会員の山行 114号

【2008年02月3日/蔵王連峰仙人沢/吉田岳】

 今回向かったのは、蔵王ライザスキー場ゲレンデトップより左下に下りていった所にある、仙人沢の氷瀑。ここは東北一のアイスクライミングゲレンデとして人気のある所である。パートナーは小国山岳会の岳友であるECB。ECBは今回が氷瀑初挑戦。2日前にピカピカの14本爪アイゼンを購入するという気合の入れようである。天気は雪が舞っているが、予報よりは良さそうな感じである。
 ゲレンデトップよりそのままスキーで15分ほど歩いたところにスキーをデポ。そこからはかんじきで沢に下りていった。いつもはたいてい誰かが入っている跡があるのだが、今回は誰もいないようだ。沢や斜面の様子が昨年2月末に来た時と全然違っており、氷瀑を探すのに少し時間を費やしてしまった。雪崩が怖く、沢筋から少し高巻いたりして、何とか氷瀑に到着した。しかし雪が多いわりにあまり凍っていなく、氷瀑の規模が小さくて氷も薄い。なるほど、人が来ないのには訳があるということである。皆さん賢い。賢くない自分達は、せっかく来たのでとりあえず向かってみることとする。
 比較的楽そうなルートを、まずは私がリードで取り付いてみた。バイルは効くが、アイゼンがあまり効かない。「カッテーなこの氷」などと思ったが、どうもアイゼンの爪を研いでいないせいのようである。ぶら下がりながらの支点用アイススクリューの刺し方がいまひとつヘタクソである。(誰か教えて下さい)。なにわともあれ終点まで登り、トップロープにして下りてきた。
 さて次はECBである。私も経験があるが、何せ初めての氷というものは何が何だか分からない物である。岩登りなら何となく想像が出来るが、氷となるとギア類がどれだけ効くのか、怖いのか怖くないのか見当が付かないように思える。とりあえず簡単に基本動作を説明し、「トップロープだから大丈夫!」と送り出した。案の定、ガチガチに力が入っていた。しかし下から一つ一つ動き方を教えてやりながら、何とか終点まで登ることが出来た。アイスクライミングは、難しいようで意外と登れてでもやはり難しいという代物のようである。という私もまだよく分かってはいない。
 その後3回くらいずつ変わりばんこに登った。ECBは回を重ねるにつれメキメキと上達していった。フリークライミングをやっている成果も出ているのだと思う。14時30分に終了とし、帰り支度を始めた。
 帰りの登りはこれまたたいへんなラッセルだった。昨日から連チャンのECBも、「距離はあまり無いけれど、百国山よりはるかにキツイ」とお疲れのようだった。スキーデポ地からはスキーを履いて、ゲレンデを通って滑っていった。無事下山。ECBは「これはやるとやらないのでは大きな違い。とても勉強になった」とご満悦だった。また近い内に来ようと約束をし、解散をした。
核心部をクリアするECB もうすぐ終了点
氷塊で負傷してしまいました 氷瀑全体の様子