登山者情報1096号

【2007年07月07日/梅花皮沢登山道整備/井上邦彦調査】

 山開きに備えて梅花皮沢のルート整備を行おうとしたら、LFDから「手伝いは要らないか?」との嬉しいメール。早速、山岳会のメンバーに募集のメールを送ったところ数人から参加の連絡が届いた。
 前夜のアルコールが効いたのか、約束の時刻に若干遅れて天狗平着。メンバーは、HZU・LFD・ODD・NIY・山本の総勢5名である。ここで新しい「登山届出所」に対面する。設計図は見ていたが、予想以上の仕上がりである。
 登山道は公園管理員の舟山堅一さんがブッシュで刈り払っているので、若干の支障木等の除去で十分だ。
 梶川出合下流で左岸をへつろうと試みたが、片手に造林鎌を持っていては微妙なトラバースができず、諦めて登山道を登る。
 梶川に下ると、対岸で藪を漕いでいる登山者がおり、LFDが大声を上げている。道に迷って梶川右岸の踏み跡をそのまま登っているのだ。
 右岸に渡ってみると、なるほど小さな沢筋が道のようにも見え、何人もが入り込んでいる様子。道を刈り払って紐で沢筋を塞ぎ、赤ペンキで矢印をつけた。さらに徒渉しやすいように足場を作る。
 大岩の間を抜けて河岸段丘に登る途中の岩が昨年から落ちそうで落ちない。危険なので金テコで落とし、振られないようにロープの流れを変える。
 登山道に水が流れていたので調べてみると、草原の中で流れが塞がれたため登山道に流れ込んでいた。背の高いオオイタドリの中に潜り込んで流れを戻す。
 次は本命の赤滝である。昨年、VCK・EHJと3人で土砂を取り除いたが、急峻な岩肌を覆っている薄い土膜が少しずつ下がってきて、登山道を埋めかけている。
 土鍬で土砂を切り取り、手作業で登山道を掘り起こす。昨年よりも広くすることができたが、終了する頃には軍手の先に穴が開いていた。
 ロープを点検すると、ちぎれたものを誰かが応急処理したり、クローブヒッチの端で切れていたり、灌木に食い込んで締め付けているものなどがあり、改めて雪の力を思い知らされた。このようなロープでよく事故が起きなかったものと背筋が寒くなった。
 石転ビノ出合に着くと、合流点下流にかろうじて崩壊直前の雪渓が残っていた。梅花皮小屋のOTJによると、「双眼鏡で見ていると、その雪渓を平気で横断している登山者がいる」とのこと。知らないとは恐ろしいものである。
 門内沢は既に雪渓が落ちている。ここを徒渉して幸七尾根末端を進んで石転ビ沢に入り、再度徒渉して夏道に上がるのが、現時点では最も安全なルートである。対岸には徒渉を終えて川原で休憩しているパーティがいた。
 写真を撮りにきた民宿越後屋の本間さんと談笑していると、薄い雪渓に三脚を構えていた方がさらに先端に進もうとしたので、慌てて阻止し、脇から雪渓の様子を見てもらう。
 対岸のパーティの頭上には雪渓から切れて浮き上がった塊があり、記念写真撮影のために一人が塊の真下に入っていこうとしているのを見つけ、大声で阻止する。
 単独の登山者が靴を脱いで徒渉を試みる。食事をしながら見学していると、ルートを確認しながら無事に渡り終えた。
 梶川出合は故意に本流を渡り、流れを変えることができないか可能性を検討した。というのは、以前流れは右岸寄りであったが数年前に梶川から流れ出た土砂が右岸に堆積したため、流れが登山道のある合流点下流の左岸を直撃するようになった。そのため登山道は水没し、左岸を大きく高巻く登山道(増水時のために昔からあった)を整備したが、昨年春に崩壊が高巻き道に至ったので、昨年は一部をさらに高巻く道に変えた。それがこの春には、再び大きく崩壊した。このままでは連鎖反応的に崩壊が続くと考えられる。これを防ぐには、川の流れを元に戻すしかないが、果たして私達の力でそれが可能なのか・・・自信はないが、検討は必要である。再度、本流を渡って左岸を下る。ズボンはちょうど股間までずぶぬれになった。
 何気なく下っていると、岩の上で片足が滑った。下手に逆らうと捻挫をするので、素直に転落を選んだが、左手にむき身の造林鎌を持っていたのに気づいた。これを話したら大怪我をする可能性が高い。鎌が自分に向かないように留意して落下した。右手で灌木を掴んで止まった。落ちたのは2m位で簡単に戻れると思ったが、足下はオーバーハングになっている。
 右手と足に力を入れて這い上がろうとした瞬間、右足に違和感があった。しばらく気を落ち着かせてから、鎌を持ち上げてもらい、両手に力を込め、膝を使って登山道に戻った。ゆっくりであれば何とか歩けそうである。鎌を杖替わりにして下る。
 彦衛門ノ平の登山道は、いつも湿ってどろどろになっている。水の逃げ道を掘り、支障木を40cm程度に切り揃え、水流の邪魔にならないように敷き詰める。
 作業が終わると、山開きの時間が気になり始める。足を引きずりながら、明日の行程に思いを馳せる。明日は梶川尾根コースのリーダーを任されているが、この足では無理かもしれない。急遽、ODDに明日来てくれるように頼んで天狗平に向かった。

登山道の排水路を作る 所々に排水路を作る
梶川出合
登山道の途中に不安定な石がある 川底に落とす 赤滝の様子
昨年の整備跡 地滑りで溜まった土砂を掘り出す 手作業で土砂を除く
岩盤まで掘る 以前に整備した道が出てきた 整備後の状態
登山者が降りてきた 石転ビノ出合遠望 合流点下流の雪渓は既に渡れない
石転ビ沢は渡渉が必要だ 汚れた顔を洗う 門内沢も渡渉するしかない
登山者が渡渉しようとしていた ルートに悩む 渡渉したら雪渓を登る
石転ビ沢が晴れてきた 中ノ島(草付キ)が見えた 石転ビ沢の下部の雪渓は薄くなっている
不明 潅木に食い込んだトラロープ 誰が結んだのか、これでは危険だ
ロープがちぎれて外れそうだ 梶川の様子を確認し、本流を渡る 水流がある
左岸に移る 股下までの渡渉でした 湿地になった登山道を直す