登山者情報1,301号

【2009年11月26-27日/山形県山岳遭難救助訓練/井上邦彦調査】

 山形県山岳遭難対策協議会と山形県警察本部が主催する「山岳救助訓練」が蔵王連峰坊平で実施された。参加者は県内各地区遭難対策協議会(八幡山岳会の鈴木・佐藤さんや小国山岳会の金野君など)・警察官・自衛官・各地区消防本部から総勢50名、講師陣は井上邦彦・菅野享一・仁科友夫である。私は上級班であるA班16名の方を指導することとなった。
 開講式に続いて、今回の訓練に必要な基本技術の確認を行い、訓練趣旨・ポイントを伝える。幸いにもB班に振り落とすべきメンバーはおらず、昼食後に訓練現場である冷水沢に向かった。
 足場の悪い崖の途中で、太い木は使用せずに細い潅木のみを使って作業を行う。基本的に私は訓練内容だけを伝えて、各自が自ら作業を行い、危険な行為があった時のみ注意を与えることにした。
 最初は崖の下にいる負傷者をレスキューハーネスによる吊り上げ作業、続いて8環による吊り下げ、最後に連続した吊り上げを行った。ひとつの作業ごとに全ての仕組みを解体したので、全員がそれぞれの作業を体験できたと思う。
 翌日は登山道を歩いてゲレンデからさらに上部まで登る。途中でGPSや捜索手法の話を行った。最初に各種の搬送用具の作成方法と利点・欠点、実際に搬送できる用具のポイントを説明した。次に2チームに分け、自分達が持参しているザック等を使用して搬送用具を作成させた。両チームともに独創的な搬送用具を完成させたので、それを実際に使用して本部まで担ぎ下ろした。
 両チーム共に、途中で搬送用具が破損することなく、要救助者も搬送者も苦痛を殆ど訴えることなく終了できたのは、さすが上級班と感心した。

冷水沢に入る
訓練現場
細い灌木を支点にするのが主な目的だ
こちらはB班
各自セルフビレイを習慣づけること、支点は流動分散とすること
谷底の要救助者
崖を上から引っ張り上げる
要救助者から上部を見上げる
少しずつ上がって行く
ロープ一本に託す
もう少しだ
到着、ただちにセットを全て解除し、2回目の準備に入る
8環による吊り下げ
一つ一つの点検が大切
準備よし!
今度は連続して吊り上げを行う
この頃になると、傾斜にも慣れてきたようだ
各自の役割を自主的にこなす
合図の声も大切だ
沢での訓練後は、明日に備えて背負い搬送のコツを学ぶ
夜の部は菅野講師の乾杯で始まった・・・
翌日も好天に恵まれ、上部に登る
A班を二つに分け、それぞれのチームで搬送を行うこととした
特別な道具は使わないで、ある物を工夫して搬送用具を自作する
こちらは、なかなか構想がまとまらない
自衛隊のザックを使用することにした
基本形の完成、これから微調整に入る
@チームは背中にテープを使用している
チームリーダーが工夫した箇所を説明する
Aチームが作製した搬送用具
背負うとこうなる
実際に背負って搬送を行う
足場に注意
背中はカッパズボンで押さえた
先行者はルートを確認する
ここは滑るので支える
@チームも追い付いてきた
慎重に
つぎつぎと背負い手を交替する
笹藪になった
まだ余裕?
搬送具はしっかりと機能している
順調に降る
空中で背負い手を替わる
ゲレンデに出た
C班が途中でロープ操作の訓練を行っていた
交替も慣れてきた
背負われ心地もまんざらでなさそうです
両チームとも快調に降ります
チームの息が合っています
ゲレンデも油断すると意外な障害物があるので注意が必要です
無事に搬送終了!
A班の皆さん、お疲れ様でした!