会員の山行 207号

【2010年11月27日〜28日/八ヶ岳大同心正面壁/吉田岳調査】

 11/26 pm7時、プレ冬合宿ということで、八ヶ岳大同心正面壁に向かった。冬期岩壁登攀の登竜門として有名な所だが、最近は冬期に登る人も少なくなったようで、逆に夏季にここをフリーで登るのが流行っているようである。我々は冬山登山の第1弾としてここを選んだのだが、連日の高温でどれだけ冬山になっているのか不安も感じつつの出発となった。
 11/27am4時、長野県内のSAで起床。諏訪南ICで高速を下り、6:30美濃戸に到着。準備を行い出発する。9時に赤岳鉱泉に到着し、幕営を行い、クライミングの準備に入る。大同心稜に入り、11時、大同心の取り付きに到着。計画より1時間ほど早く、天気も快晴。岩壁には雪は所々に付いているが、岩が凍っている状態ではなく、よってアイゼン無しで登る事にした。
 今日は時間も経っているということで、右フェースルートを行ける所まで行くという計画である。そのルートらしい取付きで準備を行う。ハーケンが2本打ってあるため、まずはここが取付きだろうということになった。しかしその上の支点が見つからない。まずはAXLがリードで出発。しかし3m登った所で滑落。岩がぼろぼろで足のホールドが崩れたためである。気を取り直して再スタート。しかし今度は4m登った所で再び滑落。またも足元の崩壊である。やはり岩が凍っていないとこんなもんなのかなと思いつつ、再々スタート。今度は5m登ったが、しかしやはりその上に支点が見つけられない。難度的に難しくはなさそうなのだが、ホールドが安定せず、また崩れたら今度は怪我をする心配もある。WKBの「無理しない方が・・・」というアドバイスを受け、とりあえずクライムダウンで降りてきた。「おかしいなー」と言いつつ良く見ると左側にちゃんとしたルートがあるではないか・・・。
 再び気を入れ直して出発。ちゃんとルートになっていた。フリーと人工の組み合わせで小ハングもあり、2ピッチまでは結構面白いルートであった。しかし3ピッチ目で再びルートが分からなくなる。WKBに左側を見てきてもらうが、「ルートっぽくないですよ」とのこと。(結局これがルートだったのだが)。右上に見えたハーケンを頼りにそちらへ進む。しかし程なくルートが途切れた。(これは南稜へ抜けるルート?)。戸惑っていると「真上にピトンを見つけたので戻ってきて」とのコール。慎重に戻りそこに向けて登りだす。ランナウトしだし、また岩がぼろぼろになって怖い思いをしながらもそのピトンに到着。するとそのピトンがグラグラ動く。「まじっすか・・」。(ここはもともとルートだった所が崩壊したのか、それとも誰かがやっつけで作ったのか?)。今更戻る訳にも行かず、覚悟を決め「行くよー」とコール。しかしもし滑落したらただでは済まないだろう。「生きて帰るために登らなければ」(ちょっとオーバー?)的なテンションで前進する。何とかルートに合流できホット一息。4ピッチ目の終了点でビレーを行い、WKBに登ってきてもらう。
 現在15時30分。もう1ピッチで頂上である。帰りはヘッデンになるだろうがここまで来たら上まで登ろうということになり、最終ピッチを登りだす。すると途中で気が付いた。このピッチは前に2回登ったことのある南稜ルートの最終ピッチと同じなのである。個人的に前からずっと疑問には思っていたのだが、大同心の主要ルートの最終ピッチが全て同じだとは思いつかなかった。16時30分、色々あったが結局二人とも大同心の頭まで登ってしまった。しかしそれを味わっている暇は無い。日は完全に沈んでしまった。1ピッチを懸垂下降で南稜側に下り、そこからヘッデンで下山。大同心ルンゼ源頭部は積雪があり、逆に歩きやすかった。17時50分、大同心の基部に到着しやっと安心できた。明日また来るのでここに重い登攀具をデポし、アイゼンのままダラダラと大同心稜を下り、19時前に幕営地に到着した。
 11/28。今日は天気が一転し、黒い雲に覆われ、雪が舞い、時々強風が吹いてくる。なにはともあれ、予定通り準備を行い、7時大同心に向けて出発。8時に大同心基部に到着。デポ品を回収し、雲稜ルートの取付きに向かう。しかし天気はますます悪くなり、昨夜から降った雪と氷で取付きに下りていくのにもロープが必要な感じになってきた。この条件で雲稜ルートを登るのは、うちらの実力(精神力?)では厳しい・・。断念する事にした。雲量ルートをバックに写真を撮ろうとすると、1ピッチ目にロープがぶら下がっていた。回収できずに敗退したのだろうか?それとも何かあったのだろうか?しかし我々が回収してあげるわけにも行かず、下山を開始した。

北沢の林道より横岳方面
大同心が近づいてきた
1ピッチ目のAXL
2ピッチ目を登るWKB
4ピッチ目の終了点にて
4ピッチ目をフォローするWKB
2日目、右フェースをバックに
No Goodデスネー