登山者情報1,250号

【2009年06月13-14日/石転ビ沢〜梶川尾根/井上邦彦調査】

今回のコース
視界がないため、石転ビ沢上部で迷走?

 雨マークが晴れマークに変わり喜んでいたら、当日朝になって雨マークに戻った。わけのわからない予報である。
 今回はECBグループ5名、EHJグループ3名、これに水道工事のために筆者が加わって、全員で9名の大所帯である。食料計画は彼らに任せていたので、何を持てば良いかと尋ねたら、ECBから缶ビール1箱を渡された。
 08:35天狗平を出発。08:52温身平十文字通過、山腹は見えるが稜線は見えない。09:02砂防ダムから山道に入り、09:25-37うまい水で最初の休憩を取る。
 まずまずのペースで進み、1パーティを抜かせていただいたものの、次のパーティが大人数で、渋滞状態となる。少しずつ前に出て、最後は彼らが梶川出合で巻き道に入ったのを幸いと、河床沿いに進んで先頭に立つ。10:14梶川出合を通過する。
 雨がパラついて来たので山を見るとこれはやばそうである。10:20-23カッパを着る。途端に強い雨が降ってきた。そのまま赤滝を通り、石転ビノ出合が見える所まで来ると止んできた。
 夏道から雪渓に上がる所は、小沢による融雪があり、踏み抜かないようにルートを作る。予想はしていたが5月31日に使用した水場は涸れていたので、10:59-11:13石転ビ沢右岸の岩が露出した所で休み、小沢で水を補給する。
 先ほどのパーティは本間さん達とのこと、声を掛けていただく。今日は出合に幕営し、明日入り門内沢に入るとのことであった。
 ECBパーティは雪渓が始めて(うち1名は登山初体験)とのこと。なお男性二人は昨年9月末(1,196号)に同行している。ピッケルの持ち方と雪渓の基本的な歩き方を説明し、出発。EHJグループはのんびりと出発。
 雪渓の真ん中で下を向いて休んでいるパーティがいたので、声を掛ける。12:05-21ホン石転ビ沢出合上の左岸で2回目の休憩とし、アイゼンを装着。岩の当たる音がしたので確認すると、下流のようだ。EHJパーティと、もう1組の登山者がいる筈だ。「ら〜く」と大声で何度か叫んでいると、右岸から石が飛び落ちて行く様が視認できた。幸い誰にも当たらなかったようだ。
 ホン石転ビ沢はまだ雪渓が続いており、落石の可能性がある。左岸の枝沢は雪が切れ始めたので、比較的安全だろう。ここでアイゼンを履いた時の歩き方と、滑落した時にはうつ伏せになることと、ピッケルのピックを雪面に刺すことを説明する。
 中ノ島(草付キ)付近から上部はガスの中であるが、雨は完全に止んだようである。上部からの落石に注意を払いながら、ECBグループの写真撮影。
 北股沢出合が近くなってきた時、北股沢出合の尾根と黒滝左岸の尾根の間を登っている2名の登山者を見つけた。大声で間違いを指摘するが、今度は中ノ島(草付キ)を探している登山者がうろうろしている。誰に向かって叫んでいるのか分かるように「藪を登っている人」と指定して叫ぶ。そのうちに、気づいたのか尾根を越えて左の雪面に出たことを確認して安心した。13:02-12北股沢出合尾根の末端で休憩を取る。
 この先は落石が来ても見えない、始めに黒滝(全ての落石はここに集中する)を左岸から越え、一気に中ノ島(草付キ)まで斜上する。中ノ島(草付キ)は予想よりも露出していた。13:34右側から回り込んで登山道に上がり、そのまま若干進んでアイゼンを外し手に持った状態で中ノ島(草付キ)の登山道を登る。草が伸びていない場所は北股岳方向から飛んできた落石が登山道を直撃することもあるから油断はできない。
 13:44-50中ノ島(草付キ)上端手前でアイゼンを着け(最上端は落石コース)、左に斜上する。視界がない急斜面である。男性2名を先頭、次にECB、そして女性2名、最後に筆者の順で登り、滑落したら止めることのできる範囲で行動してもらった。
 後ろから方向の指示を出すが、どうしても一定方向でないため、頭が混乱してくる。そのうちに左側に藪尾根が出てきた。ここは右側から通過し、念のため尾根の最上部を覘いたが、登山道はないので草付きの台地ではない。記憶によると、やや梅花皮岳寄りに藪尾根があり、そこから右斜上すると小屋前に出た筈である。僅かに右を意識して登ると傾斜が緩くなってきた。私達の左を登っていたパーティから「小屋だ」という声が聞こえた。結局私達は小屋の真下ではなく、小屋から10m程度右に上がったことになる。
 14:25梅花皮小屋に到着。管理棟の鍵を開け、諸作業をECBとEHJに頼み、私は一人で水道工事に取り掛かった。小屋脇のマンホールを開けようとしていると、雨が降り始め、小屋の屋根から落ちる水の直撃を受ける。
