登山者情報1033号 (投稿)

【2006年07月日/ダイグラ尾根〜梶川尾根/山田亘調査】

【7月30日】
 吊橋が落ちていても、ダイグラを登らないと、よその山域に行けない。一種の強迫観念かもしれないが、ダイグラ信仰みたいなものが自分にはある。それで02:30に起きて体重計に乗ったら、69.8s,体脂肪率21%と出た。これではダイグラは厳しい。でも天候的にはチャンスなので、ログ取得を毎39秒、20時間36分取れる設定にして、03:06新潟を出た。コンビニに寄り04:45頃天狗平。
 高橋会長さんに見送られ、05:00天狗平(420)。寝足りず、ブナ林を目を閉じて歩く。05:15温身平(450)から主稜線が見える。05:27砂防ダム(470)からダイグラ尾根下部が見える。ダム上の水流は7月8日より細い。ダムを過ぎると登路に流木が残り、豪雨の力を感じた。その先は思ったより荒れておらず、落合前のへつりもいい感じだった。
 05:38落合(470)、流れが早い。落合の下流も難しそうだ。吊り橋左岸の支柱は流され、ケーブルは下流に伸びている。水の力を思い知らされる。7月9日の渡渉点に移る。流れは速いが、重たさは、ない。パンツを脱いで靴をザックに入れ腰まで濡らして05:52渡渉終了(470)。(この渡渉はギリギリでお勧め出来ない。)ヤマは過ぎたと思って歩き出すが、この後のへつりが怖い。慣れてる人には普通だろうが、一上一下で滑ればドボンなので、精神的に疲れた。地形が厳しいのは、ログの乱れからも読み取れる。
 おにぎり食べて06:15吊り橋支柱発(470)。一登りで一塊の白い丸石、600m前後に岩の析出2カ所、いつもと同じだ。シャクナゲに覆われた岩を過ぎ、斜度緩み06:42ピーク(666)。どうもザックが重く、体が登路に馴染んでいない。太りすぎでパワーウェイトレシオが悪く、この先も頭で考えたより目的地まで時間がかかることが続く。07:08畳のような岩から尾根を桧山沢側に外れ(840)、尾根に戻ると07:22池の平の枯れ木(926)。種蒔の池の稲の穂は出ていない。前方の斜面に長坂清水の剥げた部分が見えるが、なかなか近づかない。
 07:39〜07:48長坂清水のナラの木(970)。気持ちいい場所だ。鳥が鳴いている。その先に倒木が2〜3本あり、おなじみの見通しがよい滑りやすい急登になる。いつもと違うのは、心拍数が上がると足が止まってしまうことだ。斜度緩み08:23やっと米栂の平(1170)、休場の峰が行く手にこんもり見える。目の前の斜面に近づき、最後の急登で08:54休場の峰(1320)。行く手は1969ピークまで見える。渡渉とへつりを除いても、ここまで3時間30分、昨秋より30分遅い。ここは日が照るので、少し先の日本庭園のような場所でクサイグラ尾根を見ながら09:08まで休む(1320)。桧山沢と清水松の上の沢の出合付近で、雪の上に人か熊か、黒い物がうごめいている。
 休み場の峰の緩く下る。この先一つ一つのピークが長く、頭で考えるより、ピークの数を多く感じる。1350ピークを登り返し、1368ピークの西を巻くと樹林帯の中、千本峰への登りになる。1350ピークの南か北で大又沢側を通り、ダイグラ特有の、へつり気味の足場の悪い道となる。今日は草被りしていて、一段と怖い。倒木を潜るときGPSの外部アンテナが木の枝にひっかかる。この後いくつかの箇所でログが途切れているが、このときケーブルを傷めたかもしれない。倒木を潜り09:57千本峰の標柱(1440)、日向に出て10:02千本峰(1450)、10:07千本峰の岩場(1430)に出ると稜線の前にガスが流れてきた。岩場の黄色い花を辿り、右前に降りる。
 この先、大又沢側に出ると足場が悪くなる。いつもは「これがダイグラらしさ」と思うが、今日は体重増できつい。ため息をつきながら歩く。わずかに残る雪の融雪水で一息つく。1490ピークの西を巻き1450鞍部を過ぎ10:51ダケカンバが登路に覆い被さるところで休憩(1480)。休場の峰からここまでいつもより9分遅い。この先も足場の悪い非情な登路が続く。登路の雪が消えているのは計算通りで、ピッケルを置いてきた自分は、ほっとした。11:53ピーク(1677)。12:15〜12:25宝珠山の肩(1730)に出るとガスの中ニッコウキスゲが咲いている。この先雪が心配なのでガスに目を凝らす。結局岩稜まで登路に雪はなかった。宝珠山の肩のすぐ先にヒメサユリも咲いていた。
