登山者情報1,300号

【2009年11月22日/町境(柳生戸街道-鷹ノ巣山)/井上邦彦調査】

 21日は雨の予報、23日は鍋祭り、間の22日に残っている町境を歩いてみることにした。荒沢集落から入り、樋ノ沢第2砂防ダム先の駐車場に車を止める。
 06:17右岸の歩道を進み、橋を渡って樋ノ沢川左岸のワラビ園に上がる。倒れたわらびが道を覆って分かりにくい上に歩きにくい。06:27わらび園を抜けて山道に入る。
 このルートは何回か通っているので心配なく歩けるが、見上げた町境稜は白くなっている。06:38杉林を通過、06:42沢を渡る所で間違え掛ける。登山道に水が流れているが、上の雪を考えると地下足袋を濡らしたくない。06:44二つ目の杉林を抜けて、いよいよ旧街道らしくなる。
 06:50じぐざぐに登る途中、瞬間明るくなったと思ったら太陽が昇った。遠望する峰々は白い。06:55カモシカが出てきた。何度か私の周りでこちらを見ていたが、キュンキュンとないて姿を消した。
 07:13樋ノ峠を通過し、ここから一気に沢まで下る。その先の崖に作られた道は埋もれかけているので慎重に通過する。07:32二つ目の沢に降る箇所は足元は思ったより整備されていたが、対岸に登る所がイバラで痛い。
 07:46ここから沢を離れるので水を汲む。その後、小川沿いに進むと、07:53草の上に雪が積もっていた。ほどなくブナ林に入ると雪がなくなり助かる。08:00尾根を横切る所で県境?と思ったが、もう少し進んで、08:11-26県境の標識に到着した。ここで腹ごしらえをして、いよいよ町境の藪に突入と思ったが、踏み跡がついていた。
 08:50左手に神秘の池を見て、だんだんと薄くなる踏み跡を進むと、見晴らしの良い場所に出た。熊狩りの見立には最高の場所だ。
 この先、本格的な藪漕ぎとなる。09:31-40食事を取る。ワイ化したブナ林の笹原を漕ぎ、密生した灌木を漕ぎ、ひたすら北上する。
 灌木を嫌ってトラバースし過ぎたと感じたので、10:12-17小峰に登るが視界が取れない。眼鏡がないのでGPSが読み取れない。眼前に鷹ノ巣山が聳えているのだが、どこの尾根につながっているのか分からない。このような時に頼りになるのは、やはり地図とコンパスだ。
 10:29-39やっと視界が開けルートが分かったが、ここからの急な降りは途中で重くなったザックに一抹の不安がよぎる。ロープをすぐに出せるようにして、腹ごしらえをして下降を始めると、左側は岩壁だが右側に灌木があり、何とか鞍部に降りきることができた。
 所々に獣道があるものの、酷い藪に苦しめられながら登り、11:20鷹ノ巣山から伸びている大きな尾根に出た。ここで前回(登山者情報第785号)とつながる。
 藪越しであるが目の前の真っ白な朝日連峰が連なり、振り返ると光兎山が遠望できる。ここから雪が出てきたので、主尾根を降るが、酷い藪。ここで熊の足跡を見つける。
 11:55-12:22雪が少なくなってきたので、ブナのあるピークでラーメンを作り食事とする。ブナ林が続くが、なかなか歩きにくいブナ林である。629mで鉈目を見て、しばらくの間踏み跡がたどれたがすぐに消えてしまった。
 13:05右の大きな尾根をくだることとした。この尾根は比較的快適でどんどんと進む。13:32-38、420mで食事を取る。13:35尾根が細くなり、クロベが沢山生えている。
 13:49沢に降り立つ。渓相は穏やかであり水量も少ない。13:54右岸から立岩沢が合流した途端に水量が増えた。膝下まで水に漬かりながら進んで行く。瀞が出てきたので覚悟を決めて腰まで水に入る。後は怖いものなしという感じで降るが、13:58ついに左岸の高巻きを強いられた。
 14:39今度の瀞は明らかに深い。さらにどれ位の距離があるのか見当がつかない。これは手が出ないと判断して左岸に高巻きを開始したが、両岸共に100mを越える壁、下手をすると主尾根近くまで登るかもしれないと思うと、ザックにびっしりと入っている茸が一段と重く、どこで捨てて行くか迷い始める。
 巻いていると1個の鉈目を見つけた!まだ新しい。これで生きて帰れる希望が出てきた。さらに進むと、何と踏み跡!があった。熊狩りレベルのトラバースを要求される踏み跡で、とても登山靴で歩けるようなしろものではないが、こちらもスパイク地下足袋である。バランスを取り、見失わないように進む。見下ろすと遥か下方の沢は廊下が延々と続いていた。
 14:51杉林に出る。これで安心をするが、14:59沢を越える場所に苔の生えた古いロープが2箇所設置されていた。杉林の中のルートは見つけにくいが紫の目印が時折下げられていたので迷うことなく進むことができた。
 道がしっかりとしてきた所で突然、沢から一人の方が登って来た。お互いに驚くが測量をしているとのことである。その方に教えられて河床に降り、沢を渡って右岸のわらび園に登り、もう一度沢を漕いで、15:44無事駐車場に到着した。

鷹ノ巣山直下から遠望する朝日連峰
今回のコース
町境の峰々を仰ぐと白くなっていた 正面右の突起が烏帽子岩
旧街道
右岸を通る部分
町境が近くなると草の上に雪が積もっていた
町境(県境)の標識
新潟県側
山形県側
町境に踏み出す
踏み跡があった
ブナ林に包まれた神秘の池
展望が開けた場所があった
鷹ノ巣山遠望
踏み跡がなくなり本格的な藪漕ぎになる
ブナはワイ化している
密生する潅木の中を進む
時折歩きやすい所もある
鷲ヶ巣山
鷹ノ巣山 ルートは正面右の尾根
鷹ノ巣山から南東に伸びる尾根(これから通るルート)
祝瓶山
急なピークを振り返る
このやせ尾根を下ってきた
正面が鷹ノ巣山への尾根
獣道
木の根を掴んで登る
尾根を登りきって前回のルートと繋がった
光兎山が見えた
辿ってきた町境
鷹ノ巣山
以東岳
寒江山
西朝日岳と大朝日岳
烏帽子岩と光兎山
潅木の尾根を越えていく
鷹ノ巣山
熊の足跡
ようやくブナが出てきた
ブナ林となる
ブナ林を下る
420m付近
北俣沢に降り立つ
沢を下る
右岸から立岩沢が合流する
水量が増えてきた
腰まで水に浸かって下る
次第に渓相が悪くなる
さすがにここは左岸を巻いた
右岸から入る小沢のすぐ上に二つの大きな滝があった
左岸から小沢が合流する
ずぶぬれだが冷たくは感じない
右に左にルートを取る
ここでついに沢沿いをあきらめる
高巻きの途中で見下ろす その後、廊下は延々と続いた
杉林に出て一息つく
古いロープがあった
無事に駐車場に到着した
おまけ(途中で見つけたカンワカ)