ハクサンイチゲが咲いている。道はいつも水晶岳を正面に見ながら、延々とした木道が続く。
奥日本庭園、アルプス庭園、そして、雲ノ平山荘と快晴の中チングルマはもとより、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、イワイチョウ、ミヤマリンドウ、イワカガミ、ガンコウラン、コバイケイソウ等が楽しませてくれる。
雲ノ平山荘で水晶小屋の状況を聞くと、予約で満杯と言う話なので、予定変更して、三俣蓮華小屋まで足を延ばす事にする。相変わらず木道は続き、雲ノ平三俣分岐までミヤマキンバイ、ミヤマリンドウ、エゾシオガマ、ウサギギク、アキノキリンソウ、ハクサンフウロ、ミヤマダイコンソウ、ヨツバシオガマ、イワギキョウ、タカネヨモギ、アオノツガザクラ、イワオトギリ、ホツツジ、オヤマリンドウ、タテヤマリンドウ、タカネヒゴダイ、クロトウヒレン、等が咲いている。もちろんチングルマはそこかしこに有る。祖父岳分岐から漸く、登りらしい登りとなり、霧が発生すると、慎重にペンキのマークを探さないと迷いやすい地形だ。祖父岳山頂からも360度景色は文句なし。槍ヶ岳が大分近くになった。天気が良すぎて全部見えると表現した方が早い。
それから、岩苔乗越、ワリモ分岐、水晶小屋と進み此処で昼食をとりながら目の前が切れ落ちて、その先の白い山の野口五郎岳を眺める。右には槍ヶ岳が見える。
期待の水晶岳は30分で着くが、道々花が楽しませてくれる。それは、ミヤマコウゾリナ、イワギキョウ、イワツメクサ、イワベンケイ、イワオウギ、チョウノスケソウ、イブキトラノオ、ミヤマシオガマ、ホソバウスユキソウ、キバナノコマノツメ、コゴメグサ、シコタンソウ、そして目立ったのはイブキジャコウソウのお花畑だ。その上山頂からの最高の景色は地図に書いて有る山々がみんな見える。まだ先が有るので感激を胸にしまい、水晶小屋、ワリモ分岐まで引き返す、それから、ワリモ岳の登りはさほどでないけれど、鷲羽岳の登りは手応えがあった。鷲羽山頂からは真下に見える三俣蓮華小屋に一気に下る。途中、左下に青い鷲羽池を見るが昔見た池の印象より大きく感じた。
三俣蓮華小屋に着いて、振り返って見上げる鷲羽岳は急で迫力がある。小屋に着いた時間が遅かったせいもあり、超満員で廊下に寝る始末で暑くて一度は外に出て星空を見ながら寝た。
(8/14)殆ど眠れず、食堂前に一番に並ぶ。そして、今日もまた快晴の中、左に槍、穂高を見ながら気分爽やかにまず、三俣蓮華岳を目指す。
山荘を出て、直ぐテント場の横を通る。上に見える残雪の融水が足下に小さな流れをなしている。三俣峠、三俣蓮華岳まで花々を見、山々を眺め気分爽快で何の文句もでない。
また、同じ花を記すが、ハクサンフウロ、ゴゼンタチバナ(花大)、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、クルマユリ、アオノツガザクラ、ミヤマダイコンソウ、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、タカネヤハズハハコ、ミヤマキンバイ、イワカガミ、等である。
山は黒部五郎が間近に見えるのと、笠ヶ岳も近くになったと表現する以外、他の山々は全部見えるので省略する。そして、山頂を後にする。
黒部五郎小舎は平らな所に有り、ベンチから笠ヶ岳を遠くに眺める。此処から、稜線コースとカールコースに分かれるが花の多い後者を選ぶ。このコースは上部の残雪からの融水で、カールの底部まで水に不自由しない。花は今まで見なかったものだけをあげると、イワアカバナ、ムシトリスミレ、シナノキナバイ、フリハタザオ、である。
カール底部からは急登になり、高度を稼いで行くとカールが遙か下になって、稜線に出る。左に少し行くと肩に出る。此処に荷物を置き黒部五郎山頂まで往復してくる。肩に戻り、昼食を食べてから、一気に下るが少しガスが発生してきているので見通しが少し悪いが、かなり下っていることが判る。この登りはキツイだろう。この下りにはトウヤクリンドウが所々に有る。下りきってから、赤木岳まで小さな起伏の上り下りを何回も繰り返したので、まだかまだかと少し歩くのに飽きてしまった。赤木岳付近で沢登りの人達が居たので、聞いてみるといい滝が有るとのことだった。北ノ俣岳までは30分で着き、その先5分程で神岡新道の分岐になる。そして、その先にはハクサンイチゲのお花畑が待っていた。正面の薬師岳の上部は霧の中だが、見通しよければ“ハクサンイチゲ庭園“と呼びたい。それから先にはチングルマのお花畑が待っていた。これまた”チングルマ庭園“と呼びたい。この二つの群落は実に見事だ。そのほかのイワショウブ、ニッコウキスゲ、ミヤマリンドウ、キンコウカ、エゾシオガマ、マイヅルソウ等は影が薄い。
