登山者情報1,304号

【2009年12月13日/光兎山/井上邦彦調査】

 光兎山は昔、千刈集落から子供を連れて登って以来(積雪期を除く)であるが、町境歩きをしているうちに、古道や修験の道が気になっていた。14日の週からは雪マーク、今年登るなら今がチャンスだと考えた。
 05:30小国町内のセブンイレブンで食料を買い出発。国道290号線のGSから右折して女川沿いに進む。中束集落に看板でルートを確認する。中束集落は「マカマルケ」と読む。方言が分からないと読みにくい地名である。看板から進んで車道が橋を渡り藤沢川左岸に移った瞬間に「光兎山」の標識があった。ここから舗装された林道に入るが、所々に「光兎山」の標識があり、暗い中でも安心して進めた。
 「光兎山登山口」のすぐ先にあった駐車場に車を止め、06:19暗い中歩き始める。林道を80歩戻った所が登山口である。面倒なのでライトはザックに入れたままだが、傾斜はさほどでなく、ゆっくり登って行く。杉林を抜け、松林となる。靴の踵が浮いているようで歩きにくい、またザックが背中に当たるのでタオルを差し込んでごまかす。
 06:32「笹峰休み場」の標柱があった。ふりかえると集落の灯りが見える。ようやく周囲が明るくなってきた。06:38左下に白く大きな建物が見えた。登山道の所々に白いビニールテープが巻かれている。ナラ枯れが殆どだが、枯れたアカマツもある。おそらく支障木として伐採するものだろう。登山道は広く、小峰は左から巻くように作られ歩きやすい。
 06:45-54休憩とし食事を摂る。コンビニでコピーしてきた地図を車に忘れてきたことに気付く。また暗い中で準備したせいだろうが、靴紐はフックを飛ばして結んである。ザックの中を詰め替えて背中に当たらなくした。
 06:59千刈分岐を通過する。07:13石灯篭の奥に虚空蔵菩薩(文化14年=1,817年)と書かれた石碑があった。すぐ先には三角点がある。標高629mの奥山である。
 07:23観音峰の標識の先に木造の祠があった。祠には名前の書かれた川原の小石が備えられていた。また祠の後ろからは目指す雷峰と光兎山が見えた。
 観音峰から降り切った07:29水場分岐の標識があった。この水場は「兎雪の水場」と呼ばれているとのことである(「新にいがたファミリー登山」より)。樹間から左下の小沢に降りて行く道が見えた。
 07:59雷(イカヅチ)大権現の石碑、そこから僅かに回ると雷峰山頂の広場になり、眼前に光兎山が聳えている。降り切って小峰を上下する。08:10ロープがあった。
 08:13最低鞍部(ウガイ場)、登山道は正面真っ直ぐに登るが、鞍部から左にトラバースする踏み跡があった。水場でもあるのだろうか?08:15アガタ石が見えた。08:19ロープ。08:23小さな岩場に「駒返」と書かれた板が置いてあった。ロープ2箇所。
 08:26急登を終え、08:26-41光兎山々頂に到着した。山頂は広場になっており、三角点と共に祠があり、合格祈願の札が供えられていた。祠の脇には中束山の会が今年6月に設置した標柱が立てられていた。祠を開けるとノートがあり、登頂記念に自分の名前を書いた。
 先日歩いたルートを探しながら祠の後ろに回ると、尾根を降る古い踏み跡を見つけた。光兎山の西に頭巾山があるが、ここは小国と結ぶ古道があった山である。カンニヤ越を経由して光兎山と頭巾山は繋がっている。修験の道!と心ときめくものがあった。
 それにしても、じっとしていると寒くなる。まだ身体が寒さに慣れていないせいだろう。早々に下山することとした。
 08:52最低鞍部を通過し、登りになるとようやく暖かくなる。09:00登りでは気付かなかったが、立ちふさがるような岩に「姥石」と書かれた板が置いてあった。09:24水場分岐を通過する。
 09:26-33観音峰で食事を摂る。雷峰の登りから上部は風化した花崗岩の登山道であるが、そこから下部は粘土の登山道である。山容も荒々しい雷峰と、ブナ林に覆われた観音峰は対照的で、それぞれが相応しい名前だと思えた。
 09:43-48奥山の三角点からは虚空蔵菩薩の石灯篭が見えた。10:19千刈分岐を通過する。ここからアカマツ林となり、やがて登山道周辺だけアカマツで両側が杉の植林になる。
 10:31笹峰休み場、朝は暗くて気付かなかったが、日本海まで見えているようだ。この前後に「光兎山→」の標識がある。10:40右下すぐに砂利道と伐採の作業道が見えて、ほどなく登山口に到着し、10:43車に着いた。
 駐車上から2.0kmで林道から一般道となり、5.7km10:58で国道290号に出て、11:30帰宅した。

参考【越後の山旅・上巻】より
山頂からの踏み跡?⇒「光兎山も修験道の山であった。小国盆地の湯殿山道者が南東の蕨峠を越し、女川を渉って頭巾山に取り付き、光兎山を排し、西北の淀ノ尾を田麦に下り、大栗田、門前、村上と東西に横断したらしい古い踏み跡が、点在するのを拾われる。」
アガタ石⇒「2m余りの花崗岩で、基部に丸い石もあり、生殖器神崇拝と判るが、アガタが阿伽陀であれば不死薬で、あらゆる病気をなおす薬の酒の異名にもなる。浄土宗では念願または本願のこととある。」

国道290号線・林道分岐・駐車場
今回のコース 左から登山口・笹峰休み場・千刈道後分岐・虚空蔵峰(奥山)・観音峰・水場分岐・姥石・駒返・光兎山々頂
駐車場から80歩戻って、登山口 笹峰休み場
千刈集落から登ってくる登山道と合流
登山道を黙々と進みます 虚空蔵菩薩
観音峰
祠がありました
祠の前の丸い石
標識
祠の後ろから光兎山と雷峰が望めました
観音峰から若干下ると、水場の分岐がありました
光兎山の前に雷峰が立ち塞がります
県境の峰々の向うに白い飯豊連峰が薄っすらと見えました
観音峰を振り返ります
雷峰にある「雷大権現」
雷峰の山頂
雷峰から望む光兎山
途中の突起を越えて近づきます
山頂までは急斜面のようです
鞍部から左に踏み跡がありました
斜面をトラバースしているようです
アガタ石が見えました
右下がアガタ石です
これがアガタ石です
駒返
急登を過ぎると
山頂に到着しました
山頂の祠
今春に立てられた標柱でした
山頂からの展望
祠の後ろには古い踏み跡があった
県境方面
先日通った烏帽子岩
下り始めると、日本海が見えた
アガタ石を見下ろす
左が雷峰、右が観音峰
登る時は気づきませんでしたが、姥石です
ブナ
虚空蔵様
文化十四年とありました
賽銭石は兎の形です
女川と荒川
白いテープは支障木の印でしょう
千刈との分岐点
千刈方面
中束方面
笹峰休み場
登山口、駐車場が見えます
駐車場
林道入り口
帰途、光兎山を振り返る
光兎山遠望
光兎山の山頂から下っていた古い踏み跡 真ん中の鞍部はカンニヤ越だろうか