登山者情報1145号

【2008年05月06日/石転ビ沢〜梶川尾根〜湯沢/井上邦彦調査】

 昨夜は熊祭り(非公開)で二次会まで盛り上がり酩酊状態で帰宅。起床してアルコールを測ったら0.00、安心して山道具をかき集め自転車を積み込みコンビニ経由で小玉川に向かう。
 予定通り林道にはゲートが閉じられていたので、自転車に乗り、05:47大渕から出発する。途中は何回か自転車を押して進む。
 06:22-25天狗平登山届出所脇に自転車をデポして除雪された砂利道を歩きだす。残雪の上には薄萌黄色に纏ったブナ林が広がる。06:43温身平十字路を通過し、06:45雪の上になる。梅花皮小屋荷上げ品の重さが、昨日から痛めている腰に響く。
 06:53-07:03水場で休憩、下痢気味、腰は立っているのがやっとで、果たして上まで持つのか心配になってくる。07:05砂防ダムを通過すると、オオバキスミレ・カタクリが迎えてくれた。登山道が雪に押された灌木で塞がれ、這いつくばって通過するがピッケルが引っかかる。
 夏道通りに高巻きを始めると、この時期には珍しく下ツブテ石が全く出ていない。彦右衛門ノ平には上がらず、沢から雪渓に入り、左岸をへつることとした。今冬、彦右衛門ノ平で発生した乾雪表層雪崩の跡が生々しい。
 登山者6名パーティとスライドし、07:55梶川出合を通過する。5月の連休には何時も使用できる筈の、すぐ上流の水場は窪んでいるがまだ雪に埋まっている。爆風が沢の中心部を走り、両側に雪を置いて行ったのだろうか、面白い現象である。ともあれここで水の補給を行う予定の計算が狂う。この先の水場は危険なので近寄らないことにしている。
 08:20-32石転ビノ出合で休憩、喉はからから、空腹にもかかわらず食欲ゼロ、吐き気あり、お握りを僅かな水で流しこむが、それだけでは不足なのでウィダインを飲む。この後のことを考え、水筒に雪を入れる。
 再度歩き始めると北股沢出合に登山者4人パーティが見えた。なかなか動こうとしない所をみると、急傾斜の下降に手間取っているのかも知れない。ホン石転ビ沢出合下流で彼らとスライドする。
 09:24-36ホン石転ビ沢対岸枝沢は雪崩が出たばかり、見上げるとまだ落ちてきそうなブロックが幾つかある。何時ものように枝沢上流に回り込んで食事をしていると、予想通りに数個のブロックが落ちてきたが、落下コースは計算通りだ。休んでいると寒くなる。ここでピッケルを出す。
 10:14北股沢出合に到着すると、トレースが出てきた。数日前のもので全て右岸を巻くようについている。本流は黒滝付近に数本の亀裂が入っており、グリセードは注意が必要だ。
 10:20黒滝の藪の左側から、急斜面に取りつく。先ほど下って行った登山者のアイゼンの跡もある。数日前のトレースの上に新雪がかかり、旧雪は硬くなっており今回使用した軽登山靴の爪先が痛くなるので、トレースを外して自分でキックした方が安定する。力を入れないとピッケルが刺さらない所もある。本来なら北股沢出合でお握りを食べる所なのだが面倒なので登ってきたら、案の定バテバテになってきた。
 11:21-12:10何とか梅花皮小屋に到着する。すぐに管理棟に行って鍵を差し込む。大江さんがあらかじめ鍵を直してくれていたので、スムーズに入って荷物を降ろすことができた。本棟・管理棟共に雪はなく、前回はびくともしなかった冬期出入口も難なく開いた。水場も十分な水量が出ていた。トイレは冬季用1穴使用可、なくなっていたトイレットペーパーを補充する。管理棟外につけている寒暖計は-3℃を指している(最低-10℃)。管理棟でラーメンを食べ、缶ビールで喉を潤す。