これらの楽しみもあるが、太郎山までのなだらかな歩きが馬鹿に長く感じた。遠くから見た稜線は簡単に思えたが、意外であり、疲れが出てきたせいかもしれないが歩くのに飽きた。何とか平らな太郎山に着き、後は太郎平小屋へと惰性で歩いた。
今日は盆も半ばのせいか、小屋は空いていた上に小屋全体が大きいので今回一番楽な睡眠がとれた。
(8/15)
今日もまた快晴の中、大きな山薬師岳を目指す。木道を少し歩き下って行くと20分位でテント場と水場に着く、トイレも有る。
此処から本格的に沢沿いをのぼって行くこと25分位で沢が広くなり森林限界となる。残雪が有り、ビニール袋に雪を取りビールを冷やしながら登る。花はメタカラコウ、ミズバショウ、チングルマ、ハクサンイチゲ、イワカガミ、アオノツガザクラ、等が有る。
更に10分で薬師平に着く。槍ヶ岳が良く見えるし、目指す薬師岳が立ちはだかっている。
薬師岳山荘を通過して間もなく草木の無い石だらけの急登になる。山頂手前に避難小屋が有るが40年前に来た時は木製の祠だった気がする。今はその横に祠が有る。
此処から20分弱で山頂に着く。相変わらずの快晴で北アルプス全山が見える程の大パノラマで何も言うことは無い。富士山までが水晶岳と槍ヶ岳の間に頭を出している。
帰り道も雄大な山塊を眺め回し、充分に堪能して下った。
テント場から小屋までの間にシロタテヤマリンドウが点々と咲いている。行く時はまだ朝だったので花が開いていなくて気づかなかった。
太郎平小屋で液体エネルギーを充分に充填したことは言うまでもない。
下に降りて亀谷温泉に入ったがソープ1回目は泡が立たず2回洗いした。

折立登山口風景 折立登山口標識
折立登山口:太郎坂 折立登山口十三重ノ塔
愛知大学遭難の説明碑 五光岩辺りにて有峰湖を見下ろす
太郎平への標識 途中にて水晶岳を望む
太郎平への道のりとニッコウキスゲ シロタテヤマリンドウ群生
ミヤマリンドウ ニッコウキスゲと後方薬師岳
太郎平小屋前風景後方薬師岳 太郎平小屋前標識
太郎平小屋前にて水晶岳 薬師沢に向かう時太郎平小屋を振り返る
ヤハズハハコ クルマユリ
オタカラコウ レイジンソウとキヌガサソウ
夕立を受けたニッコウキスゲ 薬師沢小屋風景
薬師沢の釣り人 キイチゴの実
ゴゼンタチバナ 朝日に輝くチングルマの実毛
アラスカ庭園の標識と後方薬師岳 木道が続く水晶岳
雲ノ平にて笠ヶ岳 雲ノ平にて黒部五郎岳
奥日本庭園にて後方黒部五郎岳 延々と続く木道とチングルマ
チングルマと後方水晶岳 雲ノ平山荘
雲ノ平山荘より水晶岳を望む 雲ノ平山荘を振り返る後方太郎山
スイス庭園にて水晶岳を望む 雲ノ平にてエゾシオガマ
雲ノ平にてミヤマリンドウ 雲ノ平にてミヤマダイコンソウ
イワギキョウ 祖父岳手前にてタカネヨモギ
ミヤマキンバイ クロトウヒレン
コケモモ タカネヒダイ
祖父岳付近にて水晶岳 祖父岳標識
チングルマと水晶岳 祖父岳山頂にて水晶岳
祖父岳にて左ワリモ岳右鷲羽岳 ヨツバシオガマと水晶岳
ヨツバシオガマ ヨツバシオガマとウサギギク
ウサギギク ミヤマコウゾリナ
ミヤマキンバイ ハクサンイチゲ
岩苔乗越標識と水晶岳 タカネツメクサの株と水晶岳
タカネツメクサの株 ワリモ北分岐と左水晶岳
ワリモ北分岐から野口五郎岳 キバナノコマノツメ
ミヤマシオガマとタカネツメクサ イブキジャコウソウの群生
タカネミミナグサ コゴメグサ
ミヤマシオガマ 水晶岳分岐標識と槍ヶ岳
水晶小屋と野口五郎岳 水晶小屋
水晶小屋前にて野口五郎岳 水晶小屋前にて水晶岳
水晶岳に向かう シコタンソウ
オヤマシオガマとシコタンソウ ホソバウスユキソウ
水晶岳山頂標識 水晶岳にて赤牛岳方面
水晶岳山頂の人々 水晶小屋付近よりワリモ岳と鷲羽岳
イワギキョウ 水晶岳を振り返る
ワリモ岳 鷲羽岳より水晶岳を望む
鷲羽岳より祖父岳を望む