登山者情報020号

【1980年06月01日/ダイグラ尾根・稜線/井上邦彦調査】

6月1日ダイグラ尾根で残雪をトラバース中に大又沢へ滑落事故が発生しました。残雪期に登山する以上滑落停止やキックステップは不可欠の条件です。ピッケルや登山靴は飾りものではありません。確実な登山技術をしっかりした指導者について完全にマスターしてから登山を行うようにして下さい。春蝉・鴬・ヤマツツジ・ムシカリ・コヨウラクツツジ・ウラジロヨウラク・ウゴツクバネウツギ・ナナカマド・アヅマシャクナゲ・タムシバ・ツバメオモト・サンカヨウ・ニリンソウ・キクザキイチリンソウ・スミレサイシン・オオバキスミレ・ハクサンチドリ等山道は初夏の装い。しかし稜線のお花畑はミネズオウ・ウラシマツツジ・ミツバオウレン・コメバツガザクラ・ショウジョウバカマ等が咲き、ミヤマキンバイが綻び始めた程度です。ダイグラ尾根取り付きの吊橋が破損、100mほど上流のスノーブリッジはまもなく崩壊すると思われます。また渡渉も雪解けの増水でできません。ダイグラ尾根を予定しているものは別コースに変更して下さい。
稜線の東から南側の夏道は雪に覆われており、ガスられた時のルートファインディングが難しくなっています。特に下記地点には細心の注意を払って下さい。
1) 駒形山〜御西小屋
2) 飯豊山〜玄山道分岐(旧赤谷登山道)ガスられた時は使用しないこと
3) 牛首尾根分岐(大日岳より下る時)
4) 黒井堰(切合小屋より下る時)
5) クサイグラ尾根分岐(烏帽子岳南東250m、廃道注意!)
6) 梶川尾根(梶川峰より下る時)
7) 丸森尾根(地神北峰より下る時)
8) 西俣尾根(頼母木山より下る時、廃道注意!)
9) 石転ビ沢北股沢出合
水場は残雪に隠れている所が多い、各自の判断で水場を探すこと。水汲みには水筒をサブザックに入れピッケルを携行し滑落に備えること。稜線の水場は次の通り。
1) 本山小屋の水場は使用できない、三角点手前の残雪を使用。本山のテント場は強風地帯のため大変危険。
2) 御西小屋の水場は御西岳山頂の池か夏道沿いの融雪水を使用。
3) 天狗の庭のテント場は雪の上に幕営、強風に注意、水は中央の小沢を利用(現在は幕営禁止)
4) 与四太郎ノ池のテント場は3〜4張り可能、必ず池の端を使用(稜線は風が強く不可)、水は池の水を使用(現在は幕営禁止)
5) 梅花皮小屋の水場は梅花皮岳西側をトラバース。
登山者カードの記入は済みましたか?登山者カードの記入とゴミの持ち帰りは登山者としての最低限のルールです。石転ビ沢は常に変化しています。先人のトレースを辿るだけではなく自分で判断しながら登ることが大切です。自分のパーティでは無理だと思ったら早めに下山することが必要です。スキーは本人はもとより他の登山者をも危険に巻き込むことになります。スキーは絶対に持ち込まないでください。