 13:05宝珠山の岩稜(1830)。ここは晴れていれば全山から見下ろされるように素晴らしいところだ。丁度ガスが切れ、本山がちらりと見えた。ここまでゆとりがなく、つらかったが、このとき救われた気がした。この先も地形図通り大又沢側のアップダウンを三度やる。ここは自分のように太ってバランスが悪い人に堪える。14:04鞍部(1780)この前後GPSが切れた。崩壊地の登りに雪が見えたので緊張したが、夏道が右に付いていた。そこを登り、ヤブに入ると、いつもは登路を塞ぐ石がなくなっていた。1969ピークへの登りは、いつもなら休まず行くが、今日はトラバースの前で休んだ。14:34休んだところで、GPSが切れたのに気づき、スイッチを入れ直している(1860)。
 ガスの中ピークと標柱が見え15:38〜15:51本山(2105)でお参りする。最初は1969ピークまでしか見えなかったが、待つうちにガスが切れ、宝珠山や種蒔山、大日岳の上の方が見えた。またGPSの電源が切れ駒形山の先で入れ直す。
 崩壊地から玄山道に入り16:37玄山道の水場(1940)。こんこんと湧く水を4L詰める。鞍部付近はニッコウキスゲのお花畑になっていた。イイデリンドウも咲いていた。17:33御西小屋(1980)に小椋さんがいてビックリ。本山小屋にいるかと思った。清掃協力費2000円。水洗トイレは快適で一回100円払う。焼酎飲むかと言われたけど、疲れていたので、リンゴにかじりついた。シューマイとかキムチ炒めを食べて足をマッサージした。ここはもう少しちゃんと話すべきだった。
【07月31日】
 03:00起床、女の人が一人出て行った。04:22発(1980)、17:20分に新潟の事務所に戻る約束がある。右手にダイグラのシルエットを見ながら歩く。天狗岳を過ぎたところで04:42御来光。朝露でズボンが濡れる。05:12天狗の庭(1830)。05:48御手洗の池(1840)からえぐれた登路を降りていく。(天狗の庭から烏帽子への登りで雪が三カ所残っている。二カ所は草付きを通れる。一カ所は夏道に降りるとき注意だがもうすぐ消えると思う。)烏帽子への登りで、先週足の松で会った方とスライド(アイハラさんでないと思うが、頭が朦朧としていたので、もしそうだったらごめんなさい)。
 07:05烏帽子岳(2017)から雲に消える梶川尾根を見る。梅花皮岳の登りで関さんとスライド。道刈りご苦労様です。07:45梅花皮岳(2000)。その下りでイイデリンドウ。少し痛んでいたので撮らなかった。08:03治二の水(1850)で水を4L汲み、08:08〜08:38梅花皮小屋(1850)で冷やし中華にキムチ炒めを乗せて食べるウマイ。
 09:04北股岳(2024)結構早く登れた。山頂でちょうどガスに包まれた。この前まで鳥海が見えていた。今日は雪の筋までわかった。ギルダ原付近でイイデリンドウを撮る。色がうまく出なくて残念だ。10:03門内小屋(1870)。LTQさんが元気に働いていた。ビールをいただき、いい気持ちで下る。
 10:36扇の地神(1889)、梶川峰が雲に消えていく。11:21梶川峰標柱(1700)で初めて飯豊に来たという単独行と話す。とても楽しそうだ。11:42三本カンバ(1540)、そろそろ足が棒だ。12:13五郎清水(1370)でキムチ炒めとご飯を食べる。12:42滝見場(1145)。この先地形図と体のギャップが広がる。頭で思い描くように歩けない。13:23湯沢峰(1021)、そろそろ時間が気になる。14:00ナラの木曲がり(690)で飯豊山荘の屋根を見下ろす。あと一頑張りだ。14:33登山口(410)。飯豊山荘で風呂に入り15:06に出て、17:00前に事務所に入り打合せに間に合った。その夜の体重68.2s体脂肪率15%。遅くて恥ずかしいが、ダイグラを通れて良かった。

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