登山者情報016号

【1980年04月20日/石転ビ沢/井上邦彦調査】

今年の残雪は平年よりむしろ少なめですが、雪崩の発生が遅れています。これは降雪が一時期に集中したため層の区分が不明瞭で表層雪崩の発生が抑えられていることが原因と考えられます。今後はブロック雪崩に細心の注意が必要です。長者原〜飯豊山荘間が大変危険になっています。日本海低気圧や雨天時・午後からの通行などは控えるようにして下さい。また雪崩の発生が予想される場所での休憩、幕営は厳禁です。飯豊山荘は連休過ぎまで閉鎖されています。石転ビ沢の雪渓はツブテ石まで続いていますが、付近は雪崩が多発し危険な状態になっています。もう暫くは梶川尾根等にルートを変更して下さい。ダイグラ尾根取り付き桧山沢吊橋が雪崩のため破損しています。付近にスノーブリッジがありますが、崩壊に充分注意を払って通行して下さい。下界にはようやく春の息吹が感じられるようになりましたが、飯豊朝日連峰では連休まで吹雪きます。天幕を吹き飛ばされることなどないようにするとともに、天気図や長期予報などを参照のうえ慎重な登山をして下さい。装備・パーティの技術・体調・天候などの点検は万全ですか。全員が滑落停止などのピッケル技術やコンテニュアス等のザイルワークを身につけていること、山小屋にたどり着けなくても幕営できること、予備日程を持つこと、強風・降雪・雨などの悪天候でも行動・待機のできる技術と体力が必要です。山小屋を使用する際は必ずアイゼンを脱いでから入り床板を傷めないようにする、自分で出したゴミは自分で持ち帰るなど、登山者として自分に恥ずかしくない行動をして下さい。