登山者情報1,270号

【2009年08月01-02日/石転ビ沢〜丸森/木内茂雄調査】

【タイム】
(8/1)飯豊山荘6:37〜6:54温見平〜7:04砂防ダム〜7:36ウマイ水清水7:40〜8:46梶川出合〜9:13赤滝〜9:30門内沢出合〜11:00本石転び沢出合〜12:06黒滝12:46〜14:15梅花皮小屋
(8/2)梅花皮小屋6:38〜7;22北股岳〜8:07門内岳8:25〜8:40胎内山〜8:47扇ノ地紙〜9:17地神山9:27〜9:42地神北峰〜10:05丸森峰〜10:47夫婦清水10:55〜11:49飯豊山荘
【記 録】
(8/1)
 梅雨がなかなか明けない状況で、今日はまず持ちそうだと、温見平経由で梅花皮小屋を目指す。小屋番のOTJに最高のすき焼きをと食材も豊富に4人前程度担ぐ。ゲートの立ち番の顧問から、石転び沢には一人しか入ってないと情報を聞き歩き出す。誰もいないブナ林を咳払いしながら歩く。途中、エゾアジサイ、そして梶川出合まで、キツリフネ、タニジャコウソウ、ヒヨドリソウ、リョウブ程度しか咲いていない。
 梶川出合は、7月の山開きの時、左岸に沿って歩けたが、今回は梶川直前2mで水深5,60cmを徒渉しなければ行けなくなっている。仕方無く本流右岸に渡ってから、梶川の上で本流左岸に渡ろうと、飛び石を探したが無い。冷たい水に足を浸けるのはいやなので、引き返し、高巻きの道へと戻る。急がば回れの意味を痛感させられる。
 そして、巻道から梶川に降りて難なく渡る。それから、赤滝に行くまでにモミジカラマツ、トリカブト、オトギリソウ、足元の崖下に1本ギボウシを見つけたに過ぎない。その先慣れた道を進むと、これまた、山開きの時と違い道が見えなくなるほど、タデと雑草が成長している。感心しながら、門内沢出合に着く。例年の如く簡単に渡れると思いきや、意外とルート選択に時間がかかる。漸く1か所に絞り、万が一は足を水に浸けるだろうと、覚悟して飛び石伝いに渡る。柄の長いピッケルを持ってきていたので、これを杖にして簡単に渡れてしまった。
 そして、左の石転び沢の左岸を少し進むと、黄色鮮やかなミヤマガラシが一株咲いている。この辺りで梅花皮小屋のOTJと交信すると、そのまま、左岸を登り、雪渓に上がれると思うと言われる。しかし、例年は右岸に渡るので、わざわざ右岸に渡り夏道を暫く登り、雪渓に上がる。でも、OTJの言った通りの方が楽に登れる。(たまに、頑固がまずい)
 あとは、霧が行き交う雪渓を単調に黙々と登る。まだか、まだか、と思う黒滝に漸く着き、此処で何時もの如くプッシュの音を聞く。今回はつらくても“山は何故登るか?”は考えず、答えはこれが有るからと言える。そして、何時もとは違い40分も休んでしまう。OTJと交信して、登り始めると黒滝の直ぐ上でハクサンコザクラに出会える。今まで此処に咲くとは知らず、また、新しい出合に巡り合えた事に感謝する。そして草つきの斜面になるとお花畑が始まる。目立つのはシナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、イブキトラノオ、イワオウギ、シロバナクモマニガナ、ヤマハハコ、アザミ、地味なハクサンボウフウ、更にはノウゴウイチゴの実で一呼吸する。そして、梅花皮小屋近くになるとオタカラコウ、ハクサンコザクラに出会える。そして、小屋から見えるところになると、OTJから掛け声が飛んでくる。
 梅花皮小屋は客が少ないが顔見知りのY氏とS氏との4人で食事が始まり、それから、間もなく若い女性が二人加わり、楽しい一夜となる。
(8/2)
 夜中12時頃起きて空を見ると、満天の星であすの好天を期待させる。そして、夜が明けると、北股岳は金緑色輝く、後ろを見れば大日岳が大きく肩を張っている。唯、朝日連峰が雲でボンヤリとしていて、御西岳方面は見えない。
 朝食を済ませ、出かける頃は時々霧が出たりする。小屋の周りはタカネマツムシソウが咲き始め、北股岳を登り始めるとイブキトラノオ、ハクサンフウロ、クルマユリ、ママコナ、コゴメグサ、チシマギキョウ、トモエシオガマ、ミヤマコウゾリナ、ミヤマリンドウ、イイデリンドウ、ハクサンシャジン(白も)、そして、終わりかけのヨツバシオガマ、タカネナデシコ、ニッコウキスゲ等で足が止まる。山頂近くなるといつもの所に、ウメバチソウが咲き始めている。休まず北股岳を下って行くと、ハクサンシャクナゲが咲いている。
 更に、ギルダ原になると、タカネマツムシソウ、ミヤマアキノキリンソウ、終わりかけのニッコウキスゲ等で、トリカブトはまだ咲いていない。その先、門内小屋を過ぎると見事なクルマユリが道端に咲いている、そして、扇ノ地紙手前で右の下道を行くと右下斜面にヒメサユリが1本咲いているのと、チングルマが種の髭をなびかせている。その先ではコキンレイカ、タテヤマウツボグサ、数多くイイデリンドウを見掛ける。
 地神北峰では昨夜の若い女性二人と別れ、追い着いたY氏とS氏とで、丸森尾根を下る。直ぐに右斜面にはコバイケイソウ、チングルマ、アオノツガザクラ、ミヤマキンポウゲが今は遅しと咲いている。そして、丸森峰からは樹林帯に入り、下るに従い、体は熱くなる。夫婦清水で水に触れてみると、意外にもまだ冷たいので、ハンカチを濡らし、頭に載せて、再び下る。そのハンカチも飯豊山荘に着く頃は湯気が吹きそうな気がした。
【追記】
 最近、梅花皮荘近くにホーマーのアンテナが立ち、周辺の通話可能範囲が広がった。石転び沢では本石転び出合辺りから可能、稜線では、梅花皮小屋から北股岳下りまでは可能、ギルダ原辺り不可能箇所有り、その先、稜線上は概ね可能、丸森尾根下り可能、夫婦清水の標識周辺は不可、少し下ると、可能。そして、飯豊山荘の屋根が見え少し下ると不可となる。

エゾアジサイ
キツリフネ
リョウブ
ソバナ
梶川出合
タニジャコウソウ
トリカブト
モミジカラマツ
ミヤマガラシ
黒滝上にてハクサンコザクラ
シモツケ
ヤマハハコ
イワオウギ
シロバナクモマニガナ
梅花皮小屋手前にてハクサンコザクラ
霧にむせぶオタカラコウ
漸く見えた梅花皮小屋
霧が湧く石転び沢
洗濯平と大日岳
梅花皮小屋前にてミヤマシシウド
梅花皮小屋前にてタカネマツムシソウ
朝日を浴びる大日岳
イブキトラノオと北股岳
トモエシオガマ
イイデリンドウ
コゴメグサ
クルマユリ
ハクサンシャジン
ハクサンシャジン(白)
チシマギキョウ
ヨツバシオガマ
ミヤマリンドウ
ウメバチソウ
北股岳山頂より石転び沢を見下ろす
ハクサンシャクナゲ
ミヤマアキノキリンソウ
コキンレイカ
ミヤマオトギリソウ
タテヤマウツボグサ
イイデリンドウ
コバイケイソウ
チングルマ
アオノツガザクラ