登山者情報 第1138号
【2008年03月09日/高知山〜二王子岳/井上邦彦調査】
ECBから二王子岳で山スキーを楽しみたいと同行依頼があった。ノーマルコースでは面白くないと思い、以前に中尾根から登った時に見た高知山経由を提案した。地形図で確認すると南俣集落から周回コースがとれそうである。obake隊長とLTQさらにはLOMさんも同行してくれることになった。この時点でラッセルが予想されたので、1人スノーシューで参加すると言うobake隊長のペースが気掛かりであった。
蔵王仙人沢でAXLとアイスクライミングを楽しんできたECBが前夜我が家に泊まるが、自分の兼用靴では歩きにくかったというので、私の兼用靴を見せたら気に入ってこれで登るとのことであった。今思えばこれが全ての始まりだった。帰路の運転ははECBに期待し、私はザックにアルコール類を忍ばせたところ結構な重さになった。
05:00まだ暗い南俣集落に着くと、他のメンバーは既に到着していた。パッキングをしているうちに、車が何台も来る、これらの方々が皆高知山を目指すのだと聞いて驚いた。次第に明るくなっていく。雪の上に上がるとりっぱんとレースが出来ており、軽い凍み雪でスキーは殆ど潜らない。05:35出発。
平坦な林道を淡々と進む。ECBが遅れ始めた。兼用靴が思うようにならない。足首が曲げにくいのでスキーを引き摺らずに持ち上げて歩いている。後ろから数名の長靴パーティが来て追い越される。最後尾にはなんと粟(ヒメサユリ)さんがいた。
06:05林道右岸に移る。06:08正面に大きな砂防ダムがあり、林道は左に巻いている。ここで粟さん達はカンジキをつけた。06:19砂防ダムを通過する。06:55再び右岸に移る。途中で左岸に移ったのは気付かなかった。林道は杉林の中を延々と続く。トレースがしっかりしているのでスキーよりカンジキ組の方が快適な様子だ。LTQたちは遥か前方で見えない。ECBは苦労しながらも何とか進んでいる。07:16左岸に移る。
07:19林道脇に聳える2本の巨杉の根元に石のようなものが見えた。ここが山の神?と思っていると、3人が待っていてくれた。杉の裏側に登ると鳥居があった。いったん全員集合し、07:27再び歩き始める。
07:39LOMさんが「この辺りのどこからでも登れる」と言い出したので、私はそのまま杉林を登り始めた。obake隊長は小沢を挟んだ奥の尾根を登っている。杉林を抜けてジグザグに高度を稼いで行くと、眼下に平野部が見えた。この尾根にあるナラには殆ど無数の穴が開けられ無残に枯れている。キクイナガムシによるナラ枯れである。
左足のビンディングがうまくホルダーに掛からないので、よく見てみると、ビンディングが切断している。このまま無理をすれば完全に破断する。うまくすれば固定状態なら下降時に使えるかもしれないので、08:05ザックをスキーに着けてカンジキを履く。08:19左の尾根から来るトレースと合流する。潜ることはないが、縦に着けたスキーの先端が枝に触れて邪魔になる。中尾根を挟んで二王子岳のノーマルコースが見える。
08:21-37休憩を取ってお握りを頬張る。快晴のもと最高の気分だが、この先に不安がある。673m峰に立つと、五頭山塊が見えた。LOMだけがスキーで登る。トレースがしっかりしているので歩いた方が楽な感じである。
08:49-09:39小峰で休憩するが、スキーを背負い兼用靴に苦しむECBが大幅に遅れている。筆者がECBの後(最後尾)につくことにした。ここで波多野さんに追い抜かれる。彼はスノーシューで軽々と登って行った。金時石は気付かずに通り過ぎた。森林限界を越え、主稜に着くと素晴らしい展望、眼下には日本海が広がり、蒜場山が見えた。ここから先は山スキーにうってつけのコースである。ECBの速度アップを期待する。
10:48-57高知山々頂で皆が待っていてくれた。中尾根、ノーマルコースが見え、これから越えて行く峰々が延々と連なっている。殆ど灌木はなく雪原という感じだ。じりじりと太陽に焼かれそうな好天だ。
先ほど程ではないが、やはりECBが遅れる。二王子岳に尖ったものが見えたので、青春の鐘かと思ったが、雨量観測所のアンテナであった。右手には飯豊連峰の雄大な眺めが展開する。飯豊山と駒形山が三角に尖って見えた。烏帽子山の異形な姿も印象的である。黄砂の欠片もない純白の世界である。
12:35-13:56鞍部にてテーブルを作って大休憩とした。運転の心配がない私ひとりが大いにアルコールを楽しんでいると、二王子岳から下越山岳会の4人が下って来た。14:21ようやく中尾根と合流する。ここから三王子まではひと登りある。15:03登りきってノーマルコースと合流すると、二王子小屋が見え、目印のポールが出てきた。
15:20-15:57ようやく二王子岳山頂に到着する。青春の鐘はひとつの巨大なモンスター(雪の塊)となっていた。この前で様々なポーズを取って記念撮影をしていると、ECBも到着した。小屋の中に入り、食事を取る。小屋の中には今晩泊まるというパーティだけがいた。
さてシールを?してお楽しみの滑降が始まる。みな思い思いのシュプールを描く。筆者のスキーも踵を固定をしたら何とか行けそうだが、一人アルコールの量が多すぎたのか、ふらふらしながらの滑降。スノーシューのオバケ隊長と抜きつ抜かれつ下る。
16:36-49独標で皆が待っていてくれた。ひと息つけてLOMとLTQは一足先に下る。これより先は、時刻が不明である。大杉を通過し杉林に入る頃、既に二王子神社に到着、先に下っているとの無線連絡があった。次第に暗くなっていく。二王子神社から旧道を通り、太鼓橋を渡って車道に出る。車道を滑るが、途中で真っ暗になりライトを点ける。何とか南俣集落に着くと、LTQが待っていてくれた。
今回のコース(細い線は想像です) |
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林道歩き 粟さん達が追い越して行く |
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主稜が見えた |
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慣れない靴とスキーに苦しむECB |
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山の神にて |
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中尾根の向こうがノーマルコースだ |
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一王子の杉林が見える |
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尾根を登って行く |
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LTQの登ってきた |
