登山者情報1,314号 作業中

【2010年01月25日/山形県消防防災航空隊山岳救助研修会/井上邦彦調査】

 山形県消防防災航空隊の隊員は、県内の常設消防組織から選抜されたメンバーで構成されている。当然のことながら救急救命技術・身体能力は、私より遥かに優れている方達である。
 その方々に対して私が講義を行うなどは、まさに釈迦に説法、河童に水練、身の程知らずにも程があると言うものである。しかし一方で、現場でしか会うことのない彼等の姿に憧れ的な興味の誘惑に勝てず、引き受けることとなった。
 私とヘリコプターの付き合いは結構古い。初めて乗ったヘリコプターは自衛隊機であり、地神北峰において被雷した登山者を救助するためであった。雷雲の中のトンネルを抜け、地上1mでのホバーリング(空中停止)、風に翻弄されながらヘリから身体を乗り出して負傷者を機内に収容した体験は忘れることができない。
 県警本部に月山が配備されて、私達の捜索・救助方法は画期的に変化した。天狗岳では、現場近くの稜線までフライトし、2名で谷底からヘリが着陸できる稜線まで遭難者を担ぎ上げた。当時、ヘリで搬送するには着陸が必要だった。
 梅花皮小屋に降りそのままグリセード、一気に現場まで滑り降りて負傷者を担ぎ、ホン石転ビ沢出合上方で、ヘリのワイヤーに負傷者を吊るすことができたこと。月山で吊り上げは5mが限界であった。
 乱気流に弄ばれながら機内より遭難者を発見し、着陸できないためクサイグラ尾根の草原に身を放り投げ、沢を下り地上隊と合流し、与四太郎ノ池まで引っ張り上げてヘリに収容したこと。当時の月山は標高2,000mがフライトできる上限であり、厳しい状況下での救助作業が続いた。
 これらは私がヘリに搭乗させていただいた事案であるが、地上隊として・・・(以下、作業中)

以下はクランポンを着用した状態での救助訓練である
ヘリコプターは軽量化をはかるために、機内でクランポンを使用すれば簡単に機体に穴が開く