会員の山行 153号

 【2009年06月13日/谷川岳烏帽子沢奥壁南稜/(文)吉田岳、(写真)今野伸・笹川徹】

 前夜、仕事を終えて後急いで準備を済ませ、18時にWKBと小国を出発。新発田市でLTQ氏と合流し、高速に入る。途中のSAで食事を取り、水上ICで高速を降り、コンビニで明日の食事と今夜のアルコールを購入し、22時過ぎに谷川岳ロープウェー駅のベースプラザに到着。ここは7階建ての立体駐車場で、お土産売り場となっている6階にはカーペットが敷かれ、寝袋を出して眠ることができるという、遠方からの登山者にとっては非常にありがたい建物である。
 翌朝4時前に起き、もろもろ済ませ、また乗車してプラザを出発。10分ほどで登山口となる一ノ倉沢出会い駐車場に到着した。一ノ倉の岩壁が目の前にそびえ、さすがの迫力である。ここでテントを張って泊まったパーティーもあり、既にけっこうにぎわっていた。5時出合を出発し、LTQ氏の案内で一ノ倉沢、雪渓、テールリッジと登り詰め、更に中央稜取付き、烏帽子沢奥壁基部を通過し、南稜取付きに到着。気付けば一番乗り。しかし後からはどんどん登ってきているようである。
 準備を済まし、6時過ぎにクライミング開始。2度目の登攀になるLTQの説明を受け、私がトップでダブルロープを引っ張る形とした。メジャーなルートとはいえ、最初はやはり緊張感がある。ピッチが増すにつれ、登攀がスムーズになってきた。最後のX級の壁を越えて、8時30分終了点に到着。計7ピッチの登攀であった。
 山頂で食事を取り3人で雑談。“嵐を呼ぶ男”LTQと山に来て、こんな順調に終わる訳は無い。「おかしいなー」、「帰りに何かがあるかもしれないから気をつけよう」などと言い合いながら懸垂下降の準備に入る。
 最初にLTQが降りて行ったが、ロープを処理していたWKBが結び目をそのまま流してしまった。仕方なくLTQが途中で止まり、WKBを先に降ろしてやる。そのままWKBが先に降りて行った事も原因なのだろうか、3ピッチ目で過ちを犯す。下り過ぎてしまったのである。このまま降りていけば奈落の底。登り返してルートに戻らなければならない。更に、何故かここで突然雨が降り出してきた。「さすがLTQ」などと感心している場合ではない。仕方なくカッパを着て、濡れた岩壁を慎重に登っていった。腐れかけたハーケンが何枚かあったが、これは私達と同じ過ちをしたものか??何とか気合で登り切り、2人にも登ってきてもらう。途中で思いっきりテンションがかかったが、どうやらWKBがハーケンを掴み、それが抜けて1,5mほど落ちたようである。
 ルートに戻ると、雨がやんできた。途中で諦めたパーティーと一緒になり、のろのろ下降となった。それも仕方が無い。順調に降りていたら余裕で昼前には駐車場に着いただろうになぁと思う一方、あのトラブルがあってこそ逆に楽しかったとも思える。13時、出合に到着した。
朝の一ノ倉沢
雪渓を登る
テールリッジを行く先行パーティー
衝立岩
三スラに見入るWKB
登攀開始です
順調に高度を稼ぎます
馬の背リッジにて
LTQのクライミング
WKBのクライミング
もう一度三スラ
空中懸垂は無かったはず
何故か突然の雨
ルートに戻って懸垂下降