【2008年01月19日/猿鼻山/井上邦彦調査】
山岳会の新年会は、山に登って喉を渇かしてから始めるのが恒例になっている。今年の新年会は、25周年記念誌出版祝賀会に変わったが、山に行くのは同じだ。 担当はAXL、目的地は猿鼻山である。QKGが山には登れないが送迎ならできると申し出てくれたので、ザックにアルコールをしのばせる事にした。
前日にAXLから予定を1時間遅らせて、07:00役場集合との連絡があった。朝起きて山道具を揃え、自宅周りの除雪に汗を流しているとQKGが迎えに来た。彼は連絡を受けていなかったらしい。1時間弱の除雪を終え、QKGに連絡するも電話は繋がらない。ザックを担ぎ徒歩で集合場所に向かう。役場でQKGの車に乗り込むが、数名が溢れたので、konchangの車も出してもらうこととした。
河原角公民館前で記念撮影、送迎役のQKGと迎えの時刻を確認して分かれる。08:00車道を若干戻り、カンジキを履いてワラビ園に行く林道に踏み出すと、いきなり膝を軽く越える深雪。先が思いやられたが人数が多いので何とかなるだろうと楽観。
早めに先頭を交替して進むが、林道から尾根の直登に移ると胸を越すラッセルとなった。ラッセルマンの指導でストック2本を横に持って雪壁を崩し、ストックを支点とした四輪駆動で登る。
AXLは珍しくスノーシューを履いていた。他のメンバーは形も大きさも各々異なるカンジキを使用。私はウサギ狩用の大型丸カンジキである。大きいので先頭を歩く時は便利だが、横幅があるので後ろになると、せっかくのトレースとサイズが合わずにはなはだ歩きにくい。
先頭に立ったメンバーが急登を避けて右から回り込むが、距離が長くなるだけである。潅木や立木をめざし、先頭を交替しながら登る。私の前のGPNが頑張るので私もそれなりに登らなければならない。このコースが始めてのNIYは地図とにらめっこしているが、何度も来ているので地図なしでも検討が着く。
雪崩や吹き溜まりを考えると尾根部を直登するのが番安全で効率的だ。AXLがラッセルマンの本領を発揮すると、konchangも負けじと速度を上げる。これにはセカンドを務めるmisimaも遅れ勝ちになる。
時折青空が見えると期待に胸が膨らむが、程なく雪が猛烈に落ちてくる。猿鼻山は姿を現さないが、尾根が延々と続いている。この分では登頂は厳しそうである。
09:51ようやくワラビ園の頂点になり主尾根と合流する。ここからは雑木林の中に入る。ラッセルはやや浅くなった。
暫く登ると先に誰かのトレースが見えた。この時期に登ってくる物好きがいる筈ない(自分達はどうなのだろうか?)、おそらくカモシカだろうと見当をつけて登ると、やはりV字形の蹄であった。
カモシカは巧みに深雪を避けて登っているが、浅雪の場所は下に堅雪があるので爪先を蹴りこむ必要がある。暫くカモシカのトレースを辿ったが、途中で右の尾根に移動したのでまた深雪に戻った。
携帯電話にメールが入った。「今朝、山形新聞に小国山岳会25周年誌発刊の記事が出たので電話が殺到している。どう対応すれば良いか?」とのこと。返事を書いて送ろうとするが、電波が不安定でどうにも送れない。無線でODDを呼び出し、有線で回答をしてくれるよう依頼する。
11:30にAXLから昼食会場設営の指示が出た。AXLとOBAKE・KEBが残り、他は12:00をタイムリミットとして山頂を目指すとのことである。
食材等の荷物を置いて登る。やがて正面に高い雪庇が立ち塞がった。先頭のAKIRAはストックで雪庇を壊すが、作業は難航している。ここは右から大きな尾根が合流するポイントである。MISIMAが右にトラバースして雪庇の小さな所から登ろうと試みる。
突破はMISIMAが先に成功、私もその後に続く。上に出るとAKIRAがもがきながら雪上に頭を見せた。
痩せ尾根になると左に大きな雪庇が出ている。以前ここで雪庇の亀裂に落ちたシーンが脳裏をかすめる。充分に気をつけてルートを取るように指示する。
痩せ尾根を過ぎると広い斜面に出た。時計を見るとちょうど12:00を指している。ここを本日の最高到達点と定め、記念撮影をする。
飛び跳ねるように、先ほどの昼食会場まで戻ってくると、ブルーシートの屋根を掛けた立派な会場が作られ、鍋の準備ができていた。早速私が持参した海鮮鍋を作る。熱々の汁が身体に沁みる。
AXLは断熱シートで包んだガスボンベの調子が悪く、作業が遅れている。鍋の蓋を開けてみるとようやく水泡が出始めたところだ。私はAXLの凍りついたガスボンベを鍋のお湯に漬けた。途端にストーブは大きな音を立て、ガスボンベの氷が融けて行く。ホースでコンロとボンベが繋がっている機種ならではの方法だ。(注:この方法はホースが裸火や熱くなった金属に触れると大事故になる可能性があります。状況をよく確認し細心の注意が必要です。基本的にはお勧めしません。)
運転をする方には申し訳ないが、ビールを出して喉を潤す。AXLのチゲ鍋も完成。MISIMAのザックから出てきた焼肉をコッフェルで炒める。
AXLのザックから出てきたヤラシャンポ土産の中国酒、玉木さんから頂いた日本酒・・・いい気分になり、鍋の汁にお握りを入れオジヤを作ろうとしたら、食器が足元に落ちた。無雪期ならば泣くところだろうが、ここは雪の上。雪ごと食器に入れてストーブにかけて事なきを得た。
楽しい一時を過ごし、下山を開始する。トレースは殆どそのまま残っていた。振り向くと尻セードが始まっていた。
14:12わらび園まで戻ってきた。広い雪原、スキーであれば滑降を楽しむところであるが、そうは行かない。途中でお決まりの「ポーズ」写真撮影を楽しむ。急な斜面になると、自然に尻セードとなる。わいわいと子供心に帰る。
河原角公民館で迎えの車を待つ。15:00過ぎにQKGが来てくれたが、当然ながら全員は乗れない。Konchangも既にアルコールが入っているので、QKGに頼んでピストンして貰うことにした。