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673m峰に立つと五頭山塊が広がる |
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五頭山塊 |
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LOMさんとオバケ隊長 |
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三王子が望める |
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途中で休憩 |
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HZUの壊れたビンディング |
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慣れない兼用靴に苦労しながらECBが登ってきた |
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ハタノしゃんに追い抜かれる |
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ようやく森林限界を越える |
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素晴らしい光景が待っていた |
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高知山々頂(1024m)にて |
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眼下には日本海が広がる |
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これから越えていく峰々 |
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蒜場山方面 |
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遠くの山並みも望めた |
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快適にひとつひとつの峰を越えていく |
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よっこいしょ |
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言葉にならない雪原を行く |
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日焼け止めとサングラスは必携だ |
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二本木山 |
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満足げなLOM |
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3人にて |
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蒜場山 |
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三王子のアンテナが見えた |
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飯豊連峰を眺めながら |
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スキーで下る |
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ECBと日本海 |
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LOMさんと北股岳 |
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北股岳と烏帽子岳 |
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尖っているのが飯豊山と駒形山 |
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烏帽子山 |
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蒜場山 |
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北股岳〜大日岳 |
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広〜い雪原 |
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まだ黄砂の影響はない |
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ピークを巻く |
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スキーの出番です |
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ECBも続く |
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登ってきた尾根 |
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疲れてきたECB |
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LOMは余裕しゃくしゃく |
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行く手を眺める |
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こんな素晴しい山歩きは久しぶり |
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遅れ気味ながらECBも到着 |
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ランチタイム、下山してきた下越山岳会の皆さん |
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