 稜線は風があるので、カッパを着こんで梅花皮小屋を出発する。旧洗濯平分岐を過ぎると雪の斜面になる。この雪は山頂まで続いている。視界不良時の下降は山頂で磁石を合わせ、右の笹藪を目印にしながら慎重な行動が必要である。
 12:33雪のない北股岳山頂に立つと、烏帽子岳の後方に御西小屋が見えた。また杁差岳方面も視界が広がる。風があるので早々に通過する。荷物が軽いので腰バンドを外す。ストックが1本ずつ落ちていたので回収する。
 新潟県側の夏道は風が強いので、12:48鞍部の手前から雪庇に移る。風下側に入ると風は収まる。そのまま雪庇の上を進み、ギルダ池を過ぎて門内岳の登りにさしかかるが、ここの部分は夏道が雪に埋もれている。逆コースで視界ない時は祠のある門内岳山頂で方向を確認することが必要だ。
 13:17-21門内小屋、小屋群の周囲には雪がない。中に入って休憩を取る。夏道を下りきった鞍部に融雪水が流れていた。ミヤマキンバイだろう、若葉が散見できた。適当な所から雪庇に移り、そのまま13:41扇ノ地神に到着する。ここまで夏道は出ており、稜線の標柱も露出している。
 平坦な雪の上を進み、夏道になると14:09梶川峰に到着した。14:14トットバノ頭で再び夏道は消え、ストックを背負いピッケルを出す。ここはともするとすぐ左手のダケカンバの尾根に行きたくなるが、ルートはまっすぐ雪を下り、正面に1本出てくるダケカンバを目指し、右の藪との間を通りへつるように下って三本カンバに出る。三本カンバの部分だけ雪が消えていた。
 ここから雪の急斜面を下る。斜度もさることながら微妙な尾根が幾つか分かれており、さらに亀裂や藪が出ている部分が交錯している。登りならともかく、視界がない時の下降はかなり苦労するだろう。扇ノ地神から続いている単独者の新しいトレースがあり、彼のルート選択に感心する。
 左膝の痛みが顕著になる。どうも腰痛が左股関節を不自然にさせ、それが左膝にダメージを与えているらしい。このまま湯沢峰から夏道を下れば、かなり時間を要しそうだ。
 14:43滝見場の手前から湯沢に下る。この沢はこれまで何回か下っているが、下部の状態によっては高巻きを強いられるかも知れないが、今は何とかなりそうである。始めは快適に波乗りで標高を下げ、トットバノ沢の荒々しさを見上げながらブロックに注意して沢を下る。
 沢は広いが徐々に狭くなって来る、慎重にルートを選ぶ。15:06-20雪渓の末端のすぐ上で源泉の台地に上がる。まずはここで腹ごしらえとする。
 これからは温泉の管理道を歩くだけと思っていたら、15:26急斜面の残雪にピッケルを抜く。数箇所緊張する場所があった。ムラサキヤシオ・イワウチワ・オオバキスミレ・カタクリ・ムシカリの花々に包まれて、15:35砂防ダムに到着しここから車道となる。
 15:43-46登山届出所で自転車を回収し、快適に風を切って16:02大渕に帰着した。

今回のコース
温身平の新緑
温身平十文字から梅花皮岳を仰ぐ
数年前に乾雪表層雪崩でなぎ倒された樹木
登山道を塞ぐ灌木
下ツブテ石の上から見下ろす
乾雪表層雪崩の跡
地竹原にて
梶川出合すぐ上の水場は雪に埋まっていた
梶川出合上の雪崩跡
石転ビノ出合を望む
石転ビ沢全景
門内沢
石転ビノ出合から下流を見る
石転ビ沢
登山者が下山してきた
ホン石転ビ沢対岸枝沢の雪崩
下って行った登山者
ホン石転ビ沢出合から上部を仰ぐ
側壁
北股岳直下の岩尾根
北股沢出合にて
梅花皮小屋直下は雪をえぐったようになっていた
小屋直下から北股岳を仰ぐ
梅花皮小屋
梅花皮小屋の水場は豊富に出ていた
水場からみた梅花皮小屋と北股岳
大日岳遠望

続く ⇒