会員の山行 086号

【2006年10月22日/金城山(滝入コース〜水無コース):新潟県六日町市/木内茂雄調査】

【タイム】 
登山口7:24〜(滝入コース)7:45二合目〜8:10三合目〜8:24四合目〜8:42五合目〜9:05六合目(大月コース合流)9:13〜9:29七合目〜9:38雲洞コース合流〜9:55八合目〜水場まで60m地点〜10:10九合目〜10:30山頂11:38〜11:56金城山避難小屋〜(水無コース)12:06九合目〜12:17八合目〜12:32七合目〜12:47六合目〜13:07五合目〜13:19〜13:48二合目〜13:55沢に降りる〜14:04登山口
【記録】
2年前の10月23日に此の山の紅葉を撮ろうと思い、ゴルフの後、関越道を夕方暗くなった頃、小千谷付近を高速で走っていた。突然、車が壊れたかと思う程の、今までに感じた事の無い振動と言うか、空中に舞ったと言うか、表現のしようがない状態になった。
兎に角、慎重にスピードを落とし、路肩に停めた。そして、まず、パンクかと考え4本のタイヤを確認したが正常だ、何だろうなと思っている時に、自分に関係なく体が左右前後に強くフラフラしていて、初めて地震だと気がついた。まともに立って居られない、車に入りサイドブレーキを引っ張っていても車が前に進む錯覚を起こし、フットブレーキを何度も踏んでしまい、後で苦笑いした。前にいる大型トラックのアルミバンが左右に激しく振れ今にも倒れるかの様だ。また車外に出て歩くがうまく歩けない、他の人達は路面にしゃがみこんでいた。次から次へと、鈍い地鳴りを立てて地震波が押し寄せてくるし、そばの高圧線の電線なのか、ガードレールなのかその度にパタパタと音を立てる、そして遠くからは恐怖に怯えた犬の鳴き声が聞こえてくる。とんでもない世界に居るんだなと冷静に暗闇を見つめる。30分、1時間、いやもっとか時間感覚がないが取り敢えず大きな地震波は治まった。高速道路を生まれて初めて歩いて見ると、至る処路面が割れ湯気が出ている。そして、橋の処は、段差が出来、隙間も有り、前後何カ所かその状態で車は動けず、完全に孤立してしまった。やむを得ず、山の道具を担ぎ、2キロ後ろに小千谷ICの標識が有るので歩き出す。(コンパネでも借りて来て車を脱出しようと考えた)少し歩くと別のグループが工事用のゲートを工具でバラして外に出ようと動いていたので引き返し、私が孤立した処の5,6台の人達に脱出しようと声をかけた。そして、寸断された処の補修のため、2mも地割れした穴に飛び降り、石とか、アスファルトの欠片とかを集め、みんなで車の轍分だけの道作りをした。
素手で必死にやった。3カ所位それをやったが材料が足りずその前に脱出した処からも石を運んだりしたので何時間かかったか判らない。それでもヤットの思いで一般道に降りた。
そこには、避難する人達が懐中電灯を持ってゾロゾロ歩きいていた。そして、信号機は道路に転がり、電柱は傾き、墓石は転げ、潰れた家は有り、石塀は倒れと、凄い光景だ。私はそれらを避け、余震が来る前にとカーナビと睨めっこしながら、我が家へ、我が家へと懸命に逃げた。
帰って来てから、現地の状況をみて、自分の幸せに痛感して、運の良さに感謝して生まれて初めて義捐金を送った。
そんな事を思い出しながら、現場を通過して六日町インターを降り、国道に出た。目的の山への標識が不明確で、国道から折れるのに戸惑う。更に、登山口に入るのにも標識が判らない。どうにか、登山口に着いた。
沢沿いに杉林の中を10分も歩くと、杉林も終わり草藪の道となり、夏は木陰がなく日差しが直接で暑いだろう。雨の後のせいか、道は滑り易い。アキギリとノリンドウが咲いているのと、クルマユリみたいな葉を見付ける。2合目辺りから後ろを振り返ると下の田圃が見える。それから、その先で新しい踏み後が有り、付け替えの道かと思い登ったが、灌木をくぐったり、木の枝を掴みながら15分位登ったが一寸ひどかった。途中で左から来る道に踊りでた。どうも誰かの間違いに大勢が辿ってしまったようだ。
道は沢に沿って登っていて、4合目の少し上で水がくめる。その辺りから沢より外れ、5合目の標識辺りからブナ林になり、やがて尾根を登るようになる。ブナの葉が朝日を通してきれいな黄色で迎えてくれる。そして、右向こうのコルを目指して登る感じだがなかなか着かない。やっと6合目で稜線に着き、右から大月コースが合流してくる。この道は藪のようだ。ここまで1ピッチで来たので一休みする。この稜線を歩いて行くと左上方に何か4角っぽい黒いものが見える。これは山頂に近づくまでズット見えていた。小屋にしてはちいさいなあと思っていたが山頂に着き近くに有る岩峰と判った。8合目手前で右から雲洞コースが合流してくる。下界からは選挙運動らしいウグイス嬢らしい声が聞こえて来る。8合目の先で右に60m水場の標識が有り、その方向より沢の水音が聞こえて来る。9合目辺りからブナ林の急登になる。晴れて居るのでもう山頂は時間の問題と足取りも軽い。
山頂に着くと目の前は巻機山が大きい山容で出迎えてくれる。そして、その間には断崖絶壁で切れ落ちている。今までのブナ林とは一変した風景でこれが岩壁に紅葉の題材だが、紅葉の時期は少し過ぎているようだ。天気は相変わらず良く、狭い山頂で、巻機山を眺めながらユックリする。越後三山も良く見える。避難小屋は少し先の林の中に見えるが、新緑の時期は、屋根が見えるのだろうか。そして、周遊コースの水無コースへと前進する。右に切れ落ちた岩壁を見下ろしながら、題材を撮る、そのため金城山避難小屋まで20分くらい要したが、10分もかからないだろう。小屋は八畳くらいで狭いがトイレ完備だ。休まず数分歩くと小さな地塘らしい処にミズバショウの葉があった。そして、岩壁からは別れ正面に越後三山を眺め、振り返れば巻機山を見て下る。九合目を過ぎると巻機山は見えなくなり、越後三山は四合目過ぎる頃まで見え、下界の田圃も手に取る様見える。晴れているので快適な気分だが、足下は滑り易い。六合目辺りの鎖場は滑りやすい岩なので、鎖に身を託して降りる。此処だけは特に慎重を要求される。このコースは迷う事無く登山口に着いた。
登山口案内板 途中の滝
ブナ林 6合目標識
紅葉 越後三山を望む
紅葉 9合目標識
山頂の岩稜 山頂の岩稜
山頂より越後三山 山頂より巻機山を望む
山頂風景後方巻機山 山頂の石塔
山頂近くにて巻機山を望む 山頂を振り返る
金城山避難小屋 下山時越後三山を望む
水無コース6合目標識 水無コース5合目標識
黄葉 水無コース2合目標識