登山者情報 第1147号

【2008年05月17-17日/石転ビ沢/竹田通則調査】

【5月17日】
 8時天狗平の駐車場に着くと既に多くの車で埋っていた。本日上で合流するはずのKonchang Kenroku夫妻のグループは7時に出発するとの情報を受けており、急いでパッキングを済ませ出発しようとするとLTQの車がスーッと寄ってきた。小屋での宴会がこれは賑やかになりそうだ。もうすぐ健康診断なのに今年は結果がきっと悪いぞ!
 一足先に出発(8;30)し、ブナ林を歩き始める。新緑のブナの葉に光が差し込み筋を作っている。十文字を右に折れ堰堤に向かう道に入ると日陰場所にはまだ雪が残っていた。堰堤を過ぎまもなくすると今年の冬倒れたであろう樹齢かなりのブナの大木が道をふさぐように倒れていた。表層雪崩で上を刈り取られた林を過ぎいよいよアップダウンに差し掛かるのだが、今年はちょっと様子が違う。一回最初の駆け上がりを登り、ツブテ石のあたりで一度沢沿いに下りるとそこから雪渓が使えそううだ。というよりうまい水につながる夏道が雪で塞がっている。ツブテ石さえまだ雪の中、顔も出していない。5月でここから雪渓に下りたことがないのでやや不安だが雪渓の左岸を歩き始める。雪渓の中央部分は窪んでいるのでもうすぐ崩壊するだろう。今のところ(17日)は左岸に限り安定していた。右手上にうまい水のぶなの木を見ながら進み、彦衛ェ門平の先あたりを見上げると太い木々が谷に向かって折れている。大規模な雪崩でもあってその雪が渓を埋めた結果今の時期こんな下から雪渓が使えるのだろうか などと考えて足を進める。10時石転び出合い着。6人ほどでたむろっているグループあり。ブルーの上着、異様につぶらな瞳でこちらをじっと見ている女性が一人。まちがいないハイジさんだ。Konchangグループとここで合流。予定より遅れて天狗平を出発したらしい。それにしてもハイテンションだ!カメラをむけると全員が無意識にポーズをとる。筆者わざと「今日はポーズなしでお願いします」というと不自然なまでにぎこちない硬い表情。皆のその心の弱さ、マダマダだな!
 おにぎりを水で流し込み出発。雪渓を渡る冷たい風が気持ちいい。風を受けるたびに蒸し暑い時期の梶川尾根登りを思い出す。あの切なさに比べると天国だ。ところどころで石の落ちるカーンと甲高い音が聞こえ、極小規模ではあるがブロック雪崩はあちこちで起きている。北俣の出合い下の左岸の岩陵上で雪崩た雪塊が雪渓上に流れ込み「ラーク!」大声で下に向かって叫ぶ。リレーされたラクの警告は十分下まで届いているようであった。クラックは上部の方(黒滝から上)で右岸側に入っています。13時過ぎ全員小屋到着。小屋の水場は十分な水量です。小屋までの水場はまだ雪の中で使えません。ただしうまい水は通過していないので確認取れていません。雪は表面土や黄砂等で汚れているので水は登山前に十分に確保しておいた方が無難です。LTQ14時小屋着。これでメンツは揃った。到着して一服した後小屋番の作業に入る。水洗トイレを使用可にしようと取水口に向かってみたが雪に埋もれて作業できず、まだ水洗トイレは使用不可となっています。雑用を終えるといよいよアルコールを体内に流し込むという本日メインの訓練が始まった。この訓練風景はとてもネットで公開できるものではないので割愛しますがかなりの荒行です。筆者は8時で終了。強者のLTQ、Kenroku夫妻、ハイジさんは11時まで肝臓を鍛え続けたらしい。ちなみにハイジさんは最後には言語不明瞭、意味不明瞭になるまで訓練をし続けたらしいです。
【5月17日】
 6時前に目を覚ますと既に皆が顔をそろえており朝食か夕べの続きか分らない風景がそこにあった。だいたい朝なのに米を除いて酒の肴のような料理しかないじゃん!しかも頭痛を抑えるために芋で作った液体のバッファリン飲んでんじゃん!この人たち危険な登山者情報にきっと投稿される。私は以前カトマンズでこのように堕落したビザ切れ日本人を見たことがあります。そういう私も液体バッファリンのお湯割を5杯ほど。
 小屋の掃除を皆で済ませ10時半過ぎ出発。いきなりの急斜面。グリセードを楽しみにしてた数名はすぐさま斜面に吸い込まれていった。残った数名はちょっとだけ怪しげ。付き添って降りることにした。最大急斜面で全員揃い再出発。私も今度はグリセードで降りていると上で1人がスリップして転倒。ピッケルは持っているがもう一つの手でストックを持っていて滑落停止の姿勢をとらない。すぐさま走って下に入りピッケルを打ち込み衝撃に耐える姿勢をとる。しかし私のピッケルのシャフトにはじかれ、跳ね上がった体は私の右をすり抜けて行った。そのままスピードを増したまま滑落。高度で70Mくらいは落ちたであろうか、滑った距離は200Mはゆうに超えている。ピッケルを持っていても停止姿勢をとらないと、しかも正しい姿勢をとらないと!やはり訓練は必要です。下で止まるまでとても長く感じられた。あやしげなメンバーがもう1人。もう離れることはなかった。案の定途中でスリップ。今度は距離が短かったこともあり、止めることができた。本石転びの出合い付近で昨日までなかった中規模のブロック雪崩の跡があった。巨大な雪塊がだいぶ先まで散らかっている。土交じりの雪もどっさり堆積していた。
 12時石転びの出会い着。食事を取りながら小休止。やはりここまで降りてくると気温が上がる。皆で小屋を見上げ楽しかった夕べの事を誰となく語り始めると笑いが止まらない。本当に笑い通しの山行だった。後はなだらかに下る雪渓を渡り、堰堤下で一度休憩を取り天狗平に2時過ぎに全員無事到着。あー楽しかった!
看板越しに今日の宿
大木が道を塞ぐ
爆風で刈り取られた林
ポーズなしで
石転ビ沢上部から見下ろす
なだらかになって余裕
昨日はなかったブロック雪崩
ブロック雪崩で散らかった雪塊
帰りの石転ビノ出合で
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