登山者情報1013号

【2006年06月13日/倉手山(スズメバチ)/井上邦彦調査】】

 11日夜、LFDから電話があり「昨日倉手山に登ってきた。山頂には50人程の登山者が休憩していた。山頂の標柱の脇にオオスズメバチの巣があり、数匹が出入していた。居合わせた登山者に注意を喚起し、紙に書いて巣の脇に置いてきた。下山で約50人の登山者とすれ違ったので、皆に話しておいた。公園管理人には連絡済である。」とのことである。とりあえずホームページの掲示板に掲載し、翌朝トップ頁にも掲載した。
 翌12日、役場・警察・森林管理署に連絡をし、KZMとLFD、私の3人で処理することとした。17-18日には大勢登山者が登り危険である、巣を処理しても巣の外に出ていた蜂が戻ってきて数日間はうろつくことを考慮すると、できるだけ早い処理が必要である。現在スズメバチは巣を作り始めの段階であり、時間を置くと働き蜂が多くなり処理が面倒になる。蜂は変温動物であるから、気温が低いときは動きが鈍くなる。これらのことを考慮し、13日午前03:30登山口集合とした。
 13日時計を見ると03:55、目覚ましが機能しなかったようだ、慌てて飛び起き、処理用具を適当にザックに放り込み、車で駐車場に向かう。駐車場にLFDの車はあったが人影はない、先に登ったのだろう。無線で呼ぶが返答はない。
 04:34長靴を履いて登り始める、1時間の遅刻である。途中で大声を出すと、微かに反応があった。先行しているのは間違いない。旧道分岐を過ぎて、再び呼ぶとまだ山頂手前のようである。05:14水場分岐を通過する。ここからの登りが結構急斜面である。05:29ようやく倉手山々頂に到着する。
 噴出す汗が収まるまで待ってもらい、3人で作業に取り掛かる。LFDは昨年のダメージがあるので、主は私とKZMで行うこととする。長靴にカッパを着込み、ヘルメットの上に専用のネットを被り、厚い手袋をつける。
 蜂はまだ眠っているようで姿は見えない。LFDに穴を教えてもらう。木の根が複雑に絡み合い盛り上がった場所に、指摘されなければ分からない穴があった。
 穴の中に石油を注入し、布を巻いた棒で点火する。オオスズメバチの場合、キンチョールは殆ど効かない。蜂スプレーの直撃を受けても致命傷にはならず復活する。羽を焼いてしまい飛べなくしてしまうのが一番安全である。ただし、この方法は地下に巣を作っているための方法であり、樹木や建造物に巣を作っている場合は、巣をそっくり撤去すべきである。隣町で人家に作られた巣を処理しようとして花火を使い家を焼いてしまった事案があったことを付け加えておく。
 蜂が出てこないことを確認し、さらに何処からも煙が出ていないので他に出入口はないと判断した。慎重に鋸で入口の枝を切る。中に蜂がいれば振動で飛び立つ筈、蜂スプレーを併用しながら徐々に開いていく。
 ある程度巣を開いた段階で、再度石油を巻いて火を点ける。棒で巣の周囲を突付いてみると、穴が四方に広がっている。火が静まりかけた時、棒で土をかき回してみると、大きな蜂が出てきた。見事なオオスズメバチである。すかさず蜂スプレーを直撃するが、スプレーでびっしょり濡れながらも飛び立とうとする。慌てて棒で叩き潰す。
 鋸で枝を切りながら、巣の四方を開いていく。その後に、蜂は出てこない。十二分に巣を開き、石油を染み込ませて点火、沈下してから水筒の水を掛けて消火した。
 これで作業は終了、カッパなどを脱いで、とっとと下山、帰宅して朝食を取り、出勤した。

スズメバチの巣を指差すLFD 横の木片の下の穴が巣の出入口
出入口に石油を流し込むHZUとKZM 先ずは火をつけて様子をみる
他に出入口があれば煙が出てくる筈 他に出入口がないことを確認して
入口を広げる
鋸で木の根を切りながら巣を解体する 注意深く木の根を剥いでいく
何かが動いた オオスズメバチだ
蜂スプレーを吹き付け
踏みつけてやっと息絶えた
解体した巣に再び石油を撒いて
点火する
残りの蜂がいれば羽が焼ける筈 概ね作業は終了
丸森尾根が薄く見えた
こちらは梶川尾根と石転ビ沢
脇に広がる穴も満遍なく焼き尽くす 解体された巣の全容
持参した水を掛けて完全に消火する 山頂から下山を開始する
雪が消えたばかりだ 急坂を下る
チゴユリの群生 旧道分岐峰に向かう
倉手山を振り返る 旧道分岐から下る
倉手山を振り仰ぐ さっさと下って出勤だ