登山者情報019号

【1980年05月18日/稜線/井上邦彦調査】

ブナの新緑から落ちる木漏れ日が眼に鮮やかな季節となりました。強い日差しを一身に受けて稜線の雪上漫歩と洒落込むのも一興でしょう。ところでこの時期の事故は大部分が滑落事故です。あなたは滑落停止ができますか?ピッケルは飾り物ではありません。確実なキックステップとピッケルワークを身につけて下さい。なおアイゼンは早朝を除いて効かなくなっていますので注意して下さい。稜線では夏道のほとんどが雪に覆われています。ガスられた時のルートファインディングには特に細心の注意を払って下さい。
{特に迷い易い所}
1) 石転ビ沢北股沢出合
2) クサイグラ尾根分岐(烏帽子岳東南東250m)
3) 牛首尾根分岐(大日岳)
4) 黒井堰(切合小屋から御坪へ下る時)
5) 梶川尾根1600m付近(梶川峰より下る時)
6) 丸森尾根1650m(地神山北峰より下る時)
7) 西俣尾根1600m付近(頼母木山より下る時、廃道注意)
ダイグラ尾根取り付き桧山沢出合吊橋は雪崩のため破損しています。付近にスノーブリッジがありますが、崩壊に充分注意して下さい。飯豊林道(梅花皮荘〜飯豊山荘)は落石の恐れのため、暫時(1週間位)車両通行止めとなります。また飯豊山荘は6月1日から営業開始の予定です。登山者カードの記入は済みましたか?登山者カードの記入とゴミの持ち帰りは登山者としての最低限のルールです。
{石転ビ沢を予定している方へ}
雪渓は常に変化しています。先人のトレースを辿るだけではなく、自分で判断して登ることが大切です。自分のパーティで無理だと思ったら早めに中止することが必要です。スキーは自分だけでなく、他の登山者にとって大変危険です。石転ビ沢はゲレンデではありませんので、スキーは持ち込まないでください。またグリセードは、下方の安全を充分に確認してから行うようにして下さい。