 先ずは水場の先の水抜きを開けると、勢いよく水が噴き出した。また第一の水源地の栓を開けて、ここも問題がないことを確認する。その上でホースに耳を当てて何処まで水が来ているのか探る。前日にOTJから得た情報のとおりに、ホースが小さな丘を越える部分がネックのようである。鉄筋を引き抜きパイプの移動を試みるが、これもOTJの情報通りに長さが不足して動かない。
 そこでレンチを持ち出して小屋の近くのジョイントを外し、丘の上のジョイントを外すが、水は欠片も流れない。半分諦めかけて藪を漕いでいる内に、水抜き栓をつけたT字型の連結ジョイントから水が噴き出しているのを発見した。直ちにここをレンチで締めつける。丘に戻り待つこと暫し、水がホースから出てきた。早速丘のジョイントを組み立て、小屋近くで待っていると、ここにも水が流れてきた。これを組み立て、小屋脇のマンホールを開けると、確かにメーターが動き始めた。
 水抜き栓を閉めて、マンホールを元に戻し、管理棟に戻ると缶ビールが差し出された。ありがたく一息に飲み干す。受水槽室を開けて耳を澄ますと、水が流れる音が聞こえた。ODDに電話を掛け、対応の指示を仰ぐ。とりあえず水が溜まるのを待つだけである。管理棟でカッパを脱ぎ濡れた身体をアルコールと鴨鍋で温める。
 頃合いを見計らって、水洗トイレの鍵を開ける。これで今日の仕事は完了である。本当は動かしたホースと鉄筋を元に戻したいが、それは次に機会とした。
 翌朝、明るくなったので起床するが、本棟に泊まったメンバーが起きてこない。仕方なく?EHJと缶ビールに手が伸びた。
 09:10梅花皮小屋発。雨風はないが、残念ながら視界もない。先週と違って山頂までの夏道が露出していた。
 09:30-37北股岳山頂、視界20m。ミネザクラ・ヒメイチゲ・ミツバオウレンが咲いていた。ギルダ原近くなって、ガスが動き始め、視界が広がり始めた。
 一面ハクサンイチゲの群落!ミヤマキンバイ群落はやや早目。満喫しながら10:32-48門内小屋にて休憩。
 門内小屋を出発すると、二ツ峰が姿を現してきた。自然とシャッターをきる回数が増える。
 11:12扇ノ地紙を通過、稜線以外は雪に覆われていた。ミツバオウレン・イワカガミ・シラネアオイが咲いている。緑化ネット施工箇所はまだ雪に覆われていたが、端では苔類?が確認できた。昨秋の施工跡も順調である。
 11:30ケルンではハクサンイチゲは終わりかけである。ここからの下りが一番の注目である。深く掘れた箇所は思い通りに土砂が堆積していた。ただ1箇所だけ、土嚢の脇に水道ができていた。
 11:42-12:02梶川峰で腹ごしらえをする。ミツバオウレン・イワウチワが咲いている。若干下るとトットバノカッチ(頭)である。視界のない時はルートに苦労するところだが、今日は問題ない。ただ両側に滑落しないように下で見守りとする。
 夏道をあるいて12:19三本カンバを通過する。ミヤマカタバミ・オオイワカガミ・ノウゴウイチゴが咲いている。まもなく雪道となり、夏道を下って12:40五郎清水を通過する。五郎清水の広場と標柱は雪に埋もれており、そのまま登山道も雪の下。唯一水場に行く道だけ露出しているので、知らないと登山道と勘違いして水場に下る可能性が高い。マンサク・カタクリ・ノウゴウイチゴ・シラネアオイが咲いている。再度雪道となるが、左に落ちると怖い。慎重に夏道を探しながら下ることになる。
 ブナ樹の脇を抜けると、また雪道である。夏道にはサンカヨウ・ムシカリ・オオバクロモジ・ムラサキヤシオ・タムシバが咲いている。僅かに雪を踏んで、13:24-39滝見場で休憩を取る。
 この後はサラサドウダンが見事であるが、ヤマツツジ・ウゴツクバネウツギ・ガクウラジロヨウラクも咲いている。少し残雪があるがここは問題ない。
 登り返して12:10-20湯沢峰で休憩、汗が出てきた。湯沢峰の肩からは梶川尾根特有の急な下りが連続する。15:03ナラノキ曲リを通過し、15:45天狗平に到着した。

準備ができました いざ出発です
うまい水で休憩
ババマクレを慎重に通ります
梶川出合いは河床をへつりました
突然の雨 カッパを着て赤滝を登ります
石転ビノ出合が見えました先客がいるようです
夏道から雪渓に上がります
石転ビノ出合!
右岸の水場近くで休憩
出合を見下ろす
雪渓を登ります
先行パーティ
ホン石転ビ沢対岸の枝沢
ホン石転ビ沢 まだ落石がありそうです
もう少しで休憩だよ〜
力を振り絞って登ります
とりあえず ここまで登ってくださ〜い
疲れた〜 ここで休憩しアイゼンを履きました
傾斜がきつくなってきます
アイゼンを雪渓に喰い込ませて
二人が先行します
その後にお二人が続きます
余裕のポーズ
まだ大丈夫よ
ECBがしんがり
一歩一歩
もうすぐ北股沢出合
ルートを外れて登っている方を発見 大声で合図をおくりました
北股沢出合で休憩し、足ごしらえをチェック
いよいよ正念場です
中ノ島(草付キ)が見えてきました
無事に梅花皮小屋到着です
今回のメンバー
ECB SSさん
TYさん SUさん
TSさん AOさん
YSさん EHJ

続く⇒