【2006年07月30日/大日杉〜飯豊山/井上邦彦調査】
大日杉小屋までの車道が豪雨のため車両が通れないという情報があったので、実際に状況を確認するために、入山してみることとした。
釣堀(葡萄沢分岐)から若干進んだ砂防ダム公園に「通行止め」の柵があったが、その脇を簡単に通行できた。土砂が押し出した跡があるが、綺麗に片付けられている。暫く進むと砂利道の真ん中が掘れている所に到着した。駐車スペースがあり、何台かの車が止まっている。ここで車を降りて自転車を出す。準備をしているともう1台が到着した。
06:11自転車を引いて歩き出す。真ん中の溝は深い所もある。溝を跨いで車が走った跡があるが、タイヤが溝にはみ出している箇所もある。ハンドル操作を僅かでも誤ればタイヤが溝に落ち脱出できなくなるだろう。
小沢を過ぎると普段の車道になる。此処は自転車に乗り進む。やがて再び洗掘した場所になる。規模はこちらの方が格段に大きくU字溝が空中に浮いているが、此処にも車が通った跡がある。
06:30-34大日杉小屋に到着すると、数台の車が駐車されていた。私は自転車を駐輪する。大日沢に架かる橋は、右岸の川下側が抉り取られたため鉄骨が外れ、橋がねじれて傾いている。川上側の鉄骨は大丈夫なので、徒歩で橋の端を渡る。管理人に挨拶をして情報を交換する。明日から工事車両が入るとのことである。
大日沢右岸を進み左折して登り始める。ザンゲ坂には真新しい鎖が下げられている。今日は半ズボンに半袖シャツ、足がスムーズに足場に反応してくれるが、汗が滴る。06:50ザンゲ坂を登り終えると菱形の標識がある。ここからは尾根歩きになる。
07:07長之助清水の菱形標識は地名の文字が消えている。足元にヤマセミの羽が散乱している。鷲鷹類に襲われたものだろう。御田を過ぎブナ林を登り、07:24-35尾根を左から巻く日陰で食事とする。風が心地よい蝉が2種類競うように啼いている。道脇にはツルアリドウシやシロニガナが咲いている。
08:00滝切合を通過する。滝の登山道は完全に廃道化している。雲があり程よい気温である。ヤマトウバナ・キニガナ・ミヤマコウゾリナ・ママコナ・センジュガンピが咲いている。
08:19-29地蔵岳、花を撮影していると何かの気配がする。声を出してみると「おう」という返事が返ってきた。なんと旧黒川村の今井ユウイチロウさんであった。立ち話で情報交換をして、先に出発する。歩きながら呼ぶと、本山小屋のIWUに無線が繋がった。
登山道のあちこちに黒い糞が点在している。猿と熊の糞は似ているが、両者が混在しているようだ。登山道に泥地に、爪のはっきりした熊の足跡があった。またテンだろうか、小さな足跡も確認できた。
08:57目洗い清水の標柱は登山道脇に倒れている。残雪が残っているが踏み跡を辿って下ることは可能だ。水音が聞こえる。
ニッコウキスゲ(盛)・ヒメサユリ(終)・モミジカラマツ・イワイチョウ・シロニガナ・ミヤマコウゾリナ・ママコナ・ウメバチソウ・コゴメズグサ・コキンレイカ・タカネマツムシソウ・エゾシオガマを見ながら進む。
09:22-29ダケカンバに囲まれた居心地の良い所で食事とする。クルマユリ・タカネアオヤギソウが咲いている。
09:30御坪を過ぎた所で右に入る踏み跡がある、ここから御沢を観察する。何とか登れそうだ。09:35御沢分レから右に下る。ロープで閉鎖されている所を左折し、小沢を横切り草原の中の踏み跡を進んで雪渓に下りる。シナノキンバイやミヤマキンポウゲが咲いていた。
雪渓が細くなっている箇所は亀裂が入り、今にも崩壊しそうだ、左岸の湿地に上がって巻き、再び雪渓に上がる。後は単調に雪渓を詰める。小屋に直登する小沢に入ると、雪渓が切れていたので左岸を巻くが、微妙なバランスが求められた。さらに急な雪渓に出てピッケルで足場をカッティングしながら登り、踏み跡を詰めた。
10:05-08途中で拾ってきたスコップを片手に切合小屋に顔を出す。小屋ではトイレを建設中で、仮設トイレが並んでいた。
足元にはシロニガナ・タカネマツムシソウ・クルマユリ・コキンレイカ・マルバシモツケ・ミヤマホツツジ・ミヤマアキノキリンソウ・ミネウスユキソウが咲いている。
登山道を下ってくる登山者がいた。聞けば途中で道が分からなくなったという。私の後を付いてくるように話す。残雪の端を歩いて登山道に出る。登山道の脇を水が流れている。
10:22-24水筒に水を汲む。チングルマ・イワカガミ・アオノツガザクラ・モミジカラマツ・ミヤマキンポウゲ・シラネアオイ・ショウジョウバカマ・ハクサンコザクラが咲いている中を登り、頭上が潅木で覆われたトンネルを潜り、10:32マルバダケブキの咲く草履塚山頂に着く。
あいにくとガスは今ひとつ晴れない。ハクサンフウロ・ミヤマコウゾリナ・ヤマトウバナ・ヨツバシオガマ・クルマユリ・ムカゴトラノオ・ヤマハハコ・イワオウギ・ヒメシャジン・ダイモンジソウが咲く中を下る。
10:43-46鎌を片手に下ってきた旧山都町の平野さんとすれ違い、立ち話をする。コキンレイカ・チシマギキョウが咲いている。10:47姥権現を通過して進むと、佐藤レイ子さん中川さんと会い、またもや立ち話をする。
御前坂の急坂を登り詰め、11:27一ノ王子に着く。水場の分岐を過ぎ、本山小屋のトイレを確認する。3穴あるうち2穴は夏専用で1穴は冬専用(鍵が掛かっていた)。
11:34-13:49本山小屋に顔を出すとIWUが冷た〜い缶ビールで出迎えてくれた。ここでラーメンを煮て大休止。
その後、イイデリンドウを見ながら飯豊山まで散歩、13:59-14三角点。門内小屋のLTQと無線が繋がった。
14:25-30本山小屋で挨拶をし、一ノ王子で膝にサポーターを巻き下山に備える。15:09草履塚を通過し、15:31-55切合小屋でお茶をご馳走になる。
帰りは種蒔山をトラバースするコースを通ることにする。切合小屋の水源沢には雪渓がたっぷり残っている。巻き道の最上部で迷っているパーティが見えた。私はピッケルを抜いてそのまま雪渓を横断する。笹の登山道は道刈りが不十分に感じた。さらに雪渓を歩き、いつも利用する水場の沢に行くと、沢は雪渓に覆われて水は取れない状態になっていた。
コキンレイカの咲く尾根を下り、16:23御沢分レ、16:28御坪、16:44目洗い清水を通過する。下山途中で会った方が目洗イ清水の残雪に熊の足跡があったと話していた。16:53-03食事をして地蔵岳の登りに備える。
17:24地蔵岳山頂で自宅に下山予定時刻を電話、17:38滝切合、18:01御田を通過し、18:25-36大日杉小屋から五段山コースに向かい吊橋が問題ないことを確認する。
大日杉小屋に灯りが見えたので覗いてみると、飯豊山岳会の舩山清一さんが小屋番をしていた。彼によると、「とりあえず明日から重機が入り、応急処理で車が入れるように頼んでいる、本格的な補修完了は9月になる見込み」とのことであった。
小屋から自転車に乗り、18:47車に到着した。
今回のコース |
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御坪〜切合小屋 |
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右端「交通止め」、右から2つ目「ここまで車で入った」 |
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砂防ダム(左手に見える) 手前の通行止め標識 |
ここから洗掘が始まる |
何台か駐車している | 途中の路肩崩壊は 応急処置がされている |
再び洗掘 | 流水が走った跡 |
U字溝が浮いている | 大日杉登山口 |
橋の端を渡った | 猛禽類に襲われた跡 |
滝切合から仰ぐ地蔵岳 | 滝切合、滝の登山道は廃道 |
センジュガンピ | 地蔵岳を振り返る |
地蔵清水には残雪がある | 種蒔山方面 |
目洗イ清水 | 目洗イ清水の標柱 |
ニッコウキスゲ | 獣の足跡 |
ダケカンバが出てきた | クルマユリ |
御坪 | 御沢全景 |
草履塚を見上げる | 御沢に下る |
御沢を見上げる | 右岸の踏み跡を進む |
ここから雪渓に下る | ズタズタになっている雪渓 |
危ないので左岸を通った | |
御沢最上部 | |
強引に沢を詰める | シラネアオイ |
切合小屋のトイレ | トイレ工事中です |
幕営場は使用できません | 草履塚の登りは一部雪を踏む |
ウスユキソウ | |
草履塚に登ってくる登山者 | アマニュウ |
御前坂を見上げる | ムカゴトラノオ |
タカネツメクサ | |
休憩する登山者 | 大日岳が顔を見せた |
大日岳遠望 | 一ノ王子 |
本山小屋のトイレ | |
トイレ内部 | 飯豊山(三角点)に向かう |
今年はニッコウキスゲの当たり年 | 飯豊山から飯豊本山(神社)を望む |
イイデリンドウ | |
ダイグラ尾根 | 飯豊本山に戻る |
一ノ王子 | 御秘所 |
草履塚山頂のマルバダケブキ | 切合(分岐)から御坪への登山道 |
ルートが分からないようだ | 私は雪渓を横断した(ピッケル有) |
御沢を登り右の沢から上の雪渓に出た | この辺は刈り払いが不十分だ |
ここでも雪渓上を歩く | なんと水場が雪に埋もれていた |
コキンレイカ | |
下山してから五段山コースに出かけた | 五段山コースの吊り橋は無事であった |