風衝地帯における登山道保全は、金玉水大崩壊地と並ぶ朝日連峰の難問であり、これまで三方境において、実証試験を繰り返してきた。羽黒自然保護官とニュージェックの川端さんが現地に入るとの情報を得て、被刈りで一緒に確認をさせてもらうべく山行計画を立てた。
03:30目覚ましがなり、03:57自宅発、途中のコンビニで食料を買い一路日暮沢に向かった。05:53日暮沢小屋に到着し、06:07一人で登山を開始した。登り始めてすぐ、異様なブナの梢に目が止まった。葉がなく実だけが残っている。このような光景は始めてである。
07:07-17ゴロビツ清水で食事とする。ここから上はメール(docomo)が可能となるので携帯電話の電源を入れる。4分ほどでオニシオガマ・ダイモンジソウ・ゴマナが咲いている湿地となる。07:36草地に出ると風がさわやかに感じられ、ブナが矮小化してくる。07:56清太岩山の三角点を通過し、08:17-26ユーフン山頂で食事をしていると、雲が切れ竜門小屋が見えて来た。
08:54稜線に出て、09:01-07竜門小屋に顔を出して管理人の遠藤さんへの挨拶もそこそこに先に向かう。09:25-35登山道脇で空腹を満たし、09:47三角点だけがある南寒江山を通過する。寒江山々頂で狐穴小屋管理人の安達さんが佇んでいた。言葉を交わし、10:10相模尾根分岐を通過すると、三方境に人影が見えた。
10:15三方境に到着すると同時に、川端さんや坂本さん達と一帯を歩きまわって状況を確認する。今年の強い雨のせいか、2か所ほど石ダムが破損していたが、殆どのダムは理想的に機能していた。これが目詰めに使用した椰子繊維の効果であることは明らかであった。一方、山頂部から西に延びているガリー浸食地は上手く行っているとは言えない状況であり、施工のデリケートさを痛感した。
驚いたのは山頂部周辺である。風食進行地に傾きを変えて椰子繊維を詰めた土嚢を幾つか設置しておいたのだが、土嚢の上表面こそ傷んでいたが、1個も吹き飛ばされていなかった。さらに水制(すいせい)と同様の効果が表れていた。風が土嚢を越える時、風下で弱風帯が生じで砂礫が堆積していた。風上にも土嚢の設置面に砂礫が食い込んで土嚢を安定させていた。この堆積箇所に植物の萌芽が確認できた。土嚢が弱風帯を作ることによって砂礫だけではなく植物の種も捉えていたのである。これは今後の作業方法に大きなヒントになることは明白である。
水道にはびっしりと植物の生育が確認されたし、麻や椰子の緑化ネットの下に小さいながらも至る所に芽を確認することができた。一方、風が直接当たる場所での萌芽は殆ど見当たらなかった。これは、もともと現地は構造土地帯であり、植物がない場所とある場所がモザイク状になっている場所であることを考えると、植物が生育しないのが当たり前であって、それを緑化すること自体が自然の摂理に逆らうことになると整理できると考える。要は、生育できる場所に生育する環境を整えて行くことが良いのではないだろうか。帰り際に登山道の影響を受けていない風衝地を見上げ、改めて保全の奥深さを痛感した。
一足先に大朝日岳に向かった坂本さんと大ちゃんを追いかけるように、11:50三方境を後にする。12:01寒江山々頂、12:27南寒江山々頂を通過する。ミヤマキンバイやウメバチソウ・タカネナデシコ・ハクサンイチゲ・ミヤマアキノキンポウゲ・ミヤマリンドウ等々が咲いているが、山はもう秋の気配が感じられる。それでもオヤマノリンドウが最盛期と言わんばかりに咲いており、目を楽しませてくれた。
12:59-13:16管理人が下山した竜門小屋で坂本さん達に追いつき、食事を取り一足先に出発。13:47ユーフン山頂、14:02清太岩山々頂、14:30ゴロビツ清水を通過し、両管理人一行とほぼ同時に、15:09日暮沢小屋に戻った。17:16自宅着。
ゴロビツ清水 |
ブナ枯れが目立つ |
生態系保護地域の標識 |
清太岩山々頂 |
清太岩山を振り返る |
ユウフン山頂にて 竜門小屋が姿を現した |
振り返ると秋色が忍び寄っていた |
稜線を目指す |
竜門山から北の主稜線を望む |
竜門小屋 |
寒江山を目指す |
熊さんの痕跡 |
南寒江山 |
寒江山に向かう |
相模尾根分岐で目指す三方境が見えた |
狐穴小屋 |
人為の入っていない風衝地の植生 |
何時か、以東岳南の浸食地を・・・ |
これは帰途に撮影したものです |
相模尾根分岐 |
相模尾根 |
ハクサントリカブト |
お花畑も、そろそろ店じまい |
寒江山々頂 |
オヤマリンドウ |
竜門小屋を目指す |
今回はオヤマリンドウが素敵でした |
イワインチン |
オヤマリンドウ |
構造土(階段状地形) |
振り返る |
竜門小屋が見えてきた |
竜門山の分岐点 |
一気に降る |
小さな秋の気配 |
象徴的な岩です |
山肌の崩壊は自然発生です |
登山道脇の湿地に |
熊の足跡がくっきり |
オニシオガマ |
支障木を上手く使っていました |
日暮沢小屋に戻る |
生態系保護地域の標識が痛んでいた |