登山者情報 第1156号

【2008年06月07-08日/石転ビ沢〜丸森尾根/平田健治調査】

 天狗平8時集合には、6時半に出ないと間に合わないが時間は既に過ぎている。昨夜は飲み会で遅くなりパッキングができなかったので、取敢えず必要と思われるものを無造作にザックに詰め込んで家を出た。15分後携帯が鳴り、食料の一部を詰め残したらしいが往復30分のロス時間を考えるともう戻れない。途中で不足分を買出して天狗平に着いた時には8時半を回っていたのだった。そこで待っているのは、大江山岳会の阿部さん。例年、5月下旬に開催される春山雪上訓練に参加して石転び沢を登っているが、他のコースは歩いたことがない。計画では丸森or梶川の尾根を登り、梅花皮小屋泊して石転び沢をゆっくりと下山する予定が、出発9時過ぎと遅くなったので逆コースを辿ることにした。
 ゲートから湯の沢を渡り温身平を30分程歩いて梅花皮沢の砂防ダムに着く。ダムからは水がカーテンのように流れ落ち真夏でも涼感一杯の場所、休憩したら階段を登ってダムの上に行く。ここから眺める景色を東北の上高地と以前は説明していたが、現在はダムの中の枯れた立木も少なくなって昔の面影が薄れて来た。この先、沢沿いの細い登山道を歩いて20分、下つぶて石から雪渓を行くこともできるが降口のスノーブリッジが薄くなっていやらしいので登山道を行くことにする。付近の登山道は埋め尽くした雪の崩壊が始まりルート選択に苦慮する所、今回は高巻きをして通過、水場に到着した。5人パーティーの先客が休憩中で、我々も清水(うまい水)で喉を潤し一休みして通称「婆まくれ」へと向かう。そこは急斜面のヘツリ道でバランスを崩せば谷底の川まで落ちることになり、ピッタリの名を付けたものだと通る度に感心する。登山道の一番低い場所から雪渓に下ることにしたが、雪渓の厚さが5〜6m以上もあるのだろう難無く降りることができ爺まくれにならずにホッとした。ここから小屋まではすべて雪の上を歩くことになる。
 11:30〜12:05石転ビノ出合で休憩。石転び沢を行く大勢の登山者が見える、30人以上いるだろうか、蟻のように見える。途中で15人位のパーティーが休んでいるのも見えるが、非常に危険な場所である。13:07ほん石転び沢通過。この沢にはまだ雪がびっしりと付いているので稜線付近の上部で発生した雪崩は岩石と共にスピードを上げながら落ちてくる。ここは先程のパーティーが休憩していた場所である。出合から60分、休憩を取りたい時間であるが数分我慢して左岸の安全な所まで登るようにしたい。この上流域の枝沢は全て同じ状況下にあり、その出合を通過する時は雪崩や落石を想定してルート選択して欲しい。北股沢出合を過ぎるとトレースが出てきて、雪の下にある黒滝から草付きに向かっているが皆危ないルートを登っている。今日は稜線にガスが掛かかり上部の状況が分からないので、黒滝の右側から草付きの右に見える大岩を盾にして登り、そこから草付きへトラバースすることにした。大岩の基部に着きピッケルでザックを固定、落石の心配もなく快適な休憩ができる。登山者をボケーっと眺めている時、梶川尾根を登っているODDのグループ4人はどの辺りか、ふと思い出す。天狗平を出発する頃は湯沢峰、出合で休憩している時はダケカンバのある峰に居たので、今頃は門内岳を通過して北股岳の登りだろうか。梶川峰〜扇の地紙〜北股岳の登山道からこの沢との無線は繋がり難く交信できないが、稜線上はガスって見晴らしも利かず黙々と歩くしかないだろう。
 ここからは北股岳と梅花皮岳の按部まで一登りで16:00梅花皮小屋着。
翌日はODDグループと共に丸森尾根を下山。
小屋の周辺は、ハクサンイチゲとミヤマキンバイが満開になり、ミネザクラがようやく咲き始めた。ギルダ原のお花畑も一面咲き乱れている。
登山道に雪があるのは、北股岳の登りと地紙北峰〜丸森峰間、水場は雪のため使用できない。

砂防ダム(慣らしCK)
出合から石転び沢
ホン石転び沢
ホン石転び沢対岸
石転び沢上流部
下山準備
北股岳の残雪
北股岳山頂
北股岳を下る
ギルダ原を門内岳に向かう
門内岳から北股岳を望む
扇ノ地紙手前の雪庇を行く
地神山と地神北峰
地神北峰へ向かう
丸森峰まで残雪を下る
丸森峰から地神北峰を振返る
ハクサンイチゲ
ミヤマキンバイ
オヤマノエンドウ
ミネザクラ
イワナシ
チズゴケ
シラネアオイ