登山者情報1,233号

【2009年04月30日-02日/小泉善哉/大日杉〜大日岳調査】

<第一日目>
 前日の役所への問い合わせでは休日のせいもあり、担当者不在のため確認が取れず 、「惣兵衛から先は歩くことになるかも知れない」とのこと。覚悟を決めて行ってみると幸運にも「通行止め」はされていなかった。情報にあった林道 の欠損箇所も車両の通行に支障を来たすほどのものではなかったが、切れ落ちた場所なので、今後修復の際には一時的な通行止めがなされる可能性もあり、確認 が必要。
 06;00大日杉小屋発。 06;27ザンゲ坂。残雪多く要注意。しばらくして人の気配で振り向くと猟銃を片手に熊撃ちの猟師(地元飯豊町)の 方が追いついて来た。猟の話を聞かせていただきながらしばしご一緒した。最短距離を汗をかかぬ様にとのルート取りは見事。07;11御田杉着。 08; 30滝切合着。 素晴らしい青空に飯豊山の勇姿が映える。山もうれしそうだ。地蔵岳へ上ろうとするも、先行した彼は前日と思われる山スキーのトレールを利 用してトラバースしている。それでは私もと巻いてみたが、途中2度ほど足を捕られバランスを崩しちょっと滑落しかけてしまった。軽装の彼はともかく、重荷 の登山者は、たとえ魅力的なトレール、トレースがあっても踏み込むべきではないと自戒。 
 09;08地蔵清水付近着。 10;06目洗清水着。いつしか彼 の姿が見えなくなった。その後、若雪に隠れた亀裂にはまること度々。前日のものと思われるトレースを有難く拾いながら、御沢に下り、切合尾根に取り付く。 ステップは深さ15〜20cmぐらいだが、さらに緩んで私が踏み込むと10cmもぐるといった状態。 12;07切合小屋着。小屋入口は完全に雪に埋まっ ており、2階の窓が出入り口。トイレは使用可。 14;03草履塚着。 若雪のためばかりでなく、麓に比べ、上は雪がいつもより多い感じだ。 15;55 飯豊本山小屋着。入口は雪のため使用できない。よって冬期用の2階の出入り口を使う。トイレは言うに及ばず雪だらけで使用不可。
<第二日目>
 03;50起床、食事。予報通り、素晴らしい好天になりそうだ。 05;20飯豊本山小屋発。いよいよ今回の目的、大日岳アタックだ。飯豊山頂を 通らず、玄山道よりやや上部を駒形山へ向けてトラバースする。駒形山を過ぎると一面の雪原になる。前日のものと思われるトレースは、見事なまでに、なんの ブレもなく最短距離で一直線で御西小屋を目指している。雪面は硬く歩き易かったので、ぶらぶらと写真を撮りながら行こうとしていた私は喝を入れられた。 「目的は何か?」 
 06;20御西小屋着。冬期出入口から乗り出して歯の手入れをしている人がいた。お名前を伺うと小国山岳会の横山さんであった。体調が 悪く計画を変更された由。しばらく話し込んでいると大日岳方向より男性の単独行の方到着。蒜場山からはるばる大日岳を越えて来られたとのこと。お疲れ様で す。豊栄出身の弘前大学山岳会X氏、彼に写真を撮ってもらう。私も気合を入れて、いざ大日岳へ向け出発。 
 07;55大日岳山頂着。直下の急斜面辺りから 身体が飛ばされそうな強風となり、「何でよりによって、こんな時、こんな場所で」とぼやくも、なんとか耐風姿勢を繰り返しこらえた。
 山頂からの眺めはもう 絶句であった。雪に被われた飯豊の山塊、その肢体のすべてを見渡す事ができた。すべてのことに感謝、感謝、感謝。 西大日岳方面へと目を遣ると先ほどの横 山さんとX氏のトレースが延々と続いており、私も、予定より早く着いたこともあり、強風の中、硬い雪面を、西大日岳へと向かった。 
 08;24 西大日岳 山頂着。ここまで足をのばしたのは何年振りだろう(10年振り?)。X氏が辿って来た薬師から蒜場へのトレースが目の前に続いている。けれど、気まぐれで 辿れるラインではない。「いつか、いつか」と呟きながら、山頂を後にする。 
 10;20 御西小屋着。風も収まってきたので、防風のための雨具を、小屋に 入って外す。御西小屋を発ち、少し夏道沿いに寄り、撮影のポイントを漁りながら戻る。 11;36 飯豊山頂着。小屋方面からの3人パーティとスライド。 川入からの入山、地蔵山に幕営、山頂ピストンとのこと。剣が峰はそんなに危険な状態ではなかったと言う。「危険」の度合いは人それぞれ。 11;55飯豊 本山小屋着。
<第三日目>
 04;00起床。食事。昨日より霞が濃いが好天のようだ。外に出て次第に明るくなる周囲の眺望に見とれながらときを忘れる。いよいよ下山しなけれ ばならない。05;55飯豊本山小屋発。草履塚の下りで三国小屋泊、飯豊山頂ピストンの埼玉単独男性とスライド。
 07;20切合小屋着。なんとひょっこり 2階の窓からリョウさんが顔を出す。緑化ネットの荷上げで大活躍した飯豊フリークだ。彼も下山するとのことで、準備を待って一緒に下ることにする。写真を 撮りながら、四方山話に花を咲かせながらの楽しい下山となった。 09;50地蔵清水付近着。大休憩。単独男性とスライド。 11;25御田杉着。途中福 島8(+1)名パーティとスライド。 12;15大日杉小屋着。
 この時期の飯豊山行には冬山装備一式が常識だが、今まで、経験上、ワカンは所持品からは外して来た。今回、地蔵岳ー切合小屋間の若雪対策に初め て、携行したが、結果としてもぐる所が結構多くあったものの全体を通してのものではなく、また幸運にも先行者のトレース助けられたこともあり、使用しな かった。

飯豊山が見えた(滝切合手前にて)
飯豊山(地蔵清水付近より)
種蒔山と草履塚
こらから辿る稜線
御沢と切合尾根
御鏡雪田(草履塚より)
大日岳(飯豊本山小屋付近より)
飯豊山(飯豊本山小屋付近より)
飯豊山(御西岳手前より)
御西小屋と大日岳
御西小屋にて筆者、冬期出入口に小国山岳会の横山さん
御西岳と飯豊山(大日岳山頂部より)
北股岳への稜線(大日岳山頂部より)
大日岳山頂
西大日岳を望む
西大日岳山頂
西大日岳山頂より大日岳を望む
牛首山
大日岳直下の急斜面
牛首山
大日岳(文平の池より)
駒形山付近より北方を望む
飯豊山頂
飯豊本山小屋とトイレ
草履塚下りより種蒔山
切合小屋(?窓に見覚えのある人が)
緑化ネット荷上げに大活躍したリョウさんでした