QKGを待っている間、動いていないので寒さが身に沁みてくる。我慢できずに歩き始めたら、見計らったようにQKGが到着した。
その後、konchangは記念誌祝賀会に出席しHZU宅泊、翌日二人で車回収のため再び河原角に向かった。車が除雪の邪魔にならないようにと、一晩車庫に入れてくださった伊藤さん、労を厭わず送迎に徹してくれたQKG、ありがとうございました。
今回の参加者
AXL(ラッセルマン)、NIY、konchang、OBAKE、GPN・MISIMA、HZU、KEB、AKIRA=9名
今回のコース |
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河原角公民館に集合 | |
出発前の記念撮影 運転支援のQKGも一緒です | |
いきなりのラッセル | |
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降りしきる雪 | |
ストックを横に持って壁を崩す | |
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一歩が大変 | |
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急登を避けて右から回り込む | |
先頭を交替しながら登る | |
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GPNの力強いラッセル | |
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地図とにらめっこしながらルートを探る | |
直登が一番安全だ | |
ラッセルマンの本領発揮 | |
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青空が見えてきた、期待に胸が膨らむ・・・・が・・・ | |
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もうすぐわらび園の頂点だ | |
猿鼻山方面 | |
主尾根からは雑木林の中に入る | |
先に見えるのはカモシカのラッセル跡 | |
HZUのラッセル | |
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ラッセルマンのラッセル | |
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アタック隊の前に雪庇が立ちはだかった | |
アキラクンは雪庇に正面から挑む | |
強引に雪庇を乗り越える | |
この辺りは雪庇の崩壊が怖い | |
疲れた〜 | |
頑張れよ〜 | |
本日の最高到達点にて | |
デポ地まで戻ってくると熱々の鍋が待っていた | |
AXL(ラッセルマン)とNIY | |
konnchangとobakeさん | |
GPN・misima・HZU・KEB | |
こちらはチゲ鍋 | |
ヤラシャンポ土産をいただく | |
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こりゃ堪らないね〜 | |
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玉木さん、ありがとう | |
落としてしまったオジヤも雪の上なら平気 | |
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でました「荒ぶる鷹」 | |
振り返ると滑っている人がいる | |
ムシカリポーズ「祈り」 | |
ムシカリポーズ「お手上げ」 | |
帰りは道が出来ていた | |
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わらび園まで戻ってきました | |
さて、どうして遊ぼうか? | |
お決まりの「ポーズ」 | |
ポーズ「その2」 | |
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ポーズ「その3」 | |
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眼下には川原角集落 | |
ヤドリギ | |
足のない「OBAKE」です | |
思い思いにトレースを取る | |
尻セードが始まった | |
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わ〜! | |
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お腹ではありません、ザックです | |
身体を空中で回転させて | |
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ズボ!! | |
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ビュー! | |
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到着 | |
全員無事に下山しました | |
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1月22日 小国町中心部から望む猿鼻山 | |
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