登山者情報1,238号

【2009年05月09日/県境(ナガサキ沢-シラブ峰-烏帽子岩-柳生戸街道)/井上邦彦調査】

 三面に向かう道の途中から荒沢集落に入り、そのまま砂利道を進むと樋ノ沢川砂防ダムの上に出る。ちょうど北俣沢と樋ノ沢川の合流点である。河原に大きな駐車場があるので、ここに車を止める。
 05:38ムラサキヤシオやユキツバキに見送られ駐車場を出発する。広い河原を進み右岸の歩道に上がると、すぐに鉄の橋を渡って左岸のわらび野となる。山焼きで真っ黒になった表土から一面に蕨が顔をもたげ始めていた。この道は登山者情報第1128号で途中までトレースしている旧越後街道(柳生戸街道)である。
 05:47わらび野を抜けて大未滝沢から山道に入る。05:51街道は川沿いに左岸を進むのだが、どうせ濡れる覚悟である。地下足袋のままバシャバシャと川を横断し、そのまま幾度も膝下の渡渉を繰り返して遡って行く。06:33m322mで廊下状になるが問題なくそのまま通過できた。
 06:45-07:01川の二俣で食事を摂る。ここがシラブ沢とナガサキ沢の合流点だろう。予定どおり左のナガサキ沢に入って行く。この先は水量が半減し、時折雪橋が出てくる。山菜採りだろう、地下足袋の足跡が複数残っていた。
 07:19右岸より二つ連続して沢が入る。写真を失念したが下流の沢は見事な滝になっていた。07:27にも右岸から沢が入る。07:36、486mで二俣となる左の沢の水量がやや多いが、コンパスで見当をつけ右の沢に入る。
 07:43沢は完全に雪で覆われたので、07:51左岸の僅かな水を空の水筒に汲む。この後、水は何処にもなかった。沢が尽きた所で正面の尾根に取り着き、07:57尾根に上がる。結局ここまで滝や高巻きは全くなかった。
 藪を分けて、08:09女川源頭である五ノ又沢との分水尾根に出る。ここは第1207号で下降に使った尾根である。柴を掴んで登るが、左斜面に数個所雪が残っており利用することができた。08:52県境に出る。そのまま藪を漕いで前回の到達点まで進む。
 09:02-17シラブ峰で展望を楽しみながら食事を摂る。ここから先は未知の世界である。09:29鞍部に下ると二重稜線のようになり残雪があった。さっそく雪に上がって水筒に雪を入れる。09:34、940m峰まで残雪を歩けた。正面には鷲ヶ巣山、振り向けば飯豊連峰が浮かんでいる。晴天が続いているせいですっきりはしないいが、それは贅沢というものだろう。
 矮化ブナ林は一面にイワウチワの花が敷き詰められ、獣道が伸びている。不思議と鉈の跡もない。殆ど人が入っていないのだろう。935m峰で左に大きな尾根を分ける。関川村と村上市の境である。空腹になったので10:30-41食事を摂る。
 稜線の西側を進み、確認のため戻るように10:54峰まで登る。藪の中で視界が良くないが、大きく尾根が二つに分かれており、どこが県境主稜なのか漠然としていて分からない。左の尾根は新潟県側に落ち込んでいるような気がしたので、右に下りGPSで確認してみる。C60は細かすぎて眼鏡を掛けないと読み取れない。1/50,000のレジェンドの方がよほど使い心地は良かった。左の尾根が正解と判断し、11:05戻ることにする。どうも1時間毎に空腹になるようだ。11:34-5食事を取る。
 861m峰を過ぎ、前方を見て唖然とする。主稜の痩せ方が凄まじい。ルートを失った時に見た岩塔がコースらしい。12:00までに旧街道を通過できれば、今日中に鷹ノ巣山手前まで行くつもりであったが、時刻とルートを見て断念する。
 両側が切れ落ちた藪稜を進む。下手に灌木の跳ね返りでバランスを崩してはたまらない。何故かやたらと枯れた灌木が多く、神経を使う。12:21峰を越すとまた次の峰が現れてくる。
 ついに13:08-22烏帽子岩に到着する。ここで最高の展望を楽しみながら食事とする。ここまで鉈目は一切なかった。過去においては狩猟をしたと思うのだが、痕跡はない。唯一、銀色の布きれがあっただけである。
 地形図によれば県境はここから尾根と言うより斜面を真東に落ちている。コンパスを合わせて藪を掴んで下降する。何度か騙されそうになるが、13:40-45無事に街道跡に到着する。
 さすがに牛が行き来したという街道であり、しっかりとした道幅である。道脇に「塩の道、県境」と書かれた木片が置かれていた。古い地図から写して持参した地図では592m峰の東(越後滝又沢右岸)をへつっていたが、実際は592m峰の西にあるヨケ沢右俣であった。1123号でも旧街道のルート取りに疑問を持ち、それが原因の一つで引き返したが、これで疑問が解消した。
 14:05からヨケ沢を右岸左岸と目まぐるしく往来する。崩壊して道形がなくなって行いる所もある。14:15右岸の岩場に取りつく。前回はロープが設置されていた所だ。その後のトラバースも目の眩むような谷底なのに道に土砂が堆積しており慎重に進む。
 14:21立岩沢には雪橋があった。ここからはブナ林の急斜面をジグザグに登り詰め、14:38樋ノ峠に到着する。あとは旧街道を下るだけである。15:01-11空腹を覚え食事を摂る。ちょうどよい日陰であり、横になるとそのまま眠ってしまいそうだ。
 15:40駐車場に到着すると、地元の方がわらび園開設準備のため、ブルトーザーで駐車場を整備していた。山の世間話をして帰路に着いた。

今回のコース
駐車場から広い河原を歩きだす
本流に架かる鉄の橋
わらび野
渡渉を繰り返し上流に向かう
淵から瀬にかわる所が渡渉に適しています
シラブ沢とナガサキ沢の合流点
雪が出てきました
狭い部分もあるが問題なく通過できた
ナガサキ沢源頭、ここから尾根に取りついた
眼下はシラブ沢とナガサキ沢
この尾根を登る
940m峰
登ってきた尾根を見下ろす
940m峰
県境に出て、藪の中を北上する
シラブ峰961m、前回到達地点である
女川を見下ろす
南の県境、蕨峠・テンモド岩 後ろには飯豊連峰が浮かんでいる
獣道
雪を踏んで940m峰に登る
940m峰からシラブ峰を振り返る
行く手に鷲ヶ巣山が見えた
県境の西側斜面、わい化したブナ林
940m峰を振り返る
東斜面の残雪は既に使えない
尾根と尾根がどのように繋がっているのか・・・難しい
遥かに続く県境に、現在地が分からなくなってきた
鷲ヶ巣山が近づいてくる
894m峰にて振り返る、ここから東(左)の尾根を下ってしまった
快適なブナ林
まさか、あの突起を越えるのだろうか?
嫌らしそうだ
ブナ林の林床にも藪
行けども行けども進まない
振り返る
目指す烏帽子岩の上に鷲ヶ巣山と鷹ノ巣山が覆いかぶさる
猛烈な藪
ムラサキヤシオが慰めてくれる慰めてくれる
朝日連峰
徐々に烏帽子岩に近づく
これが烏帽子岩山頂である

続